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003 ゴブリンを倒したら偶然アイテムを入手した

 根本的な価値観が違えば、友好的な交流は望めない。

 殴りかかる事が友好の証なら、それらと俺は分かり合えないのだ。


 そう強く思って魔法を放つ。


 ファイヤーボールを喰らったゴブリンは倒れて動かなくなる。


 ……やったのか?


 って、火が燃え盛ってる!

 このままじゃ、山火事だ!


 今は冬だから、すごく乾燥しているし、増してや最近は全然雨も雪も降らないしで、放っておいたらドンドン炎が広がるぞ!


 水! ええと、間に合うか?


 そうだ、火が魔法で出たら、水の魔法も出るかも?

 確か水の魔法は、AR棒で円を描いてそれに横線を引けば、過冷却水を放出するアイシクルショットが――


――ビシュゥ! ……カキン!


 魔法が当たった場所に、氷柱が生えた。

 これだ!


 俺はアイシクルショットを撃ちまくって、周りに氷柱を生やしまくった。

 その結果、炎は無事に消すことができた。

 良かった。


 いやいや、安心している場合じゃ無い。

 ゴブリンはどうなったんだ?


 倒れたゴブリンの所へ恐る恐る近づくと、そこには黒焦げの死体があった。

 どうしよう?

 処理に困る。

 先の、斬撃で倒した方もだ。


 ゲームだと、モンスターを倒したらアイテムをドロップして死体は直ぐに消えてしまう仕様だった。

 けれど、今はまだ死体が残っている。


 ゲームのデータを消去したら、これも消えるかな?


 今度こそ事務所に戻って、パソコンやモバイル端末内のデータを全部消去した。


 さて、どうか?

 ゴブリンの死体の所へ戻ると、残っている。

 これは、物理的にどうにかしないとダメか。


 この辺一帯はウチの敷地だし、ここは山深い奥地だし、埋めてしまえば事態が発覚する事も無いだろう。

 穴を掘るのが面倒なくらいだ。


 むしろ、どうせなら生物学者とかに売れないかな?

 ……でも、それも面倒ごとになりそうだな。

 そうなったら、たぶんキャンプ場は続けられないだろう。


 物珍しさで人は来るかもしれないけれど、危険となったら客層が、ほのぼのファミリーよりは殺伐ハンターばかりになりそうだ。


 それは嫌だな。

 できればキャンプ場は続けたい。


 幸いにも、冬季はキャンプ場を休業しているから、今すぐ何か問題になる事は無い。

 春までに何とかなると良いなぁ。


 そう考えながら、何気なくAR棒で死体をポンポンと叩いていたら、死体が光の泡になって消えてしまった。

 そして、そこにはキラキラと光る星形の石が残っている。


 これは見覚えがある。

 ゲームでは実装するつもりだったSS(スターストーン)と形が一緒だ。


 1SS(スターストーン)が税込み110円で購入できる課金要素で、このSSを使えば魔法や斬撃がより強力になったり、良いアイテムと交換できたりするゲーム内通貨になる予定だった物に非常によく似ている。


 手続きが面倒そうだったから、アルファ版には課金要素を実装しないで、データだけ置いておいた物なんだけど、何で出てきたんだろうか。

 ゴブリンのドロップアイテムは、モンスターの発生数を上昇させる効果のある『ゴブ肉』のはずだったのに。


 考えてもわからないので、見回りを継続する。

 分からない事は、とりあえず棚上げだ。


 その後、キャンプ場敷地を周ると、もう1匹のゴブリンと遭遇した。


 念の為、このゴブリンに声をかけるも、無駄だった。

 安全な距離からアイシクルショットで軽く倒す。

 これも、AR棒でポンポンすればSS(スターストーン)となった。


 データを消したのに、ゴブリンは出てくる。

 これは、拡張現実のゲームが本当の現実になってしまったのだろうか?

 それとも、別の原因があるのか?


 ゲームとは少し違う部分もあるし、もっと調査をしてみる必要があるな。




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