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第104話 幻の街と死闘23

 大量の棺桶。とても気味が悪い。

 しかもまともな照明なんて無く、ロウソクの薄明かりが照らしているだけだった。

 棺桶にはそれぞれ1つずつ御札が貼っており、それが更に不気味さを倍増させていた。


「うっ、」


 それにここは特に腐敗臭が強い。サキちゃんが今にも胃の中のものを戻しそうになっている。

 ユユは棺桶を見るなり、驚きすぎて尻もちを着いてしまったようだ。これはなんて所に落とされてんだ俺らは……。


 しかしここから脱出するには動かなくてはならない。そう思い、一歩踏み出したその時だった。


 ガタンと何かが動くような音がした。それも一つや二つじゃ無い。無数の音が聞こえてきた。

 それと同時に、棺桶に貼ってあった御札が全て剥がれ落ちる。その瞬間、俺は鳥肌が立ち、嫌な予感がした。

 だから俺は一歩踏み出した足を元の位置に戻して剣を鞘から抜いた。

 同時に弓に手をかけ、いつでも弓を持つ事ができるよう準備して、杭を仕舞った位置を再度確認した。

 杭は腰につけた小さいカバンの中に大量に入っている。


「気をつけろ。何かが来る」


 ドシンドシンとかなり大きな物が動くような地響きが聞こえてきた後、俺達の正面の壁が木っ端微塵に破壊された。

 壁の破片が大量に飛んできたのでアンチグラビティで弾き返す。

 壁が破壊されたことで物凄い砂煙が上がるが、その中から黒いシルエットが見えてきた。それもこの高い天井の部屋、スレスレの高さのシルエット。しかもそのシルエットは動いていた。


 俺は苦笑いしか出来なかった。今までとんでもなく大きい敵には嫌な思い出しかない。そして例外なく強い。

 多分あの大きさ、最低でも俺達の背丈の十倍はあるだろう。


 あの謎の生物らしき物はカクカクと動きながらドシンドシンと地響きを鳴らしてこっちに歩いてくる。

 次第にこっちに歩いて来て砂煙の中から出てくる。その中から出てきたのは――とんでも無くでかいスケルトンだった。


「でけぇ」

「ええ、これはまずいわね。あの男、私達をこいつの餌にするつもりだったのよ」


 床が開いた瞬間、俺達を落下死させるつもりかと思ったが、目的はそっちじゃなく、こっち。この巨大スケルトンに俺達を殺させるつもりだったんだ。

 しかしこんな巨大スケルトン。どう戦えって言うんだよ。


「とりあえず戦わなきゃここから出られないよな!」


 そう言って地面を蹴って飛び出そうとすると、


「待って」

「ごっ!」


 駆け出そうとした俺の足をスイちゃんが掴んで止めてきた。

 それにより体を前に乗り出していた俺は顔から床に倒れ込んで顔面を強打してしまった。

 ったく……なんだってんだ。心の中で文句を言いながら頭をさすり、立ち上がる周囲の棺桶がガタガタと音を立てて揺れていた。やっぱりあの棺桶には何かがある。

 そう思い、剣を構えて事の顛末を見守る。すると、


「グェェエエ」


 唸り声が部屋中に響き渡りその直後、全ての棺桶の戸が吹っ飛んだ。その中から出てきたのは、体に包帯をぐるぐる巻きにした魔物だった。

 一言で言ったら良く想像するような完全なるミイラ。

 それは一体だけではなく、物凄い数の棺桶全てから一体ずつ出てきていた。物凄い数の棺桶から一体ずつ、必然的にミイラの数もかなりのものになる。

 物凄いでかいスケルトンが親玉でこのミイラ達が子分みたいな感じだな。


「まさか、あのスケルトンキングだけじゃなくマミーまで出てくるなんて。最悪ね」

「マミーってあのマミーか!?」

「ええ、奴らは普通の攻撃じゃビクともしないわ。焼き払うか聖なる力を浴びなくては倒れない種族。本当に最悪よ。ただでさえスケルトンキングだけでも倒すのに骨が折れるってのに……」


 マミー。ここに来る前にカラタさんが言っていた奴だ。今スイちゃんが言った通り焼くか聖なる力を浴びせなくては勝てない。

 自ら近づくのは絶対にダメだ。近づいたら絞殺されてしまう。確かそんな話だったはずだ。


 あと、もう一体新しい名前が出てきていた。

 スケルトンキング――多分あの大きいスケルトンのことだろう。名前的にスケルトンの親玉的な魔物なのか?


「しかし、このメンバーでは火を使える人が居ませんよ」

「多分火を使える奴を潰す為にユユちゃん達を真っ先に潰しにかかったんだと思う」


 そうか。この街ではゴースト、スケルトンよりもゾンビ系統の魔物の方が多い。つまり火属性は恐らくここを牛耳(ぎゅうじ)っているオーライにとっては厄介な存在だったんだ。そうなると潰さない手はないな。


 だけどカラタさんは俺達に大きな置き土産を残してくれたんだ。


 俺は弓を取り出し、矢の代わりに杭を装填して引き絞る。サキちゃん程では無いが、バンフーさんに弓を貰ってから暫く練習していたんだ。マミー程ゆっくり動く奴相手に外すような事は無い!


