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077 魔力の淀みを拡散しよう計画

 魔力が淀んで危ないので、それを散らせと天狐は言う。

 その鍵はコレだと、ドライフルーツの入っていた盛り籠を示した。


「籠で魔力を……? 全く分からん」


「マスター、たぶんドライフルーツの方じゃ無いかしら?」


「キツネは全部食べまシタ。食い意地旺盛デス」


「う、美味かったのじゃ。残さず食すが人の礼儀じゃろ?」


「まあ喜んでくれたなら良いけど、ドライフルーツがどう魔力に関係するんだ?」


「うむ、この干果物には上質な魔力が豊富に含まれておる。この土地で採れた物を干しておるのじゃろう? ならば、これを介して魔力を散らせば良い」


「お供え物の要求か?」


「これ、そう卑しくとらえんでくりゃれ。妾達だけでは更に広がるには時間がかかる。上流から広がるのを待つよりも、初めから下流に流す方が早く広がるものじゃ。多くの者に食べさせるが良いじゃろう」


「山にばら撒いて生態系のバランスを急激に崩すのは避けたいんだけどな。そもそも、他の動物に食べさせて大丈夫なのか?」


「問題無いぞえ。獣の勢力を気にするなら、人間同士で売ればよかろう」


「ずいぶんとハッキリ言い切るな。その根拠はあるのか?」


「妾達は土地と農耕を司るのじゃ。その妾が太鼓判を押す以上の根拠は無かろう」


「マスターのサンダースピアで気絶しまシタ。判断力が弱いデス」


「ちょっと根拠に乏しいわよね」


「あ、あの稲妻は二度と受けようとは思わん。喰ろうてみて理解したのじゃ。となれば、干果物も、喰ろうて質を理解したぞえ」


 う~ん、自称:土地と農耕の神が言うなら、他の動物や人間がウチの作物を食べても問題無いのかな。

 天狐がもっと神々しければ説得力があったと思うけど、今の印象は完全に駄狐だ。

 面倒ごとをさっさとかたづけたくて、いい加減な事を言っている気もするな。

 だったら、ちょっと方向を変えよう。


「天狐を祀っている祠とか神社とかってあるのか?」


「うむ、沢山あるぞえ。なんせ、神格が高いからの」


「それなら一旦天狐に作物を預けて、そこから下げ渡して広げて行くってのはどうだ?」


「できぬ事は無いが、妾は働きとう無い」


 おいっ! こらっ!


「い、痛いのじゃ。鼻先を掴むで無いぞ」


「天狐が、現状を、問題視するなら、天狐が、動いて、対処しましょう!」


「わ、分かったのじゃ。一言毎に込める力を強くせんでくりゃれ」


 わかってもらえた様なので、手を放す。


「鼻がもげるかと思うたぞ。さて、ここは1つおもう様に報告するかの」


 天狐がそう言うと、手のひらサイズの石板の様な物が現れた。

 ……スマホか?


「人間の概念を具現化しておる。神通力より便利なものじゃ……。あ、おもう様、今は異変の現場に居るのじゃがの……お、おたう様? 怒りを鎮めてくりゃれ。落ち着いてくりゃれ――」


 スマホっぽい石板を浮かべて、天狐は誰かと通話しだす。

 すると、次第に慌て始めた。

 狐がスマホを使っている姿はかなりシュールだ。


「――そ、それは……。わかったのじゃ。お待ちしておりまする。……ふぅ」


「どうした?」


「大変じゃ。おもう様とおたう様がここへ来る」


 天狐がそういうやいなや、空にはモクモクと濃い雲が集まり始めた。


 ……またか。



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