070 キャンプ場の新規サイト
久しぶりに朝の見回りをして気が付いた事。
山サクラの蕾が目立ち始めていた。
春の訪れを感じる。
そうなると、本格的にキャンプ場を開く準備をする時期だ。
毎年、3月の最終週からオープンしている。
子供の春休み期間に合わせての設定だ。
薪はとりあえず必要な量を確保できているし、施設内の道の整備も行っている。
斬撃や魔法が使えるようになったおかげだ。
しかも、ダンジョンマスターになった事で、更にできる事の範囲が広がっている。
今年は色々とチャレンジする年になりそうだ。
これから、どんな風に手を加えてゆくか、コンセプトを決めようと思う。
折角だから、天寿の森キャンプ場に来たから体験できるキャンプ空間を演出したい。
「無敵要塞・見敵必殺ダンジョンはどうでしょうカ?」
ガラテア、ダンジョンじゃなくてキャンプ場の話だ。
コア達もピカピカ光って乗り気にならない様に。
「セーフエリアを広く作るという事でしょうカ?」
そんな感じで捉えてくれたら良いと思う。
「ネットで他を調べてみたけれど、ここのキャンプ場は良くも悪くも普通で特徴が無いわよね。私は好きだけれど。今までマスターはどんなコンセプトを持っていたのかしら?」
「初心者で少し経験を積んだ人から中級者向けって感じかな」
水道とトイレはあるけど、機材のレンタルや電気を自由に使える設備は無い。
ちょっとだけ不便で、それを楽しむ感じのコンセプト。
まあ、正直に言えば、人手と資金が乏しくて無難にせざるを得なかったって事もある。
「敵のボリュームゾーンを把握しまシタ」
「こら、敵じゃ無い。お客さんだ」
「お客さん把握しまシタ」
「今後もお客さんの層はその辺りを考えているの?」
「そのつもりだ。無難が良いって人も居るから、そこは意識しつつも、同時に特色を出したいな」
「無難で特徴的とは矛盾デス」
言葉にするとそうだが、従来のサイトは地味に手を加える感じで変えていって、新たなサイトを拡張してそこで特色を出すつもりだ。
ああ、キラリ、出産の時にした温熱レンガの床暖房は快適だったから、それを充実させたらどうかって?
ありがとう、地味だが良い意見だ。
テントサイトの一画に、温度調整エリアを作ってみよう。
コズミンはトイレの状態を気にしてくれているんだな。
確かに、綺麗なトイレは最重要だ。
集客力を上げようと思ったら、数の充実も必要だな。
これから増やそうと思うから、スライム達の管理を宜しく頼む。
「従来サイトはその方向性なのね。そうなると、新規サイトはどうする予定なの?」
新規サイトは『森の妖精の隠れ里』をコンセプトにしようと考えている。
SSで作れるツリーハウスを見た時に閃いた事だ。
異世界の妖精達が、人を避けてひっそりと暮らしている感じの森を演出したい。




