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021 魔力について訊いてみる

 久しぶりに、会話のある夕食だ。

 とても楽しい。


 レイナスと話せば話す程、彼女は異世界人なのでは? との思いが強くなってゆく。


「だからね、ここのエリアは異様な程に魔素が希薄なのよ」


「その、魔素が薄いとどうなるんだ?」


「魔力が全然回復しなくなっちゃうのよ。もう、嫌になるわ」


「魔力が回復しないって事は、大変なんだよな?」


「そうね、何もできないもの。死を覚悟するレベルよ。実際してたでしょ?」


 今では割と落ち着いた様子のレイナスだが、あの時は本当に危ない人だった。

 切羽詰まって冷静では無かったのなら、仕方が無いかもしれない。


「まあ、確かに。その、何だ。もし魔力を回復する手段があるなら、協力するよ」


 それと、もし自分が全く知らない土地に行きついてしまったとしたら、地元の人には優しくしてもらいたい。

 なので彼女の事も、できるだけ助けてあげようと思う。


「あら、本当に? 本気にするわよ?」


「できる範囲で、だぞ」


「うふふ、無理は言わないわ」


 何だろう? レイナスの目の輝きが、いやに怪しい。

 まだ少し警戒しているから、考え過ぎだろうか?

 まあ、ウチに来て困っている人がいたらできる範囲では助けたいと思うのは本音だ。


「魔素が薄いなんて土地は、珍しいのか?」


「ええ、そうね。ダンジョンのトラップで1室そうなる事はあるけれど、自然にはあり得ないわね。それこそ万物のことわりを狂わせかねないもの。それなのに、平気でいられるマスターは驚異的ね」


「そうは言われても、もう長い事ここに住んでいるしな。それに、魔素なんて今まで意識した事が無い」


「う~ん、お風呂もボイラーだったかしら? 魔道具じゃ無いのよね。私からすれば、油を燃やす装置を作るなんて危な過ぎて眩暈がしそうよ」


「飲み過ぎたか?」


「そういう意味じゃ無いわ。ここのダンジョンは私の理解の外ね。初めてだわ」


 ダンジョンという単語には引っかかる。

 何せ、今は消してしまったが自作のアプリのゲーム名が『天樹の森ダンジョン』だったのだから。


「天樹の森って聞き覚えはあるか?」


「ん~、無いわね。ここがその地名なの?」


「ああ、地名だけなら『天樹』だけど、このキャンプ施設はそこにあるから天樹の森って呼んでるよ」


「そうなの。もう、自分の居る場所がどの辺なのか、わからないから帰るのも当分無理ね」


「ああ、まあ、暫くはここに居ても良いぞ。あ、でも家出とかじゃ無いよな」


「そんな訳無いじゃない。だいいち、成人した者がどこに住もうがどこに行こうが、それはもうその人だけの責任よ。不当に占拠するって話でも無いんだし」


 まあ、確かにそういうものか。


「でも、ありがとう。お世話になるわ」


 彼女との共同生活が決まった。




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