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神代に語るる英雄の物語【序章】 4

拙作を気にかけてくださりありがとうございます。

一人でも読んでくださる方が居ることを嬉しく思っております。


「おはよ~」


ん?来たな!

この前の32人って・・・・


「そんな事より一つ相談に乗ってほしいんだよ」


そんな事って・・・要件を聞く前に『そんな事』扱いかよ・・・

まぁ、相談ってのも珍しいから、聞くだけ聞こうじゃないか。(諦め)


「スキルってあるじゃん?」


まぁ、ゲームとかにはあるな。


「ゲームじゃなくてラノベでも大流行さ!」


ほほぅ。そんな事になってるとは・・・

ゲーム的な知識しか無いぞ。


「十分だよ。ご都合主義以外は同じものだから」


まぁ、小説なんて恋愛からSFまで、ご都合主義以外何もないだろ。

色々お膳立てして、そう思わせないのが作家の手腕ってトコだな。


「んでね、スキル方式をこの世界に採用しようと思うんだけど、ドッチが良いかな?って思って」


ドッチって、何が?


「スキルの在り方?的な?」


うん。サッパリわからん。


「えっとね。ラノベに出てくるスキルの取得方法って、大体2系統なんだよ」


ふむ。


「で、一つが『ある一定まで慣れた行動を取るとスキルとして認識される』方法と『なんらかの切っ掛けでスキルを取得すると、その行動が取れるようになる』の2種類だね」


う~ん・・・

つまり、努力してスキルを身に着けるか、スキルを買うか拾うかして労せずして成長するって事か?


「うん。微妙に違う」


説明してくれ・・・


「最初のは『慣れる』事をスキルと言い表してる感じ?後のは『普通の人じゃ出来ない事』がスキルの種類に多く出てくる」


つまり、スキルの種類も変わってくるのか?


「そうなるね」


ってか、それだと最初の方のはスキルなんて扱いをする意味あんのか?

努力して身に着けたんだから、わざわざスキルなんて言い方しなくても良くないか?


「いやいや」


なんか間違ってるか?


「スキルって言葉をゲームから切り離して考えてよ」


う~~ん・・・

あ、そうか、単純に『外語が喋れる』とか『計算が早い』なんてのは元の世界でもスキルって言われるな。


「でしょ?だからそんな感じで、それを目視できるようになってるから、読者に伝わりやすいし、主人公も行動目標にできるって感じだね~」


なるほどな~。


「だから悩むんだよ。僕の個人的願望では、特殊なスキルを使いまくる主人公が派手でスキなんだけどね」


はっはっは、特殊なスキルを使おうにも、今は展示中奴隷なんだが・・・


「でも、魔法もあるしスキルで派手にする必要もないかな?って」


魔法あんのか?


「あるよ。この世界の一番のこだわりポイントだよ」


でも、なんか魔法が使える感じがしないんだが、体とは別に魔力的なものがあるのか?


「そういう事さ。通行人の人たちのベルトとかに全員緑色の水晶みたいなの着けてるでしょ?」


あー、アレなんだろう?って思ってた。


「あれが電池みたいな感じで魔力貯めてて、魔法を使えるのさ」


使い捨て?


「ううん。一定時間で回復するようになってるよ。回復量も、所持してる人がこれまで消費した魔力に応じて早くなるように設定してるよ」


成長できるって事か?


「成長しているように誤解させてる」


どういうこと?


「人間が努力を向ける方向の一つとして与えてるからね。そうする事で魔法が得意な人とか剣が得意な人とかが出てくるようになるのさ」


なるほど、剣の修行をしてれば魔法の修行をする時間はなくなり、逆もまたしかりと言うことか。


「そういうこと。よく考えてるでしょ?本来は魔法なんか誰が使っても変化なんか無いからね。ぶっちゃけただの奇跡の貸し出しだから」


そうなると、成長に合わせて水晶っぽいのを替えていく必要があるのか?


「それは大丈夫。魔法を使う時に水晶にある魔力から発動する魔力への変換に抵抗値をつけてるから、成長(笑)にしたがって抵抗値を自動調整されるのさ。物を替える必要はないよ」


それだと、良い水晶を持ってた方が最終的に有利って事か?


「ないない。そもそも水晶の本来の力の170億分の1も使ってないから大丈夫」


そんなにか。


「ふふん。神の奇跡を甘く見ない事だね」


はいはい。

それは良かったな。


「ま~た軽く見られた・・・」


でも、それだとゲームでいう最大MPが増えてくだけで、魔法の成長は実感できないんじゃないか?


