035 芝の手入れ
畑にしようとしている山の半分くらいを開墾した。
現時点で、完全放置でも過剰な生産力で作物が収穫できる。
けれど、今後ウサギ達は増えるだろうから、もっと開墾には精を出したい。
だって、昨晩もスモモとキラリはお盛んだったから。
「うふふ、そうね」
「うん、そうだね」
俺達の場合はどうなのだろうか?
責任はきちんと果たせるように、もっと安心できる生活基盤を築かなければ。
作物は、今のところ何でも育っている。
野菜でも果物でも、思いつく物は種を出せて、蒔いたら翌日は収穫できる。
クワモードで耕した土地以外ではどうなのか?
春になったらプランターとかで試してみたい。
いや、今の時期でも良いか。
今度外出する時は、プランターや土を買ってこよう。
芝生のエリアで間違って耕してしまった場所に蒔いた、芝の種。
作物ではないけれど、次の日には青々と茂っていて、長さも膝丈位に育っていた。
芝、生やし放題だ! とテンションが上がったが、丁度良い長さにカットした次の日も膝丈まで成長していた。
こんな状況でお客さんが利用したらと想像してみる。
整備された芝生の上でテントを張ったはずが、次の日起きたら草ぼうぼうの中。
ホラーである。
何かが始まってしまいそうな予感を演出してしまう。
俺、知ってる。
キャンプ場ではエンジョイしている奴程、早く殺されちゃうんだ。
って、そんな事にはさせないぞ。
ウチはソロでもグループでもそれぞれ楽しめるキャンプ場を目指しているのだ。
脱線した。
クワモードで生やした芝はキャンプ場には向かないので、仕方なく耕しなおした。
別の所から芝生を切り取ってきて、敷く。
それ以降は猛烈な芝生は生えていないので、一安心だ。
農作物以外でも、クワモードで種が出れば異常な速さで成長する。
そうなれば、マツとかケヤキも育てられるのだろうか?
いや待て、燻製用にサクラやクルミ、リンゴなんかの方が良いかな?
思い立ったら、即実行だ。
全部の種が出せたので、畑のエリアの一画に、それぞれを蒔いた。
後でわかるように、ちゃんとネームプレートを書いておく。
もし思ったのと違う育ち方をしても、耕してしまえば良いので気楽にやろう。
スモモ、キラリ、これらは君らが食べられる物じゃないんだ。
そう残念な顔をしないでくれ。
あ、リンゴなら大丈夫かな。
実ったら一緒に食べよう。
先走って、実を蹴り落としちゃダメだぞ。
しないか。
そうだな、ニンジンのつまみ食いもしないもんな。
疑う事を言って悪かった。




