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第33話 合流

 ったく……この道はどこまで続いているんだ?

 この不安を煽るような真っ暗な道は物凄く長いのだ。更に言うと特に何も無いってのが余計に不安だ。

 これならいっその事、露骨に罠が置いてあればいいんだけどな。

「ヒロ」

「なんだ?」

「ヒロはいつも文句を言いながら助けてくれようとしますよね? どうしてですか?」

 それかぁ……。


「実は俺にもよく分かんないんだ。いつの間にかどうやったらお前ら二人を守れるか、助けられるかという事ばかり考えているんだ」

 正直戦うのは平和を重んじる俺のポリシーに反している。だけど、いつもいつの間にかそんな事ばかりを考えている。

「もう。後悔したくないからかな」

 俺は無意識にボソッと呟いていた。

 俺がそう呟いたのを隣の二人は不思議そうに聞いていたが俺の暗い表情を見て何も聞かなかった。


 数分後、やっとながい通路の出口にたどり着いた。

 出口は通常の通路にたどり着いたが、薄暗いこの洞窟じゃ目に付きにくいような少し上の方にあった。

「ちょっと待ってろ周りを確認するから」

 そして出口から顔だけを出して辺りを見てみる。

 ちょっと高い位置だから落ちたら戻ってこれないし、もし敵が居たら囲まれてしまうから慎重に姿勢を低くし、身を乗り出して確認する。


 敵の姿は見えないけど用心することに越したことはないよな。

 そして俺は足元の石を一つ手にとって落としてみる。

 パシューーン

 すると俺の落とした石が突然飛んできた弓矢によって射られた。

「これは」

 とんでもなく正確なスナイパーが居るようだ。しかも俺の死角となる位置にっ!

「どうしましたか?」

「何が」

 と俺の驚く声に驚いた二人はこっちに来た。


 それを俺は腕を横に伸ばすことで静止する。

「来るんじゃない……。隠れている敵が居る」

 そう言うと二人は今俺がしているように姿勢を低くした。

 矢の飛んできた方向から大体の位置は把握出来た。

 だけど、正確に当てられる確証はない。

 石を射ったと言うのに石を投げたこっちを射って来ないってことは相手に俺たちの位置を知られていないってことだ。


 こっちからも遠距離攻撃する手段はあるけど、これを外したら今度こそ本当にバレてしまう。それだけは避けなくては……。

 いや、バレずに攻撃する方法が一つだけあったぞ。これなら外してもこっちの位置をバレずに済む。

「ユユ。ちょっとこっちに来てくれ」

 そう言うとユユは頭にハテナを浮かべながらこっちに来た。

「あの岩に刺さってる矢の向きから敵の位置って予測できるか?」

「何となくですが、わかります」

 その言葉を聞いて安心した。

「矢を射ってきた方向を攻撃してくれ。くれぐれも位置がバレないようにな」

 するとユユは静かに敬礼した。


 するとあちらこちらに水の塊が出来始めた。

「これはセンサーです。そこら辺を漂い、敵に当たると私に位置を教えてくれると言うものです」

 そんな力がユユにはあったのか!

 うようよ動いているこの水の塊から避けるのは至難の技だ。

 その時、

「おい何だあの水の塊は! 浮いて漂っているぞ!」

 男の驚く声が聞こえてきた。

「ユユ、一旦解除だ」

 俺が小さく指示するとユユは水にかかっていた魔法を解く。

 すると水はユユの支配下から逃れ、ただの水となって地面に落ちた。


 今の声、俺の考えがただしけりゃ、リーダーだ!

よっしゃ合流出来たんだ。

「今のはいったい?」

 そして物陰からリーダーは出てきた。

「危ない!」

 叫んだ頃にはもう遅かった。

「クハッ」

 矢はリーダーに命中。リーダーは血を吐いた。


 遅かった……。そう思ったが、

「ヒール」

 誰かが矢を抜いて魔法をかけると、リーダーの体は光り始めてどんどん傷が治り始めた。

 あの魔法は見た事が無い。治癒系統の魔法か。

「リーダーを死なせない。それが俺たち、木属性の魔法使いに課せられた仕事(任務)だ」

「あ、あの人は」

 ユユが驚いている。誰なんだ?

「あの人はユーさん。木属性の魔法使いですよ」

 ってことは街の精鋭部隊のユージック・ロマンか!

 確かあの人はついさっきまで俺達と同じグループに居たはずだ。じゃあもしかしてもう合流している感じか!


 良い知らせだ。全員で固まれば怖くない。

「シュザー。やれ」

「おう!」

 そして後ろからシュザーが出てきた。

 やっぱり居る!

「オラァっ!」

 何を思ったのかシュザーは地面を殴って砕いた。

 その砕けた岩が宙に浮いた。

「死にたくないなら俺達を敵に回さない事だ!」

 そして浮いた岩を全てデコピンの容量で飛ばしたと思ったら、そのすぐ後に魔物の悲鳴が聞こえてきた。


 ナイスです。

「はぁ……。そこに居るんだろ?」

 え? 俺達の事? バレてたのか。

「まさかまだ敵が?」

「いや、彼らは敵じゃなく味方の方でしょう」

 出ていくなら今しかない。

「いやー。すみません」

 俺達は穴から飛び降りて皆の元に向う。

「いきなり居なくなったから心配したぞ」

「あは、あははは。すみません」

 罠にはまりましたとか口が裂けても言えねぇ。あんな見え見えの罠にかかったのは俺達だし。

「でも取りあえず三人とも無事なら良かった」

 優しい人だった。


「で、ここの主の居場所は分かりましたか?」

 そう聞くと「勿論だ」と答えてくれた。

 そしてリーダーは指を指した。

「あそこだ」

 指を指した先を見てみるとそこには不自然にバカでかい扉があった。RPGゲームで言うところのボス部屋と言ったところか。

 でもボス部屋ではどんな危険が待っているか分からないから慎重に行動しなくてはやられてしまう可能性もある。

 あの時帰ってきた探索隊と同じ運命を辿るのがオチだ。

「俺達はあの探索隊よりも何倍も人数が居る! 負けるはずがない!」

 謎の自信を持ってリーダーはボス部屋に入って行ってしまった。

 勝てるなんてなんの根拠を持っていってるんだよ。あのバカ!

 それに続いてぞろぞろと中に入っていく。


「行きましょうヒロさん」

「ヒロ。汚名返上のチャンスです! ここで活躍しましょう」

 俺は別に返上する気は無いんだけどな。

 そして俺も部屋の扉を開けた瞬間の出来事だった。

 突如聞こえてきた悲鳴とともに俺に大量の真っ赤な雨が降り注いだ。

 そして視界には上半身と下半身が切り裂かれた剣士たちの姿。

 中央には真っ赤に染った斧を持ったミノタウロスの様な外見の魔物。

 そして俺は地面の真っ赤な液体を掌に浸けて見てみるとそれは──血だった。

「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

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