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094 鬼っ子はレイナスの幼馴染

 レイナスの幼馴染だという鬼の女の子『ラキ』が水晶のダンジョンの最深部までやって来る。

 どうやらレイナスを探しに来たらしい。


 俺に攻撃を仕掛けてきたので、サンダースピアで気絶させ、家へ運んで休ませる事にした。


「……っくはぁ! ア? アタシは、負けたのか?」


 ベッドからガバっと起きるも、手元に金棒が無い事で、負けを悟った様だ。


「くぅ、流石はレイナスを操る男か。アタシもそうする気なんだな」


「いや、操って無いし、誰にもしないぞ」


 むしろ、逆に手玉にとられている感じが時々あるくらいだ。


「ねえ、ラキ、勝負はついたわよね? 納得できるかしら?」


「ぬぅ~、あれは、全力じゃ無いんだぞ! お腹が減って力が出ないんだ。それはレイナスもわかるだろ? だから、アタシはまだ負けてない!」


 頭をかきむしりながら、ベッドの上でタスタスと地団駄を踏んでいる。

 子供が駄々をこねている様にしか見えない。

 言っている内容もそんな感じだ。


「本当にそう思う? マスターも全然本気を出してなかったけど、ラキとは意味が違うわよ? 貴女ならその違いをわかるんじゃないかしら?」


「……そうだな。仕方ないぞ。きっと一撃だったんだろう?」


「そうね。ちなみに私も同じやられ方だったわ」


「そうか……」


 レイナスとラキは、何やら分かり合っている。

 ラキの身体に異常は無いようなので、食事をしながら話す事にした。

 金棒を振り回していたけど、空腹で力が出ない状態だったみたいだし。


「美味しいぞ!? なんだコレ!」


 ラキはほっぺをハムスター並みに膨らませる勢いで、食べ物を口に突っ込んでいる。

 それでも喋れるとか、器用だ。


「ウチの野菜は旨いだろう」


「野菜? これが? ふざけてるのか? 野菜がこんなに美味しい訳無いぞ」


「まて、どこにふざける要素がある?」


「マスター、事情があるのよ」


 レイナスが言うには、彼女達の世界では、ここ千年以上作物の不作が続いているらしい。

 野菜は非常に貴重で、不味くしなびた物でも収穫できれば奇跡のレベルだとか。

 使える農地も麦を育てるのが手いっぱいで、他の作物を育てる余裕も無いらしい。


「それでそっちの世界は大丈夫なのか?」


「あまり良く無いわね。ここで言うビタミンなんかは、獲物の内臓からとっているの。腸の中の物もなるべく無駄にしないわ。それでも皆に十分は行き渡らないわね」


「だから、強いやつは偉くなるんだぞ」


 異世界は弱肉強食の様だ。


「美味しい物があって、強い男がいて、ダンジョンの中だったら、レイナスが帰って来ないのも無理ないぞ」


「まあ、そうね」


「だからって、何カ月も連絡しないとか、ダメじゃないか。あ! 心配なんかして無いぞ! レイナスを飲み込んだダンジョンがどんなか、アタシが踏破して証明に来たんだからな。アタシの方が凄いんだってな!」


「ツンデレさんか?」


「まあ、昔から素直じゃない子ね」


「ツンとかデレとか変な事言うな!」


「話しを戻すけど、レイナスの所在を確認に来たって事だな」


「それは、まあ、そうだぞ」


「こうして無事を確認できたわけだ。それでこの先はどうするんだ?」


「この先って? ……何を?」


 ラキは、きょとんとしながらも、せわしなく食べ物を口に運んでいる。


「マスター、この子、いつも考え無しなのよ」


「何だよ、レイナスだってそうだろ?」


「そうかもしれないけれど、貴女程じゃないわ」


 レイナスとラキはやいやい言い合っている。

 ラキは考え無しっていうより、心配で居ても立っても居られないって行動しちゃった様に思うけれどな。

 何というか、この2人は遠慮の無い仲なんだろうな。



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