024 レイナスは異世界人だったと確信
レイナスがウチに住む事になる。
「ええ、宜しくお願いするわ」
お願いされちゃったわけだが、一方通行は良くない。
なので、なにか仕事はしてもらいたい。
「魔力は回復したんだろ? ゴブリンなら倒せるか?」
「そうね、やってみせるわ」
朝の見回り恒例のゴブリン退治だ。
レイナスは短く呪文の様なものを唱えると、ゴブリンに近づく。
5m程の距離になったら両手を突き出し、そこから火炎放射器みたいな炎を放出しだした。
それにもめげずにゴブリンはレイナスに肉薄し棍棒を振るおうとする。
しかし、レイナスは華麗なバックステップで距離をとり、一定の間隔を保っている。
更に同時に、何か別の呪文を唱えているらしく、口元がせわしなく動いていた。
えっと、これ以上火炎が放射されたら山火事なんだけど……。
そう思っている間にゴブリンは倒れ、討伐は成功した様だ。
それを確認すると、レイナスは火炎の放射を止め両手を左右にばっと広げる。
するとミスト状の水がわっと広がり、燃える火を一瞬で消してしまった。
「ふう、ざっとこんなものよ」
心のどこかで、レイナスはちょっと頭のおかしいだけの女性だと思っていた。
けれど、魔法が使えるとなると話は別だ。
彼女は異世界から来たのだろう。
レイナスが倒したら、ゲームみたくすぐに消えてドロップアイテムになるかと期待したが、そうはならなかった。
「倒した後は、いつもならどうしているんだ?」
「大抵は炎で皮がダメになっているから放置ね。埋めるのも手間だし、その場で解体なんて以ての外よ」
「じゃあ、SSにしたりは?」
「何よそれ。どういう事?」
AR棒でレイナスが倒したゴブリンの死体をポンポンとする。
問題無く死体はSSに変わった。
「やだ、ちょっと、それって高純度の魔石じゃない? 魔法の鞄を使った手品じゃないわよね?」
「その魔法の鞄自体を俺は知らないんだが、死体を叩くと何故かこのSSに変わるんだ」
「そう、もっと良く見せてもらっていいかしら?」
SSをレイナスに渡すと、いろんな角度から見たり叩いたりかじったりして確認していた。
何だ、スモモとキラリも欲しいのか?
もし回復薬が必要になった時の為に、ウエストバッグに入れて持ち歩いているSSを1つ渡す。
すると、足で交互に蹴り上げて、リフティングの応酬を始めた。
上手いものだ。
はは、熱くなって衝撃波を打たないようにな。




