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【本編完結】転生者は気まぐれ勇者  作者: ミズヤ
第一部 プロローグ
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第1話 灰色の世界

 はい!どうもみなさん!ミズヤです


 今回からこの転生者は気まぐれ勇者を投稿していきます

 え? 以前見た事があるって? ははは、そんな事は気にしない気にしない。


 それではどうぞ!

「なんだってんだよ」


 俺の口が無意識にそう動いていた。

 俺の視界に広がるは真っ赤な湖。

 そして至る所にもう動かない人間だったモノが浮いていた。

 その中心にはこの世のものだとは思えない形状の生き物らしき何か。


 やばい。俺もあいつらと同じ運命を辿ってしまうのか?

 嫌だ。

 嫌だ嫌だ嫌だ。

 逃げたい逃げたい逃げたい。


 そう思っても体は言うことを聞いてくれず、一向に動く気配がない。

 まるで体が自分の体じゃないみたいだ。

 そんな事をしている間にも真っ赤な湖の上に新たなモノが増えていく。

 怖い。

 俺はこんなに怖がりだっけ。

 まぁ、当然の反応だよな。目の前でどんどん人が抜け殻になって言ってるのを見たら誰だってそう感じる。

 だが、それでも俺以外の人達はその謎の生命体(カイブツ)に勇敢にも向かって行く。

 それを見るだけで俺がどれだけ弱者なのかを思い知らされる。

 だが、俺もただ弱者で終わるのだけは嫌だ。死ぬのも嫌だしこのまま無駄に生き長らえるのも嫌だ。

 贅沢なことをいっているのは自分でも分かっている。だが、どちらも嫌なんだ。


 そして俺の手を握ってくる少女。

 見たところ俺より年下だ。

 少女の顔は恐怖では染まっていない。俺を信用しているからだ。

 それだと言うのに俺は恐怖して逃げ出そうとして……。自分の不甲斐なさを実感する。

 そして年下の少女に励まされるのは男として格好悪いがそんな事はもうどうでもいい。


 だから俺は走り出す。

 自分の背中に背負った剣を抜いて謎の生命体に向かって走り出す。

 そして剣を振り下ろそうとしたその瞬間、俺の意識が途絶えた。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 目を覚ました俺、咲ヶ谷裕斗(さきがやひろと)は慌てて体を起こす。

 先程のが夢だったようで安心する。


 胸を撫で下ろしたものの、新しい一日が始まってしまった。


 今の俺は無気力。何をする気も起きない。

 新たな一日など俺にとっては地獄でしかない。

 毎日毎日同じ事の繰り返し。

 面白い事なんて何も無く、ただそこに在るだけの生きる屍だ。


 よくラノベの主人公は異世界に召喚されて人助けをして英雄になるが、俺はラノベの主人公になんてなりたくない。

 他人の言うことを聞くなんて真っ平御免だ。

 新しい楽しい事を願うものの、人助け系なら要らない。それが俺の考えだ。

 まぁ、俺が異世界召喚なんてされる訳が無いか。こんな生きる屍を召喚するやつなんている訳が無い。

 気まぐれでやる気はゼロで、その上人助けなんて一切しない。この世で最もラノベ主人公とかけ離れた存在だと思う。


 だがそんな俺が珍しく出かける。

 欲しい本があるからそれを買いに行く。

 無気力ではあるがそれでも好きなものは少しだけある。それが読書だ。

 読書をしていれば自分の世界に入れる。だからこそ全てを忘れて読めるからこそ俺は読書が好きなんだ。

 本なら色々なジャンルを読んでいる。恋愛やミステリー、SF等々色々読んでいる。


 支度を終えて俺は久しぶりに家から出て陽の光を浴びる。今日は特別日差しが強い。

「この日差しはきついな。早く用事済ませて帰ってこねぇと干からびそうだ」

 手を太陽に翳しながら俺はそう言って歩き出した。


 少し歩いて本屋に着いた俺は本を何冊か買う。


「よし、遂に買えたな」


 そして俺は今、買った本を大事に抱えて帰路を歩いていた。

 ここら辺は人通りも多い都会って言う奴だ。だから人に酔う前に早く帰りたいという気持ちからか自然に早歩きになる。

 すると視界の端に本を読んでいる少女が横断歩道を渡っているのが見えた。

 危ないものの、俺と同じく読書が好きなのだろうと思って少し嬉しくなる。


 ──その瞬間、俺は見てはならないものを見てしまったような気がした。


 ものすごい勢いでトラックが少女に向かって走ってきていた。

 少女は気がついてない様子で、信号を見てみると横断歩道側は青だった。つまり道路側は赤なのだが、何故かもうすぐで信号なのにスピードを緩める気配が微塵感じられない。

 何かがおかしいと思って自慢の視力を駆使してトラックの運転席を見ると、運転手の首が倒れていた。

 これらの情報から分かることは、


「クソっ! 居眠り運転か!」


 俺は理解した瞬間、瞬時に駆け出した。少し前に俺はラノベ主人公とは違うと言ったばかりなのに、俺はせっかく買った本を投げ捨てて駆け出した。

 そして俺は少女を突き飛ばした。

 俺が突き飛ばした少女は俺が突き飛ばしたことにより「え?」と驚いた声を出す。

 安心して横を見てみると、もうトラックが目と鼻の先に迫ってきていた。

 全てがスローモーションに見えた。

 人間、死ぬ前は動体視力のコマ数が上がってスローに見えるらしい。それを感じて俺は死を確信した。

 そして視界がキラキラと光り始めた。

 その景色を最後に俺は目を閉じた。


 そしてトラックが通り過ぎた。

 しかし目撃者によると通り過ぎた後には何も無かったという──。


『いでよ勇者。そしてこの世界を救ってください』

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