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第19話 ユユの恋

「カナタ!」

 俺はカナタの姿が見える距離まで来て声を掛ける。


 するとカナタはこっちに走ってきた。

「ヒロ一人に行かせてすみません」

「いや、別にいい」

 そして女の子を下ろそうとするが俺からしがみついて離れない。早く離れて欲しいんだけど。

「離れたくない」

 俺はその言葉に頭を抱えてしまう。離れてくれないと困る。非常に……。


「それで君の名前は?」

 俺の苦労はお構い無しなんですね!? 見損ないましたよ!

「私はユユ。ユユ……ライゴンです……」

 消えそうな程小さな声で自己紹介をすると俺に抱きつく力がさらに強まった。

 それにしてもユユ? どこかで聞いたような……。

「ユユちゃんか……。私はカナタです。カナタ・フェーニル。よろしくね」

 とカナタは握手を求めるが、プイッと顔を背けるユユ。それによってカナタの顔がガーンと言う効果音が似合いそうな顔になってしまった。


「俺は咲ヶ谷裕斗だ。みんなからはヒロって呼ばれている」

 俺が自己紹介をするとまた恍惚とした表情になった。

「カッコイイ」

 そう呟いたのを俺とカナタは聞き逃さなかった。

「え? 今なんて?」

 カナタがそう聞くとユユは頬を染めながらもう一回「カッコイイ」と言った。


「あなた、まさかこいつに……」

「はい。ちょっと助けてくれた時に本気で……」

 小さい女の子に好かれてしまった。好かれたと言うのはほとんどの場合はlikeだろう。だが、この子の場合……。俺の考えが正しけりゃ

「あなた……こんなのに恋をしたの!?」

 Loveだ。

「ヒロさんを悪く言わないでください! こんなのなんて酷いですよ! 私を助けてくれた命の恩人なんですよ!」

 俺が驚きすぎてカナタに突っ込めずに居ると、代わりにユユが言ってくれた。


 俺は驚きすぎて頭が真っ白になってしまった。

 そして俺の腕から降りて俺の体にしがみつくユユ。可愛いんだけど、俺に好意をもってやってると思うとちょっと思うところがある。可愛いんだが、素直に可愛いと言って良いものなのか? あれは好意が無い人にだから簡単に言える。だが、好意がある人に対してはその言葉の重みもまるで違ってくる。

「あなた……男を見る目がないのね……」

「だから悪く言わないでください! グルル〜」

 唸って威嚇するユユ。


 そしてやっと復活した俺は自由になった手でポケットを探って一枚の紙を取り出した。そう。バンフーさんから借りた絵だ。

 そして気がついてしまった。ファミリーネームもそうだが、この子は……。

 ──バンフーさんの娘さんだ。

 でも見かけたら連れてくるって言った手前、連れて帰らない訳にはいかない。


「ユユ」

 するとビクッとユユの体が震えた。

「家に帰る気は無いか?」

「ありません」

 即答だった。

 俺が「勇者になるか?」と聞かれて「断る」って言った時と同じくらいの反射速度だった。恐ろしい反応速度……。

「んじゃあ、顔を出すだけでも……ね?」

 連れていったあとはバンフーさんに任せる。それが俺の計画だ。

「ちょっとだけなら」

 よし、連れて行くことが出来たら俺の勝ちだ。

 そして心の中でガッツポーズをする。

 何も知らないカナタは頭にハテナを浮かべているが今はユユをバンフーさんの所に連れて行くことの方が重要だ。

「それじゃ行こうか」

 そう言って歩き出すがユユが俺の体にピッタリとくっついているせいで歩きにくかった。

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