061 困った時は気合で祈れば何とかなる
思い返せば、俺ができる不思議な事は、ダンジョンマスターと言える物だった。
だからレイナスも、平凡なキャンプ場のマスターとは思っていなかったらしい。
「それで、ダンジョンコアってその割れたオーブの事なの? そうは見えないのだけれど」
レイナスの居た世界で言うダンジョンコアは、単なる大きな魔石らしい。
魔力が長い年月をかけて漂い、ダンジョンの奥で淀んでそれが集まり固まった魔石をダンジョンコアと呼んでいるのだとか。
実際にレイナスは、そんな大魔石を沢山入手してきたと言う。
そんな彼女からしても、今回のオーブ型のダンジョンコアを見るのは初めてだそうだ。
このダンジョンコアが、迷宮内の管理をサポートする物だと話すと、彼女は深く思案顔になる。
「ダンジョンは自然現象かもと思い始めていたけど、やっぱり私の持論の方が正しいのかしら? そんな物があるなら、意図的に作られた物って証拠になるものね」
「誰が作ったか、用意したかにもよるんじゃないか? 人間は誰が作ったか? って壮大な話みたいにさ」
「安易に捉えたくないけれど、神の意志って線もあるかもしれないわね」
流石に、そういった事は今すぐには分かる事じゃ無いよな。
それに早急にどうにかした方が良い問題がある。
割っちゃったダンジョンコアをどうするか? だ。
管理運営をサポートする物なんだから、このまま廃棄ってわけにもいかないよな。
ダンジョンが暴走して、モンスターが大量発生とかされても困る。
「何かアイデアはあるか? ちょっとした事でも良いんだ。ヒントになるきっかけが欲しい」
「……どうにかして修理した方が良いって事くらいかしら。そもそも、どうやったら直るのか分からないけれど」
うん、確かに。
接着剤なら温泉セメントが強力だけど、それでくっつけて機能的に問題無いのかって話だよな。
う~ん、困った時はSSかな。
これまでも可能な事なら、強く念じればどうにかなった。
今回もダメ元でやってみよう。
幸いに、水晶ゴーレムを沢山倒したから手持ちは豊富だし。
3つ程SSを掴んで念じてみる。
ダンジョンコアを元通りにしてください! 新品同様に! むしろ新品に! 更に言えば、もっと高性能に!
すると、SSを掴んでいる手の中がピカっと光って、目の前にはオーブがポンと現れた。
割れた方はそのままなので、新品を出せた様だ。
思ってたのとはちょっと違うけど、これで問題解決! か?
ジャンル別週間ローファンタジーで2位になれました!
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