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第113話 幻の街と死闘32

 俺とハルトが扉を蹴り破ると、カナタ達が捕まっている光景が目に飛び込んで来た。

 ガランの部屋程ではないが機械がめちゃくちゃ置いてあり、以下にも研究施設の核という感じがする。


 明かりは着いていないので薄暗く、部屋の至る所から柱が立っていた。暗いがオーライの仮面は蛍光色になっているのか、この暗さでもこの距離でハッキリと位置を掴むことが出来る。

 俺とハルトは横並びに部屋の中に入るとオーライの仮面の中の目がキラリと光り、睨みつけてきたような気がした。


 その睨みは俺とハルトに対して威圧として降り注いで来た。

 しかし俺は威圧体勢が高かったせいか全くもって苦しむことは無く、ハルトに関しては恐怖よりも殺意の方が上回ってしまったせいかビクともしていない。

 俺達二人はオーライの威圧が効かない。つまり、オーライと戦うには絶好のコンビだ。


「ハルトォ? どういうつもりだぁ?」

「あんたがどういうつもりだよ。こいつ殺す為に俺を捨てやがっただろ!!」


 ハルトが怒りを露わにして剣を鞘から引き抜く。

 剣を引き抜くと一瞬だが、剣から残像が見えた様な気がした。


「む、それは」


 オーライは危機を感じたのか後ろに飛び退く。

 俺もそれは感じたので俺はブーストで走り、ハルトから距離を置く。

 ハルトは俺が離れるのを確認した後、回転斬りを放つ。するとなんという事だろうか。回転斬りをした斬撃がその場に残ったのだ。

 ハルトは次々に至る所へ歩いてはその場に斬撃を設置して蜘蛛の巣状にトラップを張っていく。


「これが俺の剣技。静かに佇む脅威(ミュートソード)だ」


 ハルトがそう言うとさっきまで見えてた斬撃の残像のような物が消えてしまった。これじゃあどこにあるのかが分からない。もしかしたら俺が当たるかもしれない。

 そんな事を考えているとハルトが俺の方に歩いてきて肩をトンと叩いてきた。すると、さっき消えたはずの斬撃がハッキリと見えるようになった。もしかしてハルトが俺には見えるようにしてくれたのか?


 そこまでして貰えるなら活躍しないとな。


「さて、オーライ。今からお前を殺す!」

「弟子が師に勝てると思うな!」


 ハルトは駆け出す。

 剣をがっしりと両手で握り、斬り掛かる。しかしオーライは白衣を翻してその攻撃を受け止めてしまった。

 あれは攻撃を受け付けないのか? って事は白衣を避けて攻撃しなくては。……だとすると足とかか? 白衣から露出している所を狙って攻撃するんだ!


「重力の奇跡『アンチグラビティ』!」


 ならば浮かせてしまえの精神でアンチグラビティを発動。しかし全くもってビクともしないオーライ。

 アンチグラビティが発動しない理由の一つに、相手が自分より強すぎるって項目がある。つまり、分かりきっていたことだがオーライとは実力差があり過ぎる。


「ちっ、エアスラッシュ」


 ハルトは舌打ちをしながらなんと、無詠唱でエアスラッシュを放ったのだ。これが出来る人は世界にもあんまり居ない超能力者(マジシャン)と呼ばれる人達だ。

 まさかハルトが超能力者だとは思わなかったが、無詠唱で魔法を放てるのは大きい。これに乗じて俺もブーストで駆け出し、剣を鞘から抜く。


 流石のオーライも二人同時に相手するのは手一杯の様で反撃する暇はなくただ防御しているだけだった。

 しかし、その白衣のお陰で全く体にダメージは入らず、寧ろずっと攻撃している俺達が体力を奪われて不利なのではと感じた。なので俺とハルトは目配せをしてから一斉に飛び退いた。


「さて、オーライ。俺はその白衣の弱点を知っているぜ?」

「何!?」


 ハルトは弱点を知っている宣言をした後、再びオーライに向かって駆け出した。

 その瞬間、ハルトは一瞬だけこちらに目配せをしてきた。

 俺はテレパスでは無いからな。だけど今のは流石に分かった。つまりは俺が引き付けるからお前は仲間を助けて来いって事だな。

 なら簡単だ。


 あの鎖位だったら俺の剣で斬れそうだな。だけど一人じゃ時間がかかる。だから手伝って貰えそうな……あの手錠の鍵を開けれそうな人物……あ!

 分かったぞ、俺の今取るべき行動が。だがその前にオーライの視線から外れる必要がある。

 今堂々と向かったらバレてしまうだろう。


「光よ。我に加護を『ザ・ファントムC』」


 その瞬間、俺は眩い光に包まれ、視界が機能しなくなった。眩しすぎて周りが見えないのだ。

 その代わり周りからも俺が見えなくなる。

 さて、この状態だったら誰がどこにいるのかが分からないな……だけど俺にはこれがある。――そう、転移石だ。

 この転移石には俺達全員が登録されている。だからこれで飛んで行けば確実だと言うことだ。


「ユユ!」

「ひゃっ!」


 突然として話しかけられた事に驚いたらしい。だが、今のはユユね声だったため、無事ユユの元へテレポート出来たんだと安心する。


「説明してる暇はない。今からこの鎖を断ち切る。断ち切ったらすぐにお前にザ・ファントムCを付与する。付与されたら誰でもいいから捕まってるみんなの元へ転移石でテレポートし、同じように伝えてくれ。あと、現在助けた仲間の名前もな。現在はお前だけだユユ。それと、氷で鍵を作って渡してやってくれ」

「……はい」

「よし、」


 俺は鎖の位置を確認しながら剣で鎖を断ち切った。

 何故最初にユユを助けたのかと言うと、ユユは氷を生成できる。しかも生成できるだけではなく成形まで出来てしまうのだ。だからユユにとっては鍵を作るなんて朝飯前だろう。

 鎖を断ち切るとすぐさまザ・ファントムCを付与し、俺は解除する。流石に二人同時に使うのは無理だ。


 そんな感じでどんどんと助けていき、遂に!


「いや〜助かったよ」

「助かりました」

「ほんとね〜」

「俺とした事があんな簡単に……くそっ!」

「流石ヒロさんです」

「流石お兄ちゃんです!」


 各々の思ったことを口にする。さて、これで全員助けられた訳なんだが、ハルトの方はどうかとそちらを見てみると――


「が、はっ!」


 ハルトが蹴り飛ばされている最中だった。

 余程蹴りの威力が高かったのかものすごい勢いで天井に叩きつけられる。

 今にも死にそうな位ボロボロだった。今すぐにでも助けなくては。そう思って俺はオーライに手を向ける。


「来い! 『フックアンドショット』!」


 しかし結果は空振り。一切こちらへ引き寄せることが出来なかった。恐らくこれも強すぎたら効果がないとか言う縛りがあるのだろう。


「ハルト!」

「大丈夫だ。てめぇはてめぇの心配をしたらどうだ」


 その瞬間、背後から強烈な衝撃が走った。そのせいで前側に倒れ込んで、うつ伏せの体勢で倒れた。

 今俺何されたんだ?


「僕ァ最強だ!」


 俺達は満身創痍。その目の前で高笑いを繰り出す男、オーライ。本当に俺達はこんな奴に勝てるのか?

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