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第17話 調査

「んで、当初の目的はなんだっけ?」

 確か途中でスクの実の話にそれてしまったが、理由があって俺のところに来たはずだ。


 そう言うとカナタは「あっ」と小さく声を上げた。おいおい、お前が忘れんなよ。

「それじゃあ、どこまで話したか忘れたので最初から言いますね」

 そう言うとカナタはこんな事を言い出した。

「森に行きましょう!」

 そんな俺にとってはくそ面倒で何のメリットも無いことを……。

「どうしてだ?」

 問いかけると真剣な眼差しに変わった。


「探索隊達の話によると森にいた強い魔物。そいつが原因であんなにボロボロになったらしい」

 確かにカナタは探索隊達に聞いたって俺にそう聞かせてきたが、それと何が関係があるんだ?

 そう思っていると、俺の問いに答えるように口を開いた。

「強い魔物。もしかしたら魔王と関係があるかも知れません。そんなことが分かったらもう居てもたっても居られなくなってしまいました。だから、自分の目で確かめようと──」

「ダメだ」

 俺はカナタが言い終わる前に否定した。引き止めた。子供がゲームを欲しがって泣いているというのに無理矢理連れて帰る母親の気分だった。


 すると悲しそうな目で見てくるもんだから本格的にその子供を連想してしまう。

「確かにそこに行ったら魔王の事についてなにか分かるかもしれない。もしかしたら倒し方、あるいは封印のしかたが分かるかもしれない」

「なら!」

「でも!」

 俺はカナタに喋らせまいとそこでカナタの話を遮るように言う。

「でも俺とお前だけで行ってどうなる。確かに俺は極力お前に協力すると言った手前、俺が協力するのは良い。だがな、たった二人だぞ? その内一人は非力で何の役にも立たない面倒臭がりだ。実質お前一人だ。一人で! あの! 探索隊十数名を壊滅に追い込んだその魔物を! お前一人で倒せんのか!」

 俺は強い口調でそう言った。


 これは意地悪でこいつを引き止めているわけじゃない。こいつの心配をして言っているのだ。

 俺の考えが正しければあの冒険家共はそれぞれかなりの実力者だ。そんな奴らがあんなにボロボロになるって事はかなりやばい敵ってことだ。


 だから俺はカナタに行って欲しくない。

 だが、この後出たカナタの言葉は力強かった。

「魔王を倒す為に探索、戦闘して戦死するなら本望です。私はここで無駄な死をするくらいなら敵陣に突っ込んで荒らしてきます」

 この瞬間、俺はこいつの意志には適わねぇなと思った。

「分かった。んじゃあ、ついて行く。だが、やばいと思ったら逃げるぞ」

 カナタは「はい!」といい返事をした。

 まさかあの魔の洞窟近くまで行く事になるなんてな。

 なんか……。全然気が向かねぇ……。

 だが、協力すると言ったから俺も同行する。


 次の日、森に来ると中がジメジメしていて太陽がギラギラと輝いているのにその光はほとんどシャットアウトしていて辺りが全然見えなくなっていた。


 足元も雨上がり直後の土見たいにぬかるんでいてちょっとでも気を抜いたら足を取られそうだ。

 それにしても森に来てまでスカートかよ。カナタの白い足に傷がつかないか心配……。ってそういう目で見ているわけじゃない! ただ純粋にだな……。俺は心の中で誰に言い訳をしているんだ? ついに俺は森の恐怖で頭がおかしくなったのか?

「大丈夫ですか? ちゃんと居ますか? 不意打ち食らって致命傷になってませんか?」

 俺の方を見ずに聞いてくるカナタ。カナタもきっと不安になっているんだ。


 だからなんべく不安にしないように優しい口調で

「大丈夫だし、お前の後ろにちゃんと居る。不意打ち食らって致命傷なら声も出せないし、不意打ちを食らってはない」

そう言うとカナタは小声で「ならいいですが……」と呟いた。

 ここは真っ暗で敵の姿を認知できるかも怪しい。だから話すことだけに集中してはいられない。

 俺は戦ったことがないからわかんないけど恐らくこういう時は耳を澄ますんだろう。耳を済ませて敵の気配を察知……。

 そして目を閉じて音に集中しながら歩く。

 すると何かに思いっきりぶつかった。

「いって!」

 そう言いながら目を開けると視界いっぱいに木が広がっていた。

 どうやら俺はこの木にぶつかってしまったようだ。

「前を見て歩かないとぶつかりますよ」


 悔しい。年下にその事を注意されたのが悔しい。

 正論なのだがなんなんだ。この敗北感は……。

 そう思いながら歩いていると「キャッ」と言う可愛らしい声が聞こえてきた。見てみるとカナタが転んでしまっていた。

 そして転んだせいで……。言い難いのだが、スカートが……。

 そして顔を逸らすとカナタは慌てて立ち上がってスカートを押さえた。

「見ました?」

「見てないです」

 本当はちょっと見てしまいました。

「見てないなら良いですけど」

 そしてスカートの砂埃を払ってからカナタはまた歩き始めた。

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