神代に語るる英雄の物語【序章】 3
コレに気づいていただき、ありがとうございます。
現状で完全に不定期となってしまいますが、地道に書いていこうと思います。
よろしくお願いいたします。
「おはよう。今日もコッチなんだね?シフト制とか言ってなかったっけ?」
おはよう。
シフト制なんだけどな。俺は見た目がいいから最低1日1度は組まれてる。
「それは大変だね。売れちゃうんじゃない?」
売れねーだろ。
見た目が良くても、その見た目を膝で隠してるんだ。
俺のこの抱えた膝を手放すことはありえない!
「なんの宣言さ・・・」
そんな事より聞きたいことがある。
「ん?この世界に興味持った?そろそろ旅立っちゃう?」
売れる以外でこの状況を打破できない限り旅立てねーよ。
売れちゃったら、そこで人生確定じゃねーか。
そうじゃなくてな。
今朝先輩が一人売れたんだよ。
「それは、おめでとう?」
まぁ、疑問符はつくよな?
「それで何が聞きたいの?」
売れた金額が28万7千273円54銭だったんだよ。
「おおう、結構な値段だね。キリも良いし、商談も良い感じでまとまったみたいだねー」
やっぱりキリの良い数字なのか?
なんかの同じ貨幣を十何枚か支払っただけだったんだが。
「で、何を聞きたいの?」
金額だよ。
「ん?」
なんで無茶苦茶半端な金額でしかも単位が『円』なんだよ。
「んん?」
あれ?理解されてない?
「んーーー?あ!」
なんか気づいたか?
「翻訳の問題かな?僕には普通にコッチの言語で聞こえてるから、そこに疑問を持たれると、僕には伝わりにくいんだよ。」
そういうもんか?
「ちょっと待ってね。少し調整する」
・・・・・・・・・・・・・
「ん。終わった。進数が違うから面倒くさい」
じゃ、説明よろしく。
「彼が売れた金額は16万メリルだよ」
メリル?それがこの国の通貨か?
「そうそう。それが翻訳で君の認識上での基本通貨になってる『円』に直して翻訳されてたみたいだね」
翻訳ってそういうもんか?なんか違う気がする。
「言語の翻訳ってのは、色々と面倒なのさ。理解するのに完結してないと翻訳は成り立たないからね」
うん。いまいちわからん。
「例えば、きみが別の世界じゃなくて、別の国に来てると想像してみてよ」
わかった。
「んで、通訳さんが現地での買い物を手伝ってくれるとして、『10万ペソです』って言われたら、何円なのか計算するか、何円くらいになるか聞くでしょ?」
まぁ、そうだな。
「つまり、そこまでいって翻訳の完結って事だったんだよ」
なるほど、超便利すぎて、わけわからん状態になってたって事か?
「そういう事かもね。他にも問題出てきそうだねー」
そうだな。
「翻訳じゃなくて、両方の言語を理解するようにした方が良かったかもしれない」
それはそれで、この世界では日本語の存在価値がないだろ?
誰にも通じないんだし。
「まぁ、この世界では日本語知らなくて困る事はないよね」
だろ?
「でも、日本に戻った後に認識の問題が色々あるかも」
やっぱり戻れるのか?
「そりゃそうさ、戻れるように色々としてるしね」
色々の部分が無茶苦茶気になる。
「色々は色々さ。死んでるわけでもないし」
そうか、生きてるのか。
「体が無くなっちゃうと、さすがに戻せないよ。また別の体にしちゃうのも困るでしょ?」
まぁ、そうだな。
「だから眠ってるように見える状態で固定してる」
固定?
「そうそう。固定。あらゆる現象から隔離されてる感じ?」
いまいち理解できん。
「簡単に言うと時間が止まってる。それだけじゃ無いんだけど」
じゃ、俺は今も日本の店で立ったまま?
「いやいや、さすがに動かされてるでしょう」
動かす事はできんのか?
「止まってるのは君の体だけだからね。外部からの影響で動く事もできるよ」
んじゃ、もしかして殺されたりは?
「無理だね。君の中は時間に影響されないから、刃物や針もレーザーも止められるし、呼吸も消化吸収もしてないから薬物も効かない」
おおう、なんかスゲーな。
むしろ、なんかの研究施設にでも送られそうだな。
「あ・・・その可能性考えてなかった・・・死ななきゃ良いやって事で話まとまってたし」
おい・・・
「ちょっと向うの神たちと相談してくる」
まぁ・・頼む・・・戻った瞬間に変な実験中で死ぬとか勘弁してほしい。
「はいはーい。たしかに同時に32人もそんな状態の人が発見されたら大問題だからね。じゃねー」
ん?おい!32人ってなんだ!
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
いっちまったか?
10年前で32人って・・・まさかな・・・