046 さっそく温泉に入る
気楽な感じで地面を掘れば、温泉が湧いた。
しかも、スコップモードで掘った土が、湧き出た温泉と合わさるとミネラルが固着する。
色々と試してみたら、そうだった。
普通のスコップで掘った土やクワモードで耕した土は、温泉と合わせても泥のまま。
逆に、スコップモードで掘った土に普通の水を混ぜても泥のまま。
スコップモードの土と温泉とが合わさって初めて硬くなる。
バケツにスコップモードの土を入れて、更に汲んできた温泉を入れて混ぜたら、それも硬くなった。
つまり、お手軽セメントが意図せず手に入った事になる。
「温泉は上手くいったの?」
「ああ、レイナス! 温泉は大成功だし、それよりもっと凄い事になったぞ!」
「あら、おめでとう。どんな凄い事か聞かせてもらえるかしら」
「オシャレな道が作れるんだ!」
ロックバレットのレンガと温泉セメントを使えば、元手無しでレンガ敷の道を作れるのだ!
キャンプ場の駐車場からテントサイトへと移動する際に、足元はレンガ敷された小道が出迎えてくれる。
良い感じだ。
山の畑の間の道は、アスファルトは味気ないし予算も無い。
砂利敷きでは素朴に過ぎる。
けれどレンガ敷なら、なんかガーデニング的な雰囲気をむんむんと発する事請け合い。
良い感じだ。
もし、魔法的なレンガがある日突然無くなったって、土の道に戻るだけなので、大きな問題にはならないだろう。
いずれ消えてしまうかも? って思って、建物に使う事を躊躇していたんだ。
ただレンガを敷くだけだと、そのうちズレて大変な事になりそうだから、道にするのも迷ってた。
けれど、温泉セメントでその問題もクリアだ。
素晴らしすぎる!
その後、掘った浴槽を確認すると、土が全部硬くなって穴など無いにもかかわらず、ぽわぽわとお湯は沸きだしていた。
不思議仕様だ。
早速入ってみよう。
ああ゛、沁みるぅ。
「ねえ、マスター。ネットでは温泉に入る時は服を全部脱ぎましょうって解説があるけど、動画とかテレビで温泉を紹介する時は、タオルをローブみたいに巻いて入っているわよね? どっちが正しいのかしら?」
そう声を掛けながらレイナスも入ってくる。
けれど、タオルも水着も身に着けていない。
知ってて聞いているのかな?
「全部脱ぐ方だぞ。もっと細かく言えば、公衆浴場でタオルを湯舟に浸けるのもマナー違反だな」
「そう、良かったわ。大きなお風呂に入るなら、解放感が欲しいものね。服を着たままは野暮だわ」
温泉が湧かなければ、夏にプールにしようと思っただけあって、今の浴槽はとても広い。2人で入って足を延ばせるどころか、泳げる位まである。
そして、温泉の質も大変良かった。
「お肌がスベスベね。これは毎日入りたいわ」
「どれどれ、ほんとだ」
「うふふ、マスターの手もすべすべね」
おかげさまで、日間ローファンタジーで2位です!
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