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第105話 幻の街と死闘24

 俺とスイちゃんは駆け出した。


 俺とスイちゃんが駆け出したことによって大量のマミー達の矛先が俺とスイちゃんに向かう。

 そこを狙ってサキちゃんとユユがマミー達を倒していく。俺とスイちゃんの通り道を作るようにマミー達を倒していく。


 俺は心の中で礼を言いながら剣を構えながらスケルトンキングに向かって走る。走っている最中にも襲いかかってくるマミーを一瞬のブーストで躱す。

 マミーに捕まらないように走って、そんでもってスケルトンキングを斬る!


 残り数m。そこまで来たらスケルトンキングも武器を取りだした。それはこれまた俺の体の数倍の大きさ程もある巨大な鉈だった。

 巨大な鉈を振り回しながら俺に襲いかかるスケルトンキング。しかしその巨体故、素早い動きが苦手なのかあまり動きは速くなく、見てから動き躱せる程度のスピードだ。

 俺は最小限の動きで鉈を躱しながら走る。


 スイちゃんは少し離れた所で立ち止まり、詠唱を始める。


「水斬!」


 スイちゃんが詠唱を済ませ、杖を横凪すると杖の軌道に水の斬撃が出現。そのままスケルトンキングに向かって飛んでいく。

 もちろんスケルトンキングのような巨体で躱せるはずも無く、直撃。強いのかもしれないが遠距離にとっては良い的だ。


「俺も行くか!」


 ブーストで一気に駆け出した俺はスケルトンキングの足元に来ると回転斬りをしてスケルトンキングの片足の骨を断ち切る。

 スケルトンキングは骨を斬られた事でバランスを保てなく――なる事は無かった。骨の癖に斬られた部分を再生しやがったんだ。

 アンデッドの癖にこいつ超再生でも持っていやがんのか? 厄介この上ねぇ敵だな。


「お兄ちゃん危ない!」

「ああ?」


 背後を見るとすぐそこにマミーが来ていた。ちょうどそのマミーを守るように他のマミーがサキちゃんの矢の軌道を遮っているため、助けれないのだろう。考えているわけじゃないと思うが中々に厄介な状況だ。

 しかしな、俺も杭とトンカチがあんだよ!


「プレゼントだ!」


 杭を持ってマミーを殴る。すると、その杭がマミーの包帯に突き刺さり、固定される。俺はこれを狙って殴ったのだ。

 いちいち杭を押さえながら木槌でコンコンしていたら締め上げられてしまうかもしれない。だから杭を押さえると言う作業を減らすために固定が必要だったのだ。

 その状態で俺は思いっきり木槌で杭を殴った。すると、包帯までで留まっていた杭がかなり深くまで突き刺さったようで、マミーは悲痛の叫びを上げながら消滅していく。


 スイちゃんはスイちゃんで近くに来たマミーに対して水鉄砲を撃って転ばせている。そこを的確にサキちゃんが狙って仕留める。良いコンビネーションだ。流石長い間二人で戦って来ただけの事はある。

 やはり召喚者と勇者って言う関係に何かがあるのだろうか? 俺には良く分からないが、きっと何かしらの力は働いてるんだと思う。


「さて」


 俺はマミーからスケルトンキングへと視線を移す。依然としてどデカい鉈を持ち、こちらを睨みつけていた。

 よし、とりあえずやってみるか。


 スケルトンキングの頭に向かって手を向けてとある魔法を放つ。


「来い! ……じゃねぇな。行くぞ! 『フックアンドショット』」


 フックアンドショットを使用する。これは通常相手を引き寄せる技。しかし、自分より何倍も重い敵は引き寄せられない。だが、その代わり別の効果が発揮される。

 それがこれだ!


「おるぁぁああっ!」


 フックアンドショットを使った次の瞬間、俺はスケルトンキングに引き寄せられていた。来たのはちょうどスケルトンキングの頭の位置。ちょうどいい所に頭があったのでとりあえず剣で頭を斬っておく。

 どうせ再生するんだろうがダメージが入ってないって訳は無いはずだ。その証拠に斬りつけた直後は痛みにもがき苦しむ様な仕草をとる。


「グガァァァッ!」


 スケルトンキングは俺が空中に居る間に鉈を振り、俺を斬ろうとしてくる。俺は流石に空中での回避は出来ないので剣で受け止めることにした。

 鉈は縦に振り下ろされたので俺は剣を横持ちにして両手で押さえるように構えて受ける。

 その状態でスケルトンキングの鉈が俺の剣に当たった瞬間、物凄い力で俺は地面に叩きつけられてしまった。


「ごはっ!」


 血を吐く。なんて馬鹿力だ。筋肉もねぇ骨の癖に強い……っ!


