神代に語るる英雄の物語【序章】 5
読んで頂きありがとうございます。
まだまだ、このバカ話は続きます。
時々でも気にかけてくださいまし。
「おはよ~」
おう、おはよう。
「また売れない展示物やってるの?」
まぁな、店主はわざわざ外まで見に来る事がないから、俺が顔隠してる事も気づかずに毎日毎日外の空気を吸わせてくれてるよ。
「あはは、他の子たちはアピールしまくってるからね、まさか売れないように頑張る子がいるとは思わないでしょ~」
ん?そうなのか?
売れない方が良いってアドバイスを・・・
「そんな事よりスキルの方針決まったよ!」
会話をバッサリ切りやがったな。
「いやいや、重要なお知らせだからね」
そうだろうけどさ・・・
あと、全然相談に乗れてなかった気がするんだが、解決したのか?
「うん。ってか、そもそも悩んじゃいけない事だったとチョット実験しただけで気付けたよ」
悩んじゃいけない事ってなんだ?
大枠を決める相談だけで、どんなスキルを・・・とかの話じゃないから、あんまり深刻な事にはならないと思って気軽に相談に乗る気だったんだが。
「僕もそう思ってたんだよ。だから、ココとは昼夜が逆になる島国で差し障りのない実験してみたんだけどさ」
実験って大丈夫なのか?
「大丈夫、ちゃんと考えてやったから」
微妙に不安なんだが、また巻き戻せばいいや!とか思ってそうだし。
「それは無いよ。君たちを招いた時に巻き戻しはしないって決めたから」
そう!
それだよ!
『君たち』の部分なんだが・・・・
「でね、実験の内容なんだけど」
言う気なしかよ・・・
「うん。今言うと面白くないって気づいちゃったもんね~」
あっそ、んで実験は?
「慣れた行動をスキルにする方法なら、特別にスキルを与える事も無く確認できるんじゃないかと思ったんだよ」
あ~、これまでの生き方が反映されるだけだから、妙な事が突然できるようになる訳でもないと?
「そうそう。んで、それを僕だけが見れるようにしてみたのさ。そうすれば当人たちも気づかずに終わる実験になるでしょ?」
まぁ、そうだな。
ぶっちゃけ、お前が覗き見してるだけだからな。
「なんか言い方にトゲを感じる」
それは、お前自身がやましさを感じているからだろ?
「まぁ、いいや。んでね。見てみたらビックリだったんだよ」
何が?
「ほぼ全ての国民が高レベルで取得してるスキルがあります!さて、それは何でしょう!」
クイズか?
毎日の行動でだろ?
歩行とかか?
「おしい!歩行はスキルに現れなかったね。代わりに【右足】と【左足】と【杖】とかあった」
随分と細かいんだな。
「でも、それで利き腕とか利き足とかがわかったよ」
なるほど、熟練度を測るって考えると左右で別になるのか?
「そうみたい」
んで、答えは?
「まずは【呼吸】と【食事】だね」
あ~~~。
行動をスキル化するとそうなるのか?
「そうみたいだね。ちなみに、消化はスキル化されてなかったけど【吸収】はあったよ。燃費の良い人と悪い人の差が見える感じだね」
なんかゲーム的な感覚だと【吸収】ってスキルがあると別なの想像するな。
「そうなの?」
なんか【ドレイン】系の技を想像させられる。
「あ~、確かに言われればそんな感じもするね」
だろ?
「で、問題はココからなんだよ」
問題?
またクイズか?
「違うよ。スキルの問題点って意味」
あ~、そんな事言ってたな。
「【食事】と【吸収】、次は何がある?」
まさか・・・【排泄】か?
「正解!いや~・・・これのスキルレベルを公表しちゃダメでしょ・・・」
まぁ、異様に高いレベルの【排泄】スキルなんか他人に知られたら、それだけでアダ名が決まるな。
「だよね~。しかも【排泄(大)】【排泄(小)】【放屁】まで揃ってるからね」
それは知られたくないな・・・
いや、むしろ知られるのが当たり前の世界になっちまえば、深刻な問題にならないのか?
一応健康のバロメータ的な考えもできるし。
「まぁ、そうだね。そういう考え方もあるね」
ん?その反応からすると、他にも重要な事があるのか?
「うん。今言ったスキルがあるっていうのは前提の説明でしかないからね」
ほうほう。
「多くの女性、しかも身分が高い人ほどレベルが高いスキルが発現してたんだよ。それも【剣術】で同レベルだったら、剣聖って呼ばれちゃうくらいの高レベルで」
【排泄】でか?
あんまりイメージわかないが?
「違うよ。これは鍛錬によるスキルの発現だね」
ん?そこから派生スキルが出た感じか?
「そうそう、その名も【放屁制御】!」
なんじゃそりゃ?
「いや~~~結構みんなガマンしてるんだと思い知らされたよ」
俺は、それを聞いてどうリアクションしていいのかサッパリだが。
せっかく気取られないようにガマンしてんのに、スキルで必死さがバレたら悲しい気持ちになるな。
「でしょ~?他にも貴族達には色事系のスキルが満載だし、特殊な性癖とか全部レベル表示付きでバレるんだよ」
権威もクソもね~な。
「でしょ?スキル公表したとたんに『M奴隷伯爵』とか噂されるようになるんだよ」
ある意味楽しい世界ではあるな。
「国家の危機だよ!」
ちなみに、王様は何持ってた?見たんだろ?
「王様は比較的まともだったよ。でも、王子2人と王女3人いるのに子作り系スキルが無かった」
あんまり慣れてないとかか?
王族も色々あんのか?
「替わりに、王妃の方に【宰相の奴隷】がついてた」
大問題じゃねーか!
「ね?公表できないでしょ?」
だな、そりゃ無理だ。
ちなみに、それやると、俺はどんなスキルが出るんだろう?
食事や排泄はおいといて、この体のスキルがでるのか、元の俺を想定したスキルが出るのか。
「まちまちじゃないかな?利き手で左右の筋力違うから、そこは体のほうにスキルが寄るだろうけど、日々の行動の部分は元の世界の方に片寄ると思うよ」
なるほど。
「僕の見立てでは【剣術】と【柔術】は出るんじゃないかな?」
【柔術】はジイさん仕込みだから出るかもしれないけど、【剣術】は高校の部活で3年だけだぞ、しかも剣道が【剣術】になるとは思えないんだが。
「そうなの?」
剣道って『切る』事はあまり想定されてないからな。
一応、竹刀の振り方とかはそれを元にしてるけど、当てる事が目標になってるスポーツだからな。
「なら、意外と【棒術】が出るかもね」
あ~、それなら変則的な感じでアリかもな。
あと、基礎は活きるだろうから、実際に剣を振れば【剣術】が成長しやすいかもな。
でもまぁ、何を考えた所で、この方針は無いって事だろ?
「そうなるね。だから、君の冒険の始まりに合わせて、スキル取得方法を世界各地に忍ばせておく事にするよ」
遺跡とかから発見。みたいな方針でいくのか?
「うん。この方向性ならスキルを公表する必要もないしね。使う本人だけ知ってれば問題ないでしょ?」
まぁ、決定事項ならそれに俺が何言ってもしょうがないしな。
「じゃ、日も傾いてきたし、またね~」
おう、おやすみ。