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第39話 反省してます

「それじゃ食べ終わりましたし、クエストに行きましょうか」

 俺達はやっとの思いであの重苦しい中シチューを食べ終わり、カナタがそう提案してきた。

「んで、何か行きたいのはあるか?」

「んーそうですねぇ。『うちの娘と結婚してください。条件、勇者になりたくない勇者限定』ってどうですか?」

 その瞬間、俺の頭には一人の男性が思い浮かんだ。確実に俺狙いである。

 勇者になりたくない勇者って俺くらいだろうが! ふざけやがって……バンフーさんはどんな手を使ってでも俺とユユを結婚させたいようだ。

 そしてその娘であるユユはピンと来ていないようだし……分からないって幸せだよな。


「却下だ」

「そうですか。勇者になりたくない勇者ってピッタリだと思うんですが……一夫多妻制なので妻を一人増やすだけでクリアですよ?」

「それだけってクズじゃねぇか。その為だけに結婚するのはさすがに抵抗あるぞ!」

 とにかくこれだけは却下だ。バンフーさんには悪いが、今の所ユユと結婚するつもりは無い。


「次ですね。『決闘を受けてくれ。条件、勇者になりたくないゆうし──」

「却下だァっ!」

 面倒くさいことこの上ない。しかも自分からクエストで受けに行くだと? この俺が受けるわけないだろ。しかも条件、さっきと同じじゃねぇか! ふざけるな!

「なんで俺指定なんだ……」

「同じようなクエストがもう二十件程貼られていましたね。いずれも条件は勇者になりたくない勇者でしたが」

「なんで俺狙いばっかりなんだよ!?」

 もっと決闘するなら他に相手なんていくらでもいるじゃねぇか。なんで俺なんだよ。

「うーん、多分先日の勇者拒否発言でヘイトを集めてしまったのではないかと」

 それだけで決闘を挑まれる世界だったのか……。

「でもそうでしたね。基本的に決闘は受けない主義でしたね」

 そしてカナタは手持ちのクエストが尽きたのか「うーん……どうしましょう」と悩み出した。


 一応俺はこれやりたいってのはある。が、今の所は多分無理だ。と言う事で今日は解散と言う事になった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「バンフーさん」

 俺はバンフーさんの店に来た。

 いつもの事だが、武器やら防具やらを売っているはずなのにこの店は閑古鳥が鳴いている。俺等以外のお客さんを俺は見た事がない。


「らっしゃい……ってヒロか。どうした?」

「ユユを借りても良いですか?」

 俺はこれを言いに来た。因みにユユは俺の後ろにいる。扉の陰から俺達のことを見ている。

 まぁ、唐突なのだが、ユユの力を借りないと出来ないことがあったのだ。

「どうしてだ?」

「ユユの力、水操作ってありますよね? その力を借りたくて」

「ふむ……どういう内容かは知らないが、ヒロなら大丈夫だろう。好きに使ってやるといい」

「ありがとうございます」

 多分今の俺は少し悪い顔をしていただろう。まぁ、ユユを悪い事に利用する訳では無い。利用じゃないな。ユユに手伝ってもらうだけだ。

 因みにユユからは既に許可を貰っている。


 んで、俺がやろうとしていることは、

「よしユユ。久しぶりの共同作業だ」

「ワクワクです!」

 俺達の前には広大な畑があった。

 まぁ、なにをしようとしているのかと言うとクエストだ。このクエストはこの広大な畑全てに水を撒くと言うクエストだ。

 んで、その報酬と言うのが、この依頼者の土地を一つ貰えるという内容だ。

 実は宿暮らしじゃなく、自宅が欲しかったところなのだ。あそこも快適ではあるが、俺のあんなにあった金が溶けていく。だから俺は家を建てたい。

 だが、土地がない。と言う所にこんな絶好のクエストが。


 しかし蓋を開けてみれば、一日と言う条件で全て撒けと言う内容だったのにこんなに広大だったなんて……これは最初からクリアさせる気がないクエストだ。

 だが、うちには頼もしいユユさんがいらっしゃる。こうなったら空気中の水蒸気を水に変えてもらって降らしてもらうしか手は無い。

 と言う訳でユユさんに来て頂きました!

「この土地全てに水を降らせばいいんですか?」

「そうだ。頼めるか?」

「まっかせてください! そこは私の得意分野です!」

 そしてユユが空に向けて手を翳したと思ったらどこからともなく水が降り出し、どんどん畑を潤していく。

「ちょっとこの範囲だと届かない箇所がありますね。私の水操作は範囲が決まっているのでその外は操れないんです」

 そう言って謝ってくるユユだが、充分すぎる。ありがたいくらいだ。


「範囲か……んなら」

 そして俺はユユを抱える。お姫様抱っこを期待していたのなら残念だったな。本当に抱えているだけだ。

「ちょっ! どうしたんですか!?」

 俺はそんなユユを抱えたまま空いている手の人差し指を水操作範囲外へ向ける。

 そして、

「ゴー!」

 指をピストルの形にして撃つジェスチャーをすると人差し指から青い玉の様な物が発射されて、放物線を描きながら落ちていく。

 そして地面に着いた瞬間、俺はユユを抱えて落下地点までワープする。


「凄いです!」

「最近覚えた移動技だ」

 そう、これはテレポートやワープなどと同じ移動技だ。しかし、一回で短い距離しか移動できない。だから長距離移動には向いていない。

 何度も使えば遠くにすぐ移動出来るが、それだとテレポートより魔力効率が悪過ぎる。だからこれは例えば戦いの中で奇襲する事とかに便利だ。

 名前は……まぁ、あんまりカッコよくない。寧ろダサいまであるが、ゴーと言う。例の如く風属性だ。


「ありがとうございます! これでこっちも雨を降らせますよ!」

 ありがとうございますはこっちのセリフだ。こっちこそこんな俺の勝手な事情で手伝わせてしまってすみません。

 因みにここは街の外ではないから大丈夫ってのは言い訳なんだけどな、この事を伝えずにバンフーさんから借りてきたのは申し訳なかったと反省しております。

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