009 ウサギ達に名前をつける
ウサギ達の為にニンジン畑を作った。
テントサイトをこれ以上潰すわけにもいかないので、森を新たに切り拓く。
斜面だが、段々畑みたいで良いだろう。
斬撃で木を伐採した後は、農作業のクワモードでクワを振るうと切り株まで一気に耕せた。
ゲーム的なご都合システムが現実化すると、こうも凄い物かと心が躍る。
ただ、注意したいのは、畑が視界いっぱいに広がるとなると、キャンプ気分が台無しになる恐れがある事だ。
本分はキャンプ場である事を忘れてはいけない。
なので、テントサイトからは見えない位置で畑を作った。
もし後々にペットが増えたら、ふれあいコーナーみたいな物も作りたいかな。
作業中にウサギ達は、邪魔せず離れすぎずで良い子にしていた。
距離感のわかる、とても頭の良い子達だ。
どれだけ頭が良いのだろうか?
どうやら、こちらの言っている事をかなり理解できるようだ。
夜に、名前を付けようとした。
「『金さん』『銀さん』でどうだ?」
名前を書いた紙をそっと前に出す。
タスンッ!
前足で勢いよく跳ね除けられた。
競技かるたができるほどに、見事な手さばきだ。
毛色の特徴を絡めて命名しようと思ったんだけど、安直過ぎたか。
ブーブーと不満の声だった。
「それじゃあ、『ゴルド』『シルバ』」
タスンッ!
こちらもダメなようだ。
幾つか案を出すと、何個かは跳ね除けないで保留となる。
そんなやり取りの結果、決まった名前が、金色の耳が垂れた方が『キラリ』、銀色の耳がピンとした方が『スモモ』となった。
『キラリ』は金色の体毛が艶やかに光るから。
色をそのまま名前にしなければ、それで良かったらしい。
確かに、金髪の人相手に「金髪」「金髪」と呼ぶのは失礼な感じだよな。
『スモモ』は古いロボットアニメの銀色の機体から。
果物の方では無い。
親衛隊の機体だという点が気に入った理由らしい。
そういうわけで決まったスモモとキラリ。
2頭(食べるわけじゃ無いので『羽』より『頭』で数える事にした)を撫でたり抱っこしたり撫でたりとしていたら、性別が判った。
キラリがメスでスモモがオスだ。
これは、増えるのだろか? 増えるのだろうな、ウサギだし。
でも、元がゲームと考えると、どうなのだろうか?
寝るのに部屋の電気を消したら、2頭はお盛んになった。
はは、ニンジン畑を広げないとならないかな。