091 スライム式魔動ドア
利用料を払わずキャンプ場の施設を使おうとする不埒ものが出始めた。
そういう人達には穏便に帰ってもらいたいので、頭をひねる。
コズミンがスライム達に良い案があるというので、任せる事にした。
具体的な内容やそれに至る経緯は以下の感じ。
汚水の処理や食べ物の発酵をするスライムが増えてきたが、同時に戦闘メインの兵隊スライムも来る様になった。
平和なウチのキャンプ場では、彼らの働く場が無いのでどうしたら良いか。
そんな中、挙がった今回の問題。
コズミンはコレだと思った様だ。
彼らが門番として働けると。
何も、戦わせる訳じゃない。
兵隊スライムは、群れを守るのが存在理由で、その方法は問わないらしい。
敵を殺さなくても、追い返せばそれで良いそうだ。
そういう性質なら、やりようがある。
魔力で動く自動ドア・通称:魔動ドアの開閉を彼らにやってもらえば良い。
魔動ドアは、様々なタイプ・材質の物がある。
岩の物や水のカーテン、うっそうと茂った蔦などなど。
まず、木を生やし、そこに蔦を張り巡らせる。
ダンジョンの蔦なので、簡単には切れない。
強度は鉄に近い様だ。
張り巡らせた蔦の一部を魔動ドアにする。
そして、開閉をスイッチ式にする。
目立たない物陰や高い場所に設置し、そこで兵隊スライムに適宜押してもらう。
それをするかどうかの判断は、受付を済ませた人にパスカードを渡して、それの有無でする。
フェスなんかで有るリストバンドでも良いかもしれない。
それらを身に着けたお客さんが、魔動ドアの前に立ち、ダミーの読み取り機にかざしてもらう。
その行動を確認したら、兵隊スライム達がスイッチを押して、ドアの開閉。
読み取り機があれば、鍵になる何かが必要と思うだろうから、それだけでこっそり入ろうとする人は減るだろう。
その目的でダミーを置く。
それでも強引に突破しようとする人は、遠慮しなくて良いんじゃないかな。
コズミンから説明を受け、妖精の隠れ里サイトをぐるっと蔦の柵で囲み、魔動ドアを設置した。
ダミーの読み取り機は、スチームパンク風遺跡のオブジェをダンジョン機能で置いてみた。
蒸気が時々しゅうしゅうと出て、何となくそれっぽい。
それにも蔦を絡ませれば、廃墟感が出て、趣深くなったと思う。
さあ、運用テストをしよう。
俺が魔動ドアの近くにゆくと、スライム達が物陰からこっちを見てそわそわしている。
存在がバレバレだが、大丈夫か?
「巧妙に隠れているわよ。知らなければ気が付かないわ」
「気が付いたとて、虫どもが騒いでいる程度と思うじゃろ」
コアと同期した影響で俺の感知力が上がっただけの様だ。
パスカードを取り出す。
スライム達は、失敗しないぞと緊張感を高めている。
こっちにまで、それが伝わって来る程だ。
ダミーの読み取り機にかざそうと近づけると――
「あ!」
魔動ドアは開いた。
「……ちょっと早かったわね」
「お手付きじゃな」
突風がびゅうっと吹いて、パスカードが手元から飛ばされてしまった。
まだ、ダミーの読み取り機にかざしていないのに。
フライングだ。
スライム達が、やってしまったとオロオロしている。
どうしよう、やっぱり無理があったか?
いや、早めに問題点を知れたから、良かったのだ。
『物は言いよう』を発揮する場面だ。
「最近の読み取り機は、高性能だな。ピッタリくっつけなくても、見えていれば読み取ってくれるから、凄く高性能だな!!!」
あくまでダミーの行動なので、開閉のタイミングはざっくりで良いのだ。
強気で言い切ったら、コズミンが狼狽える兵隊スライム達に、かみ砕いて説明してくれた様だ。
スライム達は、失敗していなかったと喜び、フルフルぽよぽよと踊り出した。
その後、何度もテストしたが、動作は問題無い範囲だったので、正式に働いてもらう事となった。




