025 回復薬を人体に使ってみる
レイナスが倒したゴブリンも、AR棒でSSになった。
それを確認したいという彼女に手渡すと、スモモとキラリもSSが欲しいという。
2頭に渡すと、SSでリフティングの応酬を始めた。
凄いテクニックだ。
2頭の妙技を眺めていたら、レイナスの確認は済んだようだ。
「驚きね。これ1つでちょっとした財産になるレベルだわ」
「そんなにすごいのか?」
「魔法薬がどれだけ作れるか……。末端価格は専門じゃないから想像もつかないわ」
「末端価格って、禁止薬物かよ」
「売る場所を間違えると騒動にはなりそうね。それでこれはどこで手に入れたの?」
「いや、だからさっき目の前でやってみせた通りだよ」
「にわかには信じがたいのよ……」
うむ、レイナスのこの疑り深さは、今まで騙されそうになったり実際に詐欺にあったりしたのだろうか?
それとも単にそういう性分なのか。
「魔法薬になるっていうなら、ここでもできるのか?」
「携帯型の抽出機しか無いから、効率が悪くて勿体ないわ」
「それじゃ、握って強く願ったら何か効果が出るとかは?」
「そんな話は聞いた事無いけれど……」
俺がSSを消費して回復薬と交換して見せると、やっぱりレイナスは驚いた。
「ねえ、本当に魔法の鞄を持っていないの?」
「そこは信じてほしいとしか言えないな。無いものは証明できない」
「まあ、そうよね……。それで、その薬は何なの?」
「回復薬だけど、使ってみるか?」
「良いの? 見た感じでも凄そうな気がするけれど」
「前にゴブリンに使った時は、切り飛ばした足が瞬時に再生したぞ」
「勿体ない事するわね」
クスクス笑うレイナスに回復薬をかけてみる事にする。
人体実験をするのはアレなので、俺自身もかけてみた。
自分は変化を感じないが……、レイナスはどうなのだろうか?
「強い魔力の発動は感じるわ。でも、あまり作用していないかしら? 大けがなんてしていないものね。……あ、まって、体が楽になってきたわね。気のせいじゃ無いと思うわ」
効果があった様だ。
ダンジョン探索が長期にわたっていたみたいだから、疲労とか怪我とかが蓄積していたのだろうか。
とうぶんはウチでゆっくり休んでもらいたい。