 パシュッ!


 弓の力によって勢い付いた杭はそのままマミーに直撃し、グサリと包帯を貫通して突き刺さる。

 杭が刺さったマミーは神紙の力により苦しみ始め、次第に大人しくなって行き、消滅した。


「俺達がこれくらいで絶望すると思わない事だな」

「はい! ヒロさんと一緒に戦って来て今までもっとすごい戦いを味わってきました」


 パシュン!


「そうです! 私達だって!」


 パシュン!


「そうねさっきー。私達だって負けてないわね!」


 パシュン!


 随分と頼もしい仲間達だ。

 俺の仲間達はこの数の敵を相手にして全く臆さない。


「グオォォン!」


 スケルトンキングが雄叫びを上げた。それによって全てのマミー達が俺達に気が付き、一斉にこっちに向かって歩いてきた。

 正直暗殺者の如く見つかっていない内に出来るだけ減らしておきたかったが仕方が無い。マミーから距離を取りながら少しずつ減らして行こう。


「皆さん」


 すると、サキちゃんがみんなに声をかけた。どうしたのかと思ったらサキちゃんは弓を構えて手に十本位の杭を持っていた。

 何をする気だ? そう思っていたら引き絞った弓を放った。


 すると、


「「「グェェエエっ」」」


 手に持ってた杭が全てそれぞれ別々のマミーに直撃、一度に大量のマミーを倒す事に成功していた。

 って何それすごい。


「さっきーのマルチショットね。一度に十本しか放てないけどそれらは確実に全てヒットする。さっきーの奥の手」

「はい! なのでお兄ちゃん達はスケルトンキングをお願いします! マミーは私に任せてください! 絶対にお兄ちゃん達には近づかせません!」


 サキちゃんの弓の腕が凄いのは分かっていたがまさかここまで出来るとは思わなかった。

 だが、この腕前ならば背中を任せるには申し分無い。むしろこちらから頼みたいくらいだ。

 マミーを倒し、それからキングとなるとかなりの時間がかかる。

 ただでさえ強そうなのに夜になって凶暴化されたら倒す所の話ではなくなる。ここはサキちゃんに任せるのが最善手だろう。だけどまだダメだ。


「ユユ。お前もサキちゃんを手伝ってやってくれ」

「え? 私もですか?」

「ああ、頼む。これはお前にしか頼めないことなんだ」

「わ、私に……しかっ!」


 ユユの水操作。これはただ水を操るだけではなく液体を状態変化させることが出来る。つまり凍らせられる。凍らせれたらマミー達の足止めも出来るだろう。マミーを倒すのには今、一番有効な二人だ。


「分かりました! 私、絶対にヒロさんを守ってみせます!」

「ああ、頼んだよ」


 ポンとユユの頭を軽くなでると俺はスイちゃんに向き直る。

 スイちゃんの戦いは何度か見たがそれはお見事なものだった。奴らは基本的に火と光が苦手だが、地味に俺は水も弱点だと思っている。

 奴らは水を被ると動けなくなる。そこを攻撃、見事な戦略だ。


「スイちゃん。君は俺と共にスケルトンキングを倒そう」

「初めてあなたと組むわね」


 杖をがっしりと握るスイちゃん。

 いつも男勝りでカッコイイ雰囲気のあるスイちゃんだが、今は一段とかっこよく見えるから不思議だ。

 こりゃ俺も頑張らないといけないな。そう思って俺は右手で剣を握り直した。


「オーライ! 俺達の底力を見せてやるよ!」


 ☆☆☆☆☆


「ただいま戻りました」

「ハルトか。奴らはどうした」

「今頃キングスケルトンとマミーの餌になっている頃かと」


 オーライとハルトはとある部屋にて集合した。

 二人は裕斗達の様子をモニターで観察する。すると、不可解な光景が目に映った。


「マミー達が物凄い勢いで減っていっている!?」

「どういう事だ……まさかあいつ!」


 してやられた。そう思ってオーライは机を叩き割った。

 オーライは気がついたのだ。カラタが裕斗達にマミーに対抗する策を授けていた事に。

 マミーは斬られても死なない。魔法も包帯が防御すると思って油断していたが、まさか杭を持っているとは思わなかったのだ。


「くくく、決めたぞハルト」

「なんですか?」

「俺は侵入者ら全員をコレクションとする事にしたぁっ!」

「…………っ!」


 オーライの言うコレクションとはゾンビの事だ。オーライは人間をゾンビに変える薬を持っている。それでゾンビ化させるのだが、ゾンビ化したら成仏できずにこの世に留まってしまう。


「ヒロト君。オーライとは戦うな」

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