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076 天狐は神格が高い(自称)

 不可抗力で天狐に大怪我を負わせてしまったが、回復薬が効いた。

 凄く怯えられたが、ガラテアの淹れたハーブティで話をする態勢になる。


「干柿も美味じゃが、干桃も格別じゃの。もう1つくりゃれ」


 天狐はドライフルーツをモグモグと食べている。


「ああ、良いぞ。まさか俺のサンダースピアで気絶するとは思わなかったからな。謝罪の意味もある。済まなかったな。どんどん食べてくれ」


「……あれは死ぬかと思うたのじゃ」


「自信満々で撃ってこいって言うからな。無効化すると思ったんだ。変な異常は残ってたりするか?」


「うぅ、情けないのじゃ。よしてたも。その心使いは刺さるのじゃ」


 よよよ……っと丸くなって天狐は嘆く。

 って、ドライフルーツの盛り籠は口元に引き寄せて食べてるな。

 良い性格してるぞ、こいつ。


「それで、何だって今日はウチに来たんだ?」


「近頃、山の魔力が異常に高まっておると聞いての。それがいよいよ急激に上がったものじゃから、調べに来たのじゃ」


「それならそれで、もっと静かにやって来れなかったのか? 雷を落とす必要なんて無いだろ?」


「ち、力の差というものを示す必要があったのじゃ。跳ね上がり者には道理が通じんからの」


「キツネの事ね」


「ハイ、キツネの事デス」


「うぅ、病むのじゃ。だから妾は働きたくなかったのじゃ。外になぞ出たくなかったのじゃ……」


「おい、いじけるな。それで、魔力の異常って誰から聞いたんだ?」


「おもう様とおたあ様じゃ」


 天狐が言うには、自身の一族は本州一帯の土地を司る存在らしい。

 そして、天狐の両親が長を務めているとの事。


 妖怪かと思ったが、もっと神格の高い存在だそうだ。

 その神格が高すぎて、普通の人間には存在を認識できないのだという。


 ある日、魔力が異常に高まり、しかも淀んでいる土地を両親が察知する。

 その土地の調査を天狐に命じた。


 そして天狐はハイハイ言いながらも、放置した。

 数ヶ月ごろごろしながら過ごしていたら、両親にキレられた。

 しかも、ここ数日でその異常が急激に進んだ。

 なので、仕方が無くウチへ調査に来たとの事だ。


 ……つまり、妖精の隠れ里サイトを作ったからか。

 

「寒い中での調査なぞ、面倒でしかない。怪異がおればさっさと従えて、手早く済ませたかったのじゃ」


「俺が言うのも何だけど、もうちょっと考えて行動しろよ。返り討ちにあったら世話無いだろうに。それで、来てみて何か分かったのか?」


「うむ、土地の魔力の淀みが非常に危うい事が分かった。早急に散らした方が良いの」


「魔力が高い原因って、たぶん俺だよな。散らすって更地にして引っ越せって事か?」


「そうじゃの、お主の内包する魔力は人ならざる尋常さじゃ。じゃが、そこが問題ではない。淀むのが問題じゃと言うておる。魔力が循環せなんだら、いずれわざわいが起こるのじゃ」


「その厄って、例えば?」


「天災かもしれん。より驚異かもしれん。地獄の蓋が開くまであるかもしれんのじゃ」


「なるほど、とにかく危険って事なんだな。それで、魔力を散らしたり循環させたりするアイデアはあるのか?」


「うむ、その鍵はこれじゃ」


そう言うと、天狐はドライフルーツの盛り籠を咥えて見せた。



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