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074 襲来・天狐

 春の嵐というやつか。

 今日は風と雷が酷い。


 日中からピカピカゴロゴロと鳴っている。

 横殴りの雨が窓を叩く。

 こんな日は、もう外でする事は無いな。

 家で大人しくする。


「変な天気ね」


「まあ、何年かに1回はあるかな」


「何だか嫌な胸騒ぎがするわ」


「確かに、雷って落ち着かなくなるよな」


 ウサギ達もソワソワして落ち着かない。

 スライム達は家に入りきらないので、ダンジョン改変を利用して地下に部屋を作って、そこへ避難してもらっている。


 ピシャァンッ! と一際激しい破裂音が鳴り、メキメキッと音がする。

 これは近くに落ちたな。


 それから何度も何度も雷が落ちた音がする。

 流石に、異常じゃないか?


 そう思い始めた途端に、コアから警戒が届いた。


 え!? 敵襲か?


 水晶のダンジョンからか?

 違う、外からやって来たのか!


 って事は、この落雷はそいつの仕業なのか?

 そうなんだな、わかった。


 何者かは知らないけれど、脅しつける様に雷を落とすなんて気に入らない。


 怒りを抑えて外に出る。


 すると、空には黒い雲がたちこめ、そこには大きな狐が浮かんでいた。

 ヘラジカよりも大きいかもしれない。


「山の魔力が乱れていると聞いて来てみたが――」


 コア達、敵はこの獣だな? ヨシ!


「レイナスは障壁の準備をしてくれ。ガラテアはコア達との連携強化で。こいつは俺が抑える!」


「わかったわ」


「了承デス」


「――大蛇おろちでも暴れておるかと思えば、人間とはのう。全く度し難い事じゃ」


 この狐は自分が絶対的優位に立っていると思って、ずいぶんと高圧的だ。


「お前は何者だ? 何の用で来たんだ?」


 一応、念の為、言葉は通じるみたいなので誰何する。


「はんっ、わらわを知らぬとは、矮小な人間では仕方が無いのう」


「その『妾』さんが、何だって雷ゴロゴロさせてるのかって聞いてるんだ。ドアノッカーにしてはやかまし過ぎだぞ」


「これ、人間、言葉を知らぬかえ? 妾は天狐じゃ。天に類する者ぞ。さすれば稲妻はそれとせず零れてしまう物じゃ」


 えーっと「自分はとっても強いので、自然と雷が出ちゃうんです」って事か。


 ふむふむ、ダンジョン内の環境は、俺が自由に変えられる。

 あまり自然に影響を与えたくないから天気を操るのは控えていたが、コイツの仕業と自白したなら話は別だ。


 天気操作、快晴に!


 空は一気に晴れ渡る。


「それで? 天狐さんから、何が零れるって?」


「くぅっ! 何故じゃ? 何故、晴れる!? 稲妻が集まらん!」


 天狐は、再び雷雲を発生させようと魔力を高めるが、無駄な抵抗だ。

 その全てを上書きして、天気を晴れに変えている。


「それは俺が抑えているからだ。それでここへ来た目的は? 猫じゃ無いんだ、喉をゴロゴロさせに来たんじゃ無いんだろう?」


「これ、人間、戯言をぬかすで無いわ。人間ごときにその様な事ができるはず無かろう」


 どうにかして雷を発生させたい天狐は、宙に浮いたままで手足をバタバタさせ始める。

 こちらを格下だと舐めきってきるのか、話しを取り合わない。


 ここは1つ、こちらも雷撃が撃てると示した方が良いだろうか?

 交渉のテーブルにつくには、互いに武力を持つ事が前提とも聞く。


 それなら、なるべく派手な方が良いだろう。

 サンダースピアを最大威力で。


「だったら、証拠に俺の雷撃を見せてやるか?」


「ほうほう、やってみるが良いわ。何だったら妾に向けて撃ってみよ。蹴散らしてくれるわ」


 そうだな、雷雲を操る狐なら、ダメージも無いだろうしな。

 ヨシッ!


「――ぎゃぴぃ!」


 あ、効いちゃったみたいだ。




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