023 魔法を見せるだけのつもりだったのに(ここからR15です)
魔法を見てもらうため、ワンドを出現させる。
レイナスに驚いた様子は無い。
剣とワンドをぱぱっと切り替えてみる。
「これは驚きポイントじゃない?」
「魔法の鞄を使っているんでしょ? 手際は鮮やかだと思うけど、それくらいだと別に」
魔法の鞄があるのか。
それ、気になります。
「後で教えてあげるから、まずは魔法を使ってちょうだいな」
室内なので一番弱い威力でロックバレットを使う。
ワンドをくるくる回すと、レンガがゴトリと現れた。
「え? 魔力の流れが、感じなかったわね。もう1回見せて」
リクエストに応える。
「これは……、何なのかしら? そのレンガも貸してもらえる?」
レンガを手渡すと、レイナスはうんうんとうなりだした。
「尋常じゃない程の魔力が込められているのはわかるのよ。でも、どこから来たのかが、全然わからなかったわ」
「もう1回見るか?」
「ええ、お願い」
それからかなりの回数をやってみせるも、レイナスは何の手がかりも得られなかった様だ。
「もう1回!」
「いや、流石にレンガまみれだ。これ以上はまた明日にしよう」
「む~っ! 悔しいわ。これを紐解けないと、私は先に進めないって事ね。上等だわ!」
レイナスは新たな探求心に火がついてしまった様だ。
こだわりポイントに触れてしまうと、それに集中したくなるのも分かる。
けれど、夜も遅くなったので寝る事にする。
「本当にリビングのソファーで良いのか」
「ええ、昨日までダンジョンの中で寝ていたんだもの。こんなに柔らかい場所で寝られるなんて、最高だわ」
まあ、本人がそれで良いなら問題ないか。
俺は自分の部屋で寝る。
おやすみなさい。
▽▼▽
「夜中にどうした?」
「魔力の回復に協力してくれるって言ったわよね?」
「まあ、言ったが」
「じゃあ、問題無いわね」
「体に当たってくる弾力が問題アリアリなんだが」
「大丈夫、痛くしないから」
「まだ酔ってる?」
「どうかしら? 確かめてみて」
「……酒っぽいぞ」
「ふふ、気のせいよ」
「色々と生々しいんだけどな」
「大丈夫。ほら、大丈夫でしょう」
「俺は大丈夫なんだけど、これ本当に魔力回復に必要なのか」
「ええ、1番の方法よ」
「に、2番は」
「2番はその、血が出ちゃうから。貴方の」
「あ、じゃあ1番のままでお願いします」
「ええ、たっぷり回復させてね」
この後、さんざん魔力を回復させられた。




