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第100話 幻の街と死闘19

 今回は記念すべき第100話です!

 なんだかんだ不定期だと言ってこの100日間、毎日投稿をしていたんですよね。


 多分あと少しこのルーダン編は続くと思われます。


 それでは本編どうぞ!

 パイプとユユはそこらに出てくるゾンビ達を倒しながら進んでいた。


「しっかし、なんでゾンビしかいないんすかね。この宮殿に入ってからゾンビしか見てないっすよ」

「……」


 パイプは一生懸命話題提供に勤しむも、ユユがそれをシャットアウト。どうしたもんかとパイプは内心困り果ててしまう。

 なんとか会話くらいは出来るようになろうと必死にユユの気を引けそうな事を言い続けるが、ユユはさっきからそれを全無視していた。

 ユユは知らない男と、更に言うと裕斗と一緒に行動出来なかったことで不機嫌になっていた。


(なんでこんな知らない男と)


 最初のうちはパイプもゾンビ討伐に参加していたが、パイプが話しかける事に不満はどんどん積もって行き、ついにはゾンビに八つ当たりとばかりに水針を放つまでになってしまったのだ。

 なので見えた瞬間にゾンビをロックオンして水針を放つ為、パイプが出る幕が無いのだ。


「はぁ……他の皆さんは今頃どうしてるのでしょうかね。もしかしたら俺達みたいにのんびりとゾンビを倒しつつ、何も無い部屋を探索するってもんじゃなく既に先頭があるかもしれないっすね」


 その瞬間、ユユは振り返り、走り出そうとした。パイプはそれを見て慌ててユユを押さえる。


「離して! ヒロさんが危険な目に合うかもしれない!」

「痛いっす痛いっす! 落ち着いて!」


 ユユはパイプを殴り蹴り、何としてでもパイプを振り払おうとするが、パイプの防御は異常なものなので口では痛いと言っていても正直あんまりダメージにはなっていなかった。

 だが、ずっとこのままだと困るわけでどうしようかと困り果てていると一つの部屋に灯りが着いているのが分かった。

 この建物内で灯りを付けるような奴って言ったら限られてくる。その為、パイプは少し身構える。

 そして少し強引に騒がないようにとユユの口を押さえ、抱えてその部屋前まで走った。


 部屋前に来たら少しだけ扉を開けて中を確認する。

 ユユは少し大人しくなり、一緒に中を覗く。


 パイプは目を見開いて驚いた。ユユは恐怖の余り、その場に座り込んでしまった。

 この世の物とは思えないような唸り声が中から聞こえてくる。それと同時に男の声も。

 しかもその声は一度聞いた事のある声だった。


「んー? やっぱりあんな存在自体が不良品なあいつよりも僕の作品は素晴らしいねぇ。こんなにも沢山いるんだから。流石僕が作った薬だ。完璧すぎて惚れ惚れするよぉ〜」


 腰をくねくねと動かしながら肩を抱く一人の男。

 その男は凶悪な目付きの仮面を被っており、白衣を来ていた。

 その目の前にはゾンビの大群。気持ち悪い声を上げながらそのゾンビ達を見てマスクの下で恍惚とした表情を浮かべていた。


 不気味だった。それに彼はゾンビ達の事を作品呼ばわりしていた。つまりこのゾンビ達は全員――その男が作ったという事だろう。


 そして更に恐怖を抱いたポイントは、ぐったりとして動けなくなっている人間も大人数ベッドに寝かされていたと言う点だろう。

 更にゾンビを一頻り見て満足したかと思いきや、今度は注射器を手に取り、そのベッドに寝かされている人の一人に躊躇(ためら)いもなく注射器の中に入った液体を注入したと言う点だろう。


