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第118話 幻の街と死闘37

 早速作戦開始だ。

 カラタさんの解放はどれぐらいの力なのか、見た事がないが何とか見ながら覚えて行くしかない。

 とりあえず様子見だ。


「ルル、パイプ。二人は遠距離から炎技、パイプはオーライが近くに来たら剣で迎撃。カナタ、ルルは突風と氷で飛行範囲を制限してくれ。カラタさんはとりあえず俺とハルトに着いてきてください。スイちゃんは悪いけどサキちゃんの事を見ててくれ」


 大まかに指示をしてから俺も剣を抜く。

 ハルトは既に戦う気満々のようで、カラタさんは久しぶりに解放したのか、少し体を慣らしている様子だ。

 そして俺とハルトは目配せをして徐々にオーライへと歩き始めた。

 射程圏内に入ると同時に俺とハルトは横凪をした。しかしその一撃は躱されてしまったが、オーライは俺の観察によったらジャンプで躱す事が多かったため、今回もジャンプするだろうと思ったのだがやはり今回もジャンプして躱した。

 そこにものすごい勢いで牙突を繰り出した。


 オーライも何とか白衣でガードするものの、解放したカラタさんの方が上回ったのか物凄い勢いで突き飛ばされた。ダメージは無くせるけど完全に勢いを消せることは無いようだ。

 ならば、


「ハルト!」

「分かってらぁっ!」


 今度はハルトが牙突の構えをし、オーライの方向を向く。

 そしてオーライが落ちた瞬間、ハルトは牙突を開始し、オーライの方へ跳んで行く。そのタイミングに合わせて俺はハルトに対して最大出力のアンチグラビティーを放つ。

 するとその牙突のスピードと威力が上がり、そのままオーライへと突っ込む。

 オーライも咄嗟に白衣を使って防御したのだが、ザクッ!


「ぐ、がはっ」

「……ナイスだヒロト」


 威力は殺しきれない。つまり、剣術やらなんやらでは破けないのだが、威力を味方に斬れば斬れるのでは無いかと考えた。予想は的中。

 見事威力を殺しきれなかった白衣は背後に壁があったため、威力を受け流すことが出来ずに貫通してしまった。それによってオーライは初めてのダメージを受けた。


「痛いだろ。これが今までお前が殺してきた人の痛みだ」

「……こんな、こんな事で俺の野望は壊されてはいけない。俺は復讐者だ」


 するとオーライはハルトの剣に触れた。そしてそのまま握り、ハルトの力を押し切って抜いてそのままハルトごと投げ飛ばした。

 まさか素手で剣を握ってくるとは思わなかった。


「我が作品達! 行くが良い」


 その瞬間、地面からゾンビ達が這い出してきた。

 ゾンビと戦うのはもうお腹がいっぱいなんだがな……出てきたからには殺るしかない。

 そう思って戦おうとした瞬間の事だった。一瞬でゾンビの頭と体が切り離されたのだった。


 誰がやったんだと見てみるとカラタさんは横薙ぎの一閃で全てを斬ったようだ。さすがカラタさんと言わざるを得ない。


「まさか一撃でやられるとは思わなかった。だが、これは想定内だ!」


 オーライがそう言うと空中からどこからともなくゾンビが出てきて俺たちの前に落ちる。降り立つことが出来ず、足首を挫いてるゾンビが多数だ。いったい俺達は何を見せられてるんだ?

 その間抜けな姿にオーライはイライラしてゾンビを粉砕してしまった。


「ったく、使えねぇな」


 自分で出しておきながらその言い草はなんだよ……。


「それじゃあ、僕も本気だそうかな」

「ぐわぁっ!」


 オーライが本気出すと言った瞬間、ハルトは吹き飛ばされていた。いや、見えなかったのだ。オーライがハルトを(・・・・・・・・・)蹴る瞬間が(・・・・・)

 だから俺にはハルトが急に吹き飛んだように見えた。

 目にも止まらないスピード。俺では目で追うことが出来ない。カラタさんは追えている様だが、これではどこから来るのか予想出来ないため、指示のしょうがない。……そうか! それがあいつの目的か!


 しかし、何も手が無い訳では無い。


「ハルト、そこらに静かに佇む脅威を放て!」

「了解だ」


 センサー代わりに発動させる。

 オーライは静かに佇む脅威なら破壊しながら走る。だからオーライが通ると分かるのだ。

 このセンサーは俺とハルトなら見える。


「小賢しい真似を!」

「てめぇのスキルの方がよぉ、よっぽど小賢しいんだよ!」


 静かに佇む脅威の一つが破壊された瞬間、ハルトはその周囲にエアスラッシュを放った。

 すると見事に直撃したようで、オーライの動きが止まり、俺にも見える様になった。


「今だ! 全力で叩き込むぞ!」


 俺が言い放つと俺達三人は魔法の構えをする。

 しかしそれをオーライは飛行で逃げようとする――が、頭上に氷の壁が出現し、それは出来なかった。これはユユの力だな。


「「フレイム!」」


 少しだけ飛び上がったオーライをルルとパイプがフレイムで撃ち落とした。

 これなら隙も充分。魔法を当てられる!


「聖光よ。我が力に答え、その力を発揮せよ! 『聖光の波動』」

「疾風の波動!」

「デーモンバーン」


 俺は光属性の波動砲。カラタさんは風属性の波動砲。ハルトは禍々しい色の風属性の球を発射した。

 デーモンバーンは初めて聞くが、あの球に当たったものは切り刻まれるらしい。床を抉りながら進んで行っている。

 さすがに白衣を羽織っていると言えどもこんな攻撃をされたらタダでは済まないはずだ。


「俺はまだ、負ける訳には行かない。後戻りは出来ない。全てを奪ってやるよ。お前らから全てな!」


 その瞬間だった。

 急に体から力が抜けてしまって膝から崩れ落ちてしまう。


「何が起こって……」

「油断大敵だよぉ?」


 チクッ。首筋に鋭い痛みが走った。

 何かを刺されているような。そんな痛み。


「ひ、ヒロトォォッ!」


 慌ててハルトが走ってくるも、時は既に遅し……。俺の意識はどんどんと消え失せていく。


「君をこれからコレクションとして一生遊んであげるよ」

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