「ちゃんと、同系統の威力と消費魔力の違う魔法も取り揃えてるのと、成長(笑)に合わせて威力が違ったり詠唱が短くなったり無くなったりする同名の別魔法に切り替わったりするよ」


なんだその『同名の別魔法』って?


「んとね。熟練の魔法使いが一般的に戦闘で使う魔法は『ファイアボール』なんだけど」


まぁ、ありがちだな。


「使えるようになったばっかりの『ファイアボール』を通常とすると、成長によって9種類の『ファイアボール』が使えるようになるのさ」


んん?全部『ファイアボール』なんだよな?


「そうそう。本人は『ファイアボール』に慣れた、もしくは使いこなせるようになったと錯覚してるけど、同じ名前なだけで別の魔法なんだよ」


ややこしくないか?


「ふふふ~ん。これが大切な事なんだよ。まずは通常の威力で詠唱あり、詠唱短縮、無詠唱の3種類」


なるほど、そうやって成長を実感するのか。


「そうそう。順番的には通常威力の詠唱短縮の次は、威力1.5倍の詠唱ありで、その次に1.5倍の詠唱短縮。大体ここで人間の寿命が終わる」


9種類もいらねーじゃん。


「いやいや、ひとつまみの天才や、長寿の種族もいるからね」


ほうほう。


「で、次が通常威力の無詠唱」


威力下がったらガッカリしないか?


「詠唱すれば1.5倍のが打てるよ。なにせ別魔法なんだから」


なるほど。


「意識すれば、ちゃんと通常威力の詠唱ありも打てるのさ。そうしないと先生になれないからね」


色々考えてんだな。ちょっとだけ尊敬したぞ。


「ラノベ読みまくったからね。どうやったら都合をつけられるか必死に考えたさ」


うん。ちょっとだけ尊敬を返してもらうぞ。


「そのまま尊敬してください・・・」


まぁ、尊敬は無理として、次はどうなるんだ?


「尊敬してもらうとして、次は1.5倍の無詠唱だね」


3つ残してるが、なんか特別なのか?


「うん。この後は威力15倍の詠唱あり、詠唱短縮、無詠唱って続くから」


15倍って・・・・またブッとんだな。


「それくらいないと『いまのはメ〇だ』が出来ないじゃん」


それがやりたいだけか?


「重要な事だよ!」


重要って・・・・いや・・・ラノベっぽくする為だけに世界を作り変えたんだっけか・・・

いや、今更だがゲームっぽい世界を追いかけてるのが、お前の好きなラノベの世界なんだよな?


「そうだよ」


それは単純にゲームっぽい世界じゃダメなのか?


「ダメだね」


それはどうして?


「ラノベは主人公にだけ優しい」


そうなのか?結構不遇な主人公もいそうだけど?


「不遇を装って、実は優遇がラノベ」


う~ん?


「不遇が不遇のままなら、それは文学作品とか普通の小説じゃん」


そうなのか?


「そうだと実感してるよ。大体にして不遇を訴える作品の多くは大体1巻の序盤で不遇を克服しちゃってるからタイトルと内容がドンドンかけ離れてく作品が多い」


ふ~ん。


「異世界物なんかは、元の世界の立場なんかをタイトルに入れちゃったりしたら、長く続く話に何の影響も意味もないタイトルになったりしてて笑える。主人公も前職を活かすキャラ付けとかされてないしね」


それは・・・雑貨の小売りだった俺にはどうしようもない部分だな。

この世界で商売でもしようにも、そんなノウハウなんかねーぞ。

雇われ店長をなめるな。


「まぁ、それが現実って事だよね」


だな、世知辛い・・・・


「でもラノベ主人公はなぜか元の世界の知識を不自然に、そして過剰に知っている」


だろうな。

俺に期待すんなよ・・・科学知識とか無いからな。


「その辺は大丈夫。僕が都合よくサポートするから。」


・・・・・・・うん。ギャグマンガにしかならんな。しかも巻末の4コマ的な・・・


「ひど~~い。がんばってるのに~~~」


今までのやりとりで、何かカッコいい事あったか?


「それはほら・・・まだ冒険は始まってないっていうか・・・これからに期待っていうか・・・そろそろ時間だから帰る!」


おい!逃げるな!





行ったか・・・


そもそもスキルの相談に乗れてねー・・・

俺の聞きたかった事も何も聞けてねー・・・・


まぁ、メシくって水浴びして寝るか・・・

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