「うぅぅぅぅっ」


 すると直ぐに変化は訪れた。

 なんと注入された人物は唸り声を発し始めた。それを見ながらその男は近くにあった三角フラスコを手に取り、その中に入っている青色の液体を一気に飲み干した。


「あれって入った瞬間にあった部屋にあった液体ですよね」

「恐らくそうだな。師匠が何の液体かと言うのを間違えるとは思えないから多分奴は毒が効かない」


 そこで二人はカラタからの助言を思い出した。


『科学者に気をつけろ』


 奴はどう見ても科学者だった。つまり、二人は遭遇してしまったのだ。

 そのカラタが恐るほどの科学者――オーライに。

 二人は同時に後退(あとずさ)る。

 二人の頭の中にあったのは『恐怖』と言う二文字だった。


 どんどん後退ると急に何かにぶつかってしまった。

 恐る恐る背後を振り返るとそこには、


「どこへ行くんだぁ?」


 オーライが居た。

 ついに数秒前は室内に居たし、出てくる気配も無かったのに背後を取られてしまった。

 カラタがあれほど念押しして逃げろと言った相手、戦った所で勝てる訳がないってのが分かりきっていた。だがこの状況、逃げ切れるとはとてもじゃ無いが思えない。


「ユユちゃん、出来るか?」

「問題……無い!」


 ユユが返事をしたその瞬間、パイプはオーライに剣を降った。

 それをオーライはバク宙をキメて躱した。


「甘いよぉ? バニラエッセンスより甘い!」

「いや、あれは甘くねぇだろ。語感だけで言ってるだろそれ」


 パイプは攻撃を躱されたものの、落ち着いていた。なぜならこの展開は想像ついていたからだ。

 こんなトリッキーな動きが出来る奴だ。これくらい簡単に躱してくれないと不自然だからだ。


「まだだ!」


 そこから連撃を放っていくが、全てを最低限の動きで躱して行くオーライ。そこでタイミングを狙ってユユは水針を放った。

 しかしそれら全てを白衣を翻してはじき飛ばした。


「僕の白衣は特性でねぇ。どんな攻撃でも受け流すんだよぉ?」


 オーライに遠距離攻撃は不利だ。

 ユユの攻撃方法は全て遠距離なのでオーライにまともにダメージを与えられるとは思えない。

 かと言ってパイプがこのまま単調に斬ったって勝てるとも思えない。

 パイプはオーライを斬り付けながら思考をフル回転させていた。


 そこで思いついた作戦は、


「フレイム!」


 パイプは詠唱をすると火属性の魔法を放つ。

 それを見てオーライは白衣で自分を覆い、防御をする。だが、パイプはそれが狙いだった。

 白衣で自分を覆うってことは視界が極端に悪くなるってことだ。つまり、今なら近づいてもバレない可能性がある!!


 そうと決まればと一気にパイプはオーライとの距離を詰めた。

 あと数cm近づけば攻撃範囲内、その時だった。


 チクッ。腕に何かが刺さる痛みが発生した。

 見てみるとそこには針が刺さっていてその針の元を確認するとそれは注射器の物だった。

 何かが体内に侵入してくる。そう思った瞬間にはパイプの意識は闇の底へ落ちていた。


「後は君だけだな」


 オーライがゆっくりとユユに近づく。

 ユユは震えながら一歩また一歩と後退って行く。

 もうダメだ。ユユはそう思った。


(やっぱり足でまといだったよ、私)


 その瞬間だった。

 ユユとオーライの間にある天井が急にボコっと盛り上がり、ユユとオーライを区切ってしまった。

 それにより、オーライはユユに近づけなくなり、ユユだけは難を逃れた。


 しかし、パイプが犠牲になってしまったのは事実。ユユは泣きながらその場を後にした。


「……ハルト」

「なんでございましょうか?」

「これはいったいどういう事かね、ん?」

「はて、何のことでしょうか? この建物もだいぶ古いですから老朽化が進んでいたのでは?」

「…………まぁいい。この男を運んでおけ」

「はい。仰せのままに」

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