073 ランチは妖精の隠れ里サイトで
ガラテアが、新規サイトに花の香りを漂わせようと提案するも、それは人を惑わす系の物だった。
そして、コア達が無難な線で訂正案を出す。
ガラテアとコア達は意識を統合しているが、やはりベースが違う分だけ考えも変わる様だ。
あ、ひょっとして、最初に無理な提案をして、次にハードルを下げた案を出す事で、要求を通しやすくするってテクニックかな?
って、考え過ぎか。
泉も設置できるようなので、水路を作る。
温泉とは違う、清涼感のある水が湧き出た。
手で掬って飲んでみる。
冷たくて美味い!
高低差があるから、水路を流れる水が音を立てる。
優しい水のせせらぎに、心も洗われる様だ。
せっかくなので、今日の昼食はここでとる事にした。
ツリーハウスの中は3畳程なので、2~3人で過ごすのが丁度良い広さだろうか。
テーブルも椅子も6角形で丸太から切り出した感じだ。
それに、ちょこんと座る。
クッションもあるので、案外と納まりが良い。
ガラテアは、ゴーレムなので食事の必要は無いみたいだが、香りや食感を楽しめるので、食事は一緒にとっている。
足元ではウサギ達が果物をかじりつつ、ちょろちょろしていた。
和む。
今日のお昼は、燻製肉としゃっきりレタスをたっぷり使ったサンドイッチに、野菜ゴロゴロのミネストローネ。
燻製肉の濃い味が残る舌に、ミネストローネのトマトの酸味が丁度良く流れる。
リラックス効果のある樹の香りは、若干スパイシーな雰囲気だ。
緊張感をやわらげつつも、五感がクリアにはっきりとする感じで、食事がより美味しく感じた。
「はぁ、これだけ美味しかったら、レストランを開いても成功しそうね」
確かに、素材が絶品なだけあって、できた料理が凄く美味しい。
ただ、その素材が問題だ。
俺は問題無く食べているけれど、地球の人達が食べて影響は無いのだろうか?
ウチの野菜は魔力値が凄く高いが、こっちで流通している野菜には魔力は無い様なのだ。
慣れない物を食べて、中毒の様な症状を起こさないか心配で、ウチの野菜を売ったりするのも躊躇っている。
「それは何とも言えないわね。そういう事は流石に専門外だわ」
楽しい事は共有したい、美味しい物は広めたいって思うけど、生活や健康に影響が出そうなのはダメだよな。
何か、良い解決法は無いだろうか?




