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第110話 幻の街と死闘29

 俺とハルトは落ちまくっていた。

 まるでそれは計画されていたかのように下の階も穴が空いており、どんどんと落ちていく。

 アンチグラビティを使おうとするが何故かここは魔力無効化エリアとなっていた。さっきまでいた所なのにおかしい。

 ならば転移石で!


「あれ? 発動しない」

「転移石も魔法の一つだ。魔法が使えなきゃそいつも使えねぇってことだ」


 くそ、これもダメなのかよ。


「ち、スマートに殺せないなら俺も捨てるってか? 確かにあの人の考えそうな事だ」


 ハルトも同じことを思っている様で、何やらオーライへの文句をぶつぶつと呟いていた。俺も思っていた事だ、これはオーライがやった事なのではと。ハルトも驚いていたのでこんな事が出来る訳が無い。

 してやられた。この穴、かなりの深さだ。落ちたら多分死ぬ。


「なぁヒロト」

「なんだ?」

「俺は捨てられたみたいだ。んでさぁ、このままやられっぱなしってのは性にあわねぇんだ。だからよぉ、今だけあいつをギャフンと言わせるために協力してくんねぇか?」


 厚かましい願いだった。

 さっきまで俺の仲間を散々攻撃しておいてお願いだ。俺は聖人でもなんでもない。だからハルトのこの態度に苛立ちを覚えていた。

 だけどオーライにギャフンと言わせてやりたい気持ちは同じだった。

 だから俺はこう言った。


「断る」

「――え?」


 確かに俺はギャフンと言わせてやりたい。だけどそれじゃあ生ぬるいんだよ。俺はそんなんじゃ満足出来ねぇ。

 ギャフンと言わせるんじゃなくて、


「倒すんだよ。んでもってこの研究所をぶっ壊す! この条件だったら受けてやらん事も無い」

「……くく、」


 ハルトは笑い始めた。

 今までよりももっと愉快そうに。そして楽しそうに笑い始めた。現在落下中だと言うのに腹を押えて笑う。


「最高だわお前。あの時話し掛けたのは間違いじゃなかった」


 そこまで言うとハルトは右手で自分の剣を持ち、俺に左手を差し出してきた。

 これはどういう合図なんだ? もしかして、ペットとかにやるあの『お手』って奴か!? もしかして俺をペット扱いしてやがんのか!? だとしたら斬ってやろうかその手を。


「早く渡せ」

「え、何をだ?」

「剣だ。オーライの事だ。このまま落下して終わりって言うのはあいつ自身にとっても面白くないだろう。だからおそらくこの下は剣山だ。それを斬る!」


 オーライと長く一緒にいたハルトだからすぐに分かるオーライの考え。だからこそ信憑性があり、俺は疑う事など全くせずに俺の腰に()げていた剣を抜き、ハルトに手渡す。

 それにしても剣二本で剣山を斬ることなんて出来るんだろうか? 少しでもミスったら俺達は二人とも串刺しだ。

 俺は魔法を使えない為、全く役に立てないからハルトに全てを任せるしかない。


 ハルトはと言うと、俺から剣を受け取ると二刀流でバツ印の様に剣を構えた。

 さっきのワンシーンを見てわかったんだが、ハルトの剣術はなかなかな物だ。だからそんな剣術になら任せても大丈夫と思える。これが強者の貫禄ってやつなのか?

 カラタさんから感じたオーラに似ている。


「俺は元々二刀流なんでな。こっちの方がやる気が高まるんだよ」


 そう言うとハルトは左に持った剣で右に持った剣を押し出すように斬撃を放った。

 するとバツ印の飛ぶ斬撃が出現し、未だに見えぬ底の方に飛んで行った。

 その直後、コンコンコンとリズムを摂るように左の剣で右の剣を叩き始めた。何してるんだろう? そう思ったが、ハルトの表情は真剣そのものだったので何も聞くことが出来なかった。


「ここか? いや、まだ深そうだな」


 それで何やら調整している様子。恐らく剣山を探しているのだろう。しかしその剣山までが中々に深くて思う様に見つからないらしい。だいぶ焦っているようだ。

 しかし大丈夫だろう。どんなに頑張っても斬撃より遅く剣山まで辿り着くことはありえない。


「ち、面倒だな。だが、あと少しだ」


 そう言うと一際強く叩いた。

 ハルトは自身の「ここだ!」と言う掛け声と同時に両腕を真っ直ぐ横に伸ばすと剣が光始めたのが分かった。

 剣が光初め、それを確認するとハルトはその剣で空間を切り刻み始めた。

 傍から見たらただ空間を斬っているだけ、素振りをしているだけだ。普通、素振りをするとビュンビュンと風を斬る音が聞こえてくる。しかしハルトが斬った時になる音はそんな音ではなかった。

 ガギィンガギィンとまるで固いものでも斬っているかのような音だ。そこですぐにその真相が分かった。

 これはハルトの技なのだろう。自分の斬撃を別の空間へと移動させる技。これによって今頃この下の剣山は――木っ端微塵だ。


転斬(てんざん)!」


 最後に仕上げとばかりに剣をクロスさせてフィニッシュ。

 先が暗かったのが徐々に見えてくるとそこら辺に瓦礫があるのが分かった。多分これが剣山の破片なんだろう。

 そして下が見えてくるとハルトは剣先を下に向けた。


 俺達が走ってきてる時にチラッとカナタ達の魔法を防いでいるのを見た。多分これはあの時の剣技だ。


「空間断裂」


 その剣技を放った瞬間、ふわりとしたクッションに落下したかのような感覚が走った。見てみると剣先と同じ高さで俺の体が止まっていた。

 もしかしてこれって空間を分け、その空間に隔たりを作るってものなのか? その間は衝撃を吸収しやすいってことなのか? よく分からんがまたハルトに助けられたな。


 少ししてからハルトが空間断裂を解除すると、俺とハルトは無傷で最下層に立つことが出来た。


「これ、返す」

「ああ、サンキュ」


 ハルトは一仕事を終えると俺に借りていた剣を返すと、壁を蹴り始めた。

 突然壁を蹴り始めたかと思ったら渋い顔をしだすハルト。と言うか完全にイライラして怒っている。


「ち、面倒だなぁ。この壁の中身、全部埋まってやがる。登るしかねぇか」


 だるそうに上を見るとハルトは三度(みたび)ため息をするとさっき落ちてきた壁を登り始めた。

 マジでこれ登んなきゃダメなのか? 他に方法は無いのか?

 転斬とは二刀流でのみ使えるハルトの剣技です。

 その名の通り、自分の斬撃を最初に放ったクロスの飛閃らしき斬撃の周囲にテレポートさせる剣技です。

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