表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/175

020 自己紹介

 緑の女性を家に招き、早めの夕食にする。

 熱々鍋がお預けになるのも何なので、早速いただく事にする。


「はぁ、みるわ。命がね、みなぎる感じよ」


「それは何より。そんなに食べていなかったのか?」


「ええ、予定では2ヶ月は探索するつもりで、食料もそれ以上持ってきたのだけれど、見込みが甘かったわ。あ、そのハクサイをもっとちょうだい。ポン酢っていうソースも美味しいわね。好みだわ」


 うむ、確かに農作業のクワモードで作ったハクサイは甘みが深い。

 冬野菜は霜が降りると甘みが増すといわれるが、それにもまして美味しい。


 ネギも、じゅるりとした柔らかさに喉の奥へと流れ込む様なうま味がある。


「ふぅ、もっと食べたいけれど、ちょっと休憩ね」


「この後はおじやにするつもりだけど、もっと野菜を食べたいか?」


「おじや? 何それ? 美味しそうね。良かったらそちらを頂きたいわ」


 食がひと段落しておじやの準備をする。

 その間に、もうちょっと話しを進めてみた。


「そう言えば、名前を聞いていなかったな」


「あら、私とした事が。食事をごちそうになったのに、名乗っていなかったわね」


 そう言って緑の女性は椅子から立ち上がる。


「我こそは! 地界・魔界・天界に至るまで音に響かせる大魔導士! その名も、魔人・レイナス! 我が先に迷宮あれど、我が後に迷宮は無し。あまた全ての迷宮は我の手によって踏破される物であろう!」


 ズババっとポーズを決めて、レイナスは名乗りを上げた。


 おお、カッコいい。

 スウェット姿だけれど、それでも堂に入っている感じだから、慣れているんだろう。

 役者をしたら大成しそうだ。


 俺の方も自己紹介する。

 まあ、普通で無難な自己紹介だ。


 お客さんとかには『マスター』と呼ばれているので、レイナスにもそう呼んでもらう事にする。


「なるほど、合点がいったわ。よろしくお願いするわね、マスター。まさか、階層主どころか、マスターだったなんてね」


 ちょっと意味深な事を言って、レイナスは笑顔を浮かべた。


 おじやができたんだけれど、俺はお酒が飲みたくなった。

 飲むなら風呂に入った後でと決めているので、レイナスにはもうちょっと待ってもらう。


「ええ、まだお腹が落ち着いていないから、大丈夫よ。おかまいなく、ゆっくりしてちょうだい」


 そういう事なので、のんびりお風呂に入る。

 入浴中にレイナスの襲撃とかは無かった。

 警戒し過ぎだっただろうか。


 風呂から上がると、さっそく2人で乾杯をする。

 今日は清酒を用意した。


「へえ、何て言うか、雑味が無くてスッキリしたお酒ね。飲みやすいわ」


「慣れない種類だとペースがおかしくなる事があるけど、大丈夫か?」


「そうね、今まで酔って不覚をとった事は無いから、大丈夫だと思うわ。ありがとう。それに、こんなに澄んだお酒なら、一気に飲んでしまうのは勿体無いわね。ゆっくりいただくわよ」


 お酒とおじやを楽しみながら、レイナスとの夕食はまったりと過ぎてゆく。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