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093 新たな来訪者

 山桜の後の激動のゴールデンウイークを乗り切った。

 妖精の隠れ里サイト効果で、今年のお客さんは激増した。


 レイナス達3人も受付に慣れて、スムーズな案内ができるようになって助かった。

 ただ、これ以上お客さんが増えるとなると、人手が足りなくなりそうだ。

 短期でパートやバイトを雇うのも、ウチには秘密が多すぎて気軽にできない。


 天狐の一族の手の者に助けてもらうにも、事情に通じている人は既に色々な仕事があって、バイトとして手伝ってもらうのは無理そうだ。


「妾が一声かければ、彼奴らは喜んで働くがの」


「ブラック! ダメ、絶対!」


「そ、そうかや」


 喋れて自律型のゴーレムを、ガラテア以外に呼び出せないかと試してみたが、それはできなかった。

 彼女だけが特別みたいだ。

 人手を増やすのは、まだ難しそうだな。


 その他、トイレの増設やバーベキュー専用サイトの計画などを練っていたある日。


 水晶のダンジョンに詰めていたコアから、警報が届く。

 どうやら、転移ゲートのある層まで到達した探索者がでたようだ。

 コアから届くイメージは……子供か?

 異世界だから、小柄な種族の大人って事もあるか?


 留守を天狐に任せて、急いで向かう。



 ▽▼▽



 水晶のダンジョンに向かうと、ゴーレム達が小さな女の子を取り囲んでいた。


「全くオマエら何なんだ? 変な看板出して言葉はわかるんだろ? 早くゲートを通すんだぞ! いい加減、アタシも怒るぞ!」


 女の子は鬼が持つ様な巨大な金棒をブンブンと振り回して、クリスタルゴーレム達を威嚇している。

 金棒は、俺の身長位はありそうだ。

 そして、女の子のウルフヘア頭からは角がちょこんと生えている。

 鬼っ子なのか。


 ちなみに、ゴーレム達は

 

 『この先は関係者以外立ち入り禁止です。

  御用の方は係りの者をお呼びします』

  

 と異世界の文字で書かれた看板を持っている。


 これを読んで、鬼の子は待っていたらしいが、その我慢も限界だった様だ。

 間に合って良かった。


「待たせたな。俺がここのダンジョンマスターだ。あんたは何者だ? 何の用だ?」


「何だオマエ? 変な事言うな。 アタシは人探しに来たんだぞ」


 自身の身長の倍はある棍棒を高々と掲げる鬼っ子。


「あら、ラキじゃない。久しぶりね」


「レイナス! 久しぶりじゃ無いぞ! 何してるんだ!?」


 おや、知り合いか?


「どういう関係の人だ?」


「そうね、しいて言えば幼馴染ね」


「違うぞ! 腐れ縁だ!」


「……まあ、知り合いではあるんだな。家まで来てもらっても大丈夫か?」


「そうね、たぶんここまで来るのに彼女の食料も乏しくなっているでしょうから、何か食べさせてあげましょう」


「待て! 勝手に決めるな! だいたいオマエ、レイナスに慣れ慣れしいぞ! 何なんだ!?」


「だから、俺はダンジョンマスターなんだけど、詳しい説明は難しいな。飯でも食いながらゆっくりしないか?」


「そうか、そうなんだな? 怪しい事言って、レイナスに変な術でもかけて操っているんだろう? わかったぞ、アタシはオマエを倒してレイナスを連れて帰る!」


 鬼っ子は何故か勝手に自己完結して戦闘態勢に入った。

 今までの威嚇とは違い、必殺の気合を放ちながら棍棒を振り上げる。


「レイナス、良いのか?」


「仕方ないわ。彼女は力が判断基準なのよ」


 やるか、やられるかの状況になりそうだけど、念のため最後の警告をしてみる。


「おい、ラキとやら! それ以上威嚇するなら、雷撃を撃つぞ! レイナスも倒した強力なやつだ。でも傷つけたくないから、ちゃんと話しをしないか?」


「雷神様は鬼人の守り神! やれるもんならやってみれば良いぞ! 打ち返してやるからな!」


 それを受けて俺は――


 サンダースピア、弱めで。


「っんぎゃぁ!」


 そら、金棒を振り上げて持っていたら、そこに雷撃は飛びやすいわな。

 鬼っ子は倒れて気絶した。


「この、出会いがしらの話の聞かなっぷりは、流石レイナスの幼馴染だな」


「ええ、否定できない所が辛いわ」



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