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第342話 師匠5

 俺は血相を変えて起き上がった。周囲を見渡してみると、そこは俺の部屋だったようで、少し安心する。

 どうやら夢を見ていたようだ。


 それにしても不思議な夢だ。最近あれに似た夢を良く見るのだが、どういうことなのだろう。何を意味しているんだろうか。

 まさか正夢になったりとかは――さすがにないか。どうなったらあんな特殊な状況になるんだって話だ。


 それよりも、今はバイトにどう教えるかを考える方が先だな。

 恐らく戦闘スキルの方は戦いの回数をこなせば自ずと身につくだろう。となると、技を教える方がいいか。

 そういえば、バイトの属性ってなんだろうか。俺とおなじ光だったら教えやすいのだが、今まで出会った人の傾向的に光属性と闇属性って少なそうだし、多分違うだろう。


 あいつの強みはそのコピー能力だ。相手の動きを盗み、自分のものにしてしまう。

 俺も似たようなことは出来るが、あれは親しい人物でないとできない代物だ。

 例えば『HOPE』のメンバーや、カナタ、ユユ、それとカラタさんくらいなものだ。


 一応、パイプも親しい人の領域に入るのだが、あの戦闘スタイルは模範でも再現することは不可能だった。耐久型ってのは俺には無理のようだ。


 そんな俺の模範の上位互換のような強さを持っていると考えても良さそうだろう。

 相手の全ての行動を盗む力。スキルとしてもかなり強い部類に入る力だろう。でも、あれは多分、生まれ持った才能とかなのだろうな。


 そうなると、まずは基本的な魔法から教えていくのがいいだろう。さすがに、魔法の概念などはあっちの世界にはないだろうし、一回見たら盗むってことは出来ないだろう。

 だから、ここら辺くらいだろうな、教えるのは。


 ☆☆☆☆☆


 道場に来ると既にみんな集まっていた。

 しかし、ただ一人、隅っこの方で寝ている奴がいる。――パイプだ。

 だけど、あいつはどうでもいいか。でも、勝手に押し付けておいて自分だけは寝ているって言うのは感心しない。とりあえず、効果はあまりないだろうが、後で聖光の波動(シャイニングブラスト)を五発くらい打ち込んでおくとするか。


「で、一体どんなことを教えてくれるんだ」


 完全に舐めている表情。だが、それくらいが丁度いい。相手を舐めているからこそ、その自分の考えが覆った時の悔しさをバネにして強くなれる。


「まぁ、そう焦るな。でも、そうだな。お前は戦闘回数さえこなせれば戦闘スキルは上がると見た」

「それだったら教えてもらうことは一つもねぇよ」

「そうとも言えるかな」

「……なにがいいたい」


 俺が言うと、バイトは舐め腐った表情から急に真剣な表情へと早変わり。空気だけは読めるやつのようだ。

 これから見せるのは恐らくこいつが見ただけではコピーすることの出来ない技、魔法だ。それも、特定の属性でしか使えない魔法。


「見てろよ」


 俺は正面を向いたまま左の方へ左腕を広げると小声で詠唱を始める。最近はスキルを使った状態で魔法を使っていたので、詠唱をするのはかなり久しぶりだったりする。

 だが、結構口は覚えているようで、かなりスラスラと言葉を並べることが出来る。


「聖光よ。我が力に答え、その力を発揮せよ『聖光の波動』っ!」


 その瞬間、俺の左腕からレーザーのようなものが放出される。

 そして、壁に直撃する。普段ならばこの一撃で壁は木っ端微塵になるだろう。しかし、今回は出力を抑えたので、少し凹むだけで済んだ。

 まぁ、出力を抑え切る事が出来ずに凹んでしまったのは事実だが。


「なんだよ、それ」

「魔法だ」

「魔法?」


 魔法と聞いて意外そうな表情をしている。

 そんなバイトの反応を見た俺は思わずキラさんの方をジト目で見てしまった。

 すると目をそらすキラさん。恐らく、バイトは魔法の存在は知っていたけど、魔法使い以外は使えない代物だと思っていたとか、そんな感じだろう。

 普通は直ぐに気がつくはずだが、それでなくともキラさんが教えると思うんだが、恐らくキラさんはそんなバイトの様子を見て楽しんでいたのだろう。


 まぁ、それはそれとして、恐らくバイトに教えなくてはならないのはこの魔法の発動の仕方だろう。

 俺は日本語で書かれた魔道書で翻訳魔法を会得することが出来たから発動方法を会得できたが、バイトは恐らく日本人じゃないため、その魔導書を見せても意味が無いだろう。

 そうなったら俺が教えるしかないのだが、どう教えたらいいのだろうか……。とりあえず、最初にカナタに教えられたように教えるとするか。


「この世界には魔法の属性というものが存在する。全部で七つだ」


 無属性を合わせたら八つになるのだが、あれは全員が使える訳では無いので、黙っておいた方がいいだろう。


「この世界では一人一人が魔法の属性を持っており、火、水、風、土、木、そして光と闇が存在している。この七つの属性が存在している。そして、それぞれ相性というものも存在している。火は木に強く水に弱い、水は火に強く風に弱い、風は水に強く土に弱い、土は風に強く木に弱い、木は土に強く火に弱い。属性相性がいいと、与えるダメージは増えるし、受けるダメージは減る。逆に相性が悪いと受けるダメージは増え、更に与えるダメージも減る。そしてもう一つ、持っている属性以外も使うことが出来るが、自分の持っている属性以外の魔法の魔力消費は激しい。特に相性が悪いとな」

「なるほど」


 意外にもバイトは俺の話を真剣に聞いていた。

 恐らく、修行するのは面倒だが、強くなりたいと思う気持ちはあるのだろう。だとしたら鍛え甲斐がある。

 バイトは魔法を使えるようになったらかなり戦略の幅も広がり、ものすごく強くなることが出来る。


 だが、そんなに悠長に修行している暇は世界は与えてはくれなかった。

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