「ヒロト、あなた大丈夫かしら?」

「ああ、あれしきの事じゃ人は死なねぇっ」


 しかし今のは痛かった。HPバーのあるゲームとかだと一瞬でゲージを半分近くまで削られた様な衝撃だった。

 だが幸いなことに骨折などはしておらず、まだまだ余裕で動き回れる。


「ヒロト。あいつの隙を私が作るからあなたはスケルトンキングを斬って頂戴」

「了解だ」


 俺とスイちゃんは左右に別れて立つ。

 するとさっきから攻撃を仕掛けている俺の方へと攻撃の矛先が向いた。しかしスイちゃんは「お前の相手はこっちだ」とでも言わんばかりに水針を放っていた。

 水針は大したダメージにはなっていない様だが、流石に撃たれすぎるとウザいとでも感じたのだろう。攻撃の矛先が俺からスイちゃんの方へと変わった。作戦通りの展開だ。


 スイちゃんはスケルトンキングの攻撃の矛先が自分に向いたことを確認したら早口で詠唱を始める。

 詠唱を完了すると杖を力強く握り、横凪をした。


「水斬っ!」


 スイちゃんの杖から水斬が放たれ、真っ直ぐにスケルトンキングへと飛んでいく。しかしその水斬はスケルトンキングが鉈で簡単にかき消されてしまった。だがそれでいいのだ。スイちゃんの目的はダメージを与えることじゃない。スケルトンキングの注意を引きつけることだ。


「確かアンデッドは光属性に弱かったよな」


 俺は聖光の波動の構えをとる。

 途中、何体もマミーが俺に襲いかかろうとしたが、その度にサキちゃんとユユが排除してくれる。それと何故かスイちゃんが襲われてても絶対に俺の方を優先する。優先順位がおかしいと思うんだが……。


「ウォータートラップ!」


 スイちゃんは次の魔法を放った。所謂水溜まりだ。だがこれをただの水溜まりと侮ってはいけない。これに入った瞬間、


 ドカーン!


 爆発するのだ。

 スケルトンキングは水溜まりに入ってしまったせいで爆発、足の骨が粉々に砕かれた。

 しかし既に再生し始めている。だがこの一瞬、ピクリとも動かなくなる。これをチャンスと呼ばずして何と呼ぶんだ!


「聖光よ。我が力に答え、その力を発揮せよ! 『聖光の波動(シャイニングブラスト)』!!」


 スケルトンキングの骨が再生。今にも動こうとしている。だが、俺の聖光の波動の方が少し出が早かったようだな。スケルトンキングは動き出す前に聖光の波動が直撃。今までで最高の手応えだ。

 聖光の波動は光属性。アンデッドのお前らにとってはかなり辛いだろうな!


「グオォォン!」


 苦しそうな声が聞こえてくる。

 聖光の力でどんどん骨が溶けていく。しかしそこからどんどんと再生しようとしているので中々倒しきれない。

 こいつ、なんて生命力なんだよ!


「ここまでか……」


 ここまで長時間放出していたら魔力が切れてくる。万事休すか? そう思ったその時、


「諦めない!」


 スイちゃんが俺の肩に手を置き、魔力を送り込んできた。

 スイちゃんこそそんなに魔力が無いはずなんだが、俺にこれでもかと言うくらい魔力を送り込んでくれる。

 暖かい。これが仲間の力か。


「期待に答えなくちゃな」


 今まで聖光の波動は右手だけで放ってきた。しかし次は左手を右手に添える。フルパワーの聖光の波動。見せてやる!


「これがフルパワー聖光の波動だぁぁっ!」


 俺とスイちゃんの魔力が合わさった両手での聖光の波動。流石にスケルトンキングも再生が間に合わなかった様で、完全に溶けて無くなってしまった。

 それを見計らって聖光の波動を解除するが、俺の体とスイちゃんの体はヘトヘトだった。魔力も枯渇している。

 残りのリラックス草は一つ。これはスイちゃんに食わせるか。


 そう思ってリラックス草を取り出し、スイちゃんに渡そうとするとそのリラックス草は第三者の手によって奪われた。

 なんだとそちらを見るとそこには少し膨れた様子のサキちゃんが立っていた。

 周りを見てみると俺達が戦っている間に周りのマミーを倒し終えた様でここには俺たち以外誰も居なかった。


「どうしたサキちゃん」

「……お兄ちゃん。私が取らなかったら全部スイちゃんに上げる気でしたよね? 残りはこれだけなんですから自分の身も大事にしてください」


 サキちゃんは少しだけ強い口調で言うとリラックスを二等分し、俺とスイちゃんに半分ずつ食べさせた。

 確かに俺はサキちゃんが止めなかったらあのままスイちゃんに全部を食べさせていたかもしれない。


「ヒロさんはお人好しすぎます」


 俺は別にお人好しじゃないんだけどなぁ……。だが、ユユの目には俺はお人好しに見えてるのか。


「まぁ、お前がそう思うなら勝手にしたらいい。さて、行くか」


 思わぬアクシデントだったが俺達は歩みを再開した。

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