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第117話 幻の街と死闘36

「いやぁ……。そんな事を考えていたなんてね……。まぁ、カイズは面倒だから回復はさせないよ」


 まさか俺の作戦がバレていたなんて思わなかった。更に言うと静かに佇む脅威が防がれるのも予想外だ。

 予想外と予想外が合わさって俺の頭の中は真っ白になってしまった。


 サキちゃんを手刀したオーライは分身だった様で、手刀したあと直ぐに消え去った。


「お? 驚いているようだな。お前みたいな若造の考える事なんて丸わかりだ」

「へぇ〜じゃあ、若造じゃない俺の考えは分かるか?」

「なにっ!?」


 胸から血を大量に出し、満身創痍で今にも倒れそうなカラタさん。しかしそんなカラタさんだが、力強く床に立ち、オーライに剣を向けている。

 とっくに出血しても安全圏の出血は既に超えているだろう。これ以上動いたら死んでしまってもおかしくない。


「なぁ魔人。てめぇは人間だ。どれだけ人間を辞めようとしても俺達と同じ人間だ」

「……何が言いたい」

「お前は人間から魔族になった。だけど人は魔族になったからって完全にはなれねぇんだ。つまり少しは人間が残ってる。人間が残ってるって事は避けられない死ってもんが訪れるわけだ」


 俺はカラタさんの言葉があまり理解が出来なかった。

 でも分かるとしたら、カラタさんはオーライの事を、過去を知っているって事だ。そして人から魔族になったって言ってたから多分オーライは元々人だった現魔族って事だ。


 それにしてもカラタさんはその状態でどうするつもりだ?

 カラタさんは胸から血を出してフラフラ。オーライも血が出てるが、自然治癒力でもあるのだろう。全然辛そうではない。こうなったら何を考えているのかは分からないが、俺達で全力サポートをしないといけないらしい。

 俺達だけではやはり太刀打ちは出来ない。

 遠距離は白衣で防がれて、近距離で戦えば敵わない。やはり俺達にはカラタさんが必要だ。


「……てめぇ、何言ってんだ?」

「だけどな。人間を辞めたお前には分かるまい。自然の人間の力ってもんはな…………いざって言う時に覚醒するもんなんだ」

「何が言いたいか全くわからねぇ」


 カラタさんはそう言うと、自分の胸に剣を突き立てた。

 まさかカラタさん。この状況で……死ぬ気じゃ!?


「っ!? 何をする気だ!」

「こうするのさ」


 その次の瞬間、思い切り自分の胸に剣を突き刺した。

 俺達はそんなカラタさんを見て固まってしまった。突然と自分を刺した。その事実に驚きが隠せなかった。

 しかしそんな中、パイプだけは落ち着いていた。まるでカラタさんがこうすることを分かっていたようだ。

 そしてオーライはというと、一気にカラタさんから飛び退いて守りを固め始めた。これからいったい何が起こるって言うんだ。


「解放……」


 小さな声が聞こえた。それはカラタさんの声だった。

 その次の瞬間カラタさんの髪は白髪になり、腕に怪しげな紋様が出現した。

 カラタさんが胸から剣を抜くと、さっきまで出ていた血が止まった。これっていったいどういう事だ。


「それってよぉ」

「ああ、お察しの通り『解放』させてもらった。幾らスキル発現者なお前でもこれは出来まい」


 解放、聞きなれない単語が出てきた。だけどそれが凄いものだと言うのはすぐに分かった。恐らくその解放が今のカラタさんの状態の事を指すのだろう。

 強そうなオーラが体から出ていて、目付きが鋭くなっている。


「解放?」

「解放ってのはまぁ、スキルの上位互換だと言った方が簡単だ」


 俺が呟くと隣に居たハルトが答えてくれた。


「通常スキルってのはよぉ、100%に近い力を出すってだけで100%は出せねぇ。だが、体に負荷をかけることを代償に100%を出すってのがあの解放だ」


 100%の力。だけどその代わりに体に負荷をかける。やっぱり力を出しすぎるとかなり体に負荷がかかるみたいだ。

 しかし今は構っている暇もない。倒さなきゃここに居るみんなが殺される。だからカラタさんは使ったんだ。


「師匠の発動方法は特殊で、剣を自分に突き刺すことで発動できる。そして体に負荷がかかる。今の体力だったらここで倒せないと確実に師匠は死ぬ」


 そうか。解放状態だから一時的に血が止まっているだけだが、それが切れたら無理をしたことで更に傷口が広がって今度こそ――死ぬ。

 つまりカラタさんにとってはこれは自分の為にも、そして俺達が背後に居るから負けられないって事か。


 やっぱり俺はダメだ。所詮、俺はこの程度だったんだよ。

 俺程度の力じゃ、誰も守れない。


「しっかりしろヒロト。てめぇは確実に人を救ってんだからよぉ」

「人を?」

「ああ、てめぇには人を従わせる力がある。勝つための道を考える力がある。頭が悪い俺じゃ出来ないが、てめぇには出来る。考えろ、最後の最後まで考える事を辞めんじゃねぇ」


 ハルトは俺を励ます為に言ってくる。だけど正直俺は不安だった。本当に俺が考えた作戦なんかで倒せるのかどうか。

 だけどやるしかないんだ。やる、俺なら出来る。

 なんたって俺は……。


「気まぐれ勇者、だからな」

「じゃあ、指示は頼んだぞ。気まぐれ勇者」

「はい!」

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