059 ダンジョン探索は順調
異世界のダンジョン内でも、魔法や斬撃が使えた。
更に確認してみると、クワモードやスコップモードも機能する。
不思議だけれど、便利なので、それで良しとしよう。
そんな確認をしていたら、レイナスの方も、魔道具のチェックや整備が終わった様だ。
気を取り直して、周囲のモンスターの間引きを始める。
レイナスが来る時に打ち込んだという、マーカーの魔法を頼りに、ずんずんとダンジョンの中を進む。
ぐるぐると円を描くようにしながら、徐々に範囲を広げる。
予定では4日かけて階層のモンスターを間引き、2日かけて戻る計画だ。
道中は非常にスムーズに行った。
出てくるモンスターはレイナスの話し通りに水晶のゴーレムだけで、簡単に倒せる。
最初の頃は、倒すたびにレイナスは驚いたり呆れたりしていたが、100を超えた辺りで吹っ切れた様だ。
「自分の未熟さを思い知ったけど、まだまだ伸びしろがあるって思えるわ」
「前向きなのは、良い事だな。流石は探索者だ」
「ええ、それに、ちゃんと休めば魔力が回復するから、気持ちも楽ね。休んでいる間にも、マスターに背中を預けられるのも大きいわ」
夜も、認識阻害の魔道具を使えば見張りの必要もなく、食料の消費も計画通りだ。
探索者として一流のレイナスは、とても頼りになる。
今の俺は、大砲役でしか無い気がするから、彼女と一緒だと安心できる。
そんな中の3日目。
「あれ? おかしいわね」
「どうした?」
「覚えのない分岐ができているのよ」
レイナスがウチへの転移ゲートに来るまでに、階層内の全ての道を踏破したわけでは無い様で、これまでも確認していない道はあった。
しかし、今回はそれとは別だった。
マーカーでは通ってきた道と示されているのに、見落とすはずが無い程の大きな分岐ができていたのだ。
非常に怪しいので、注意しながら進む。
ゆるやかに曲がりくねる道を進めば、その奥に小さな部屋があった。
ダンジョン内は水晶でできているので全体的にゴツゴツしているが、その部屋の中は切り取った様に滑らかだった。
そして、その中央には、直径1m程度のオーブが浮いていた。
「あれもモンスターか?」
「……魔力の流れが独特だから、違うと思うけど、確証は持てないわね。トラップっていう線も考えられるけど」
「だったら、あからさま過ぎるよな」
「そうよね。トラップもそのトリガーも、本来なら隠す物だもの」
モンスターなのか、トラップなのか、良く分からない物が浮いている。
これは何か起こりそうだ。




