019 一緒に食事
緑の女性を家に招いて、食事する事にした。
時間的には、昼には遅く晩には早いといった感じだ。
もう、このままダラダラと晩御飯にしてしまおう。
ダラダラ飯と言ったら鍋が良い。
冬だし定番だし、何より今は美味い野菜が沢山ある。
さあ、準備をするかと気合を入れたら気が付いた。
この緑の女性はよく見ると、かなり薄汚れている。
ダンジョンを抜けて来たとか、山で迷ったとか言っていたし、サンダースピアで盛大に転ばせてしまったわけだし。
俺の所為でもあるので、先にお風呂を勧めてみよう。
外の作業が終わって直ぐにお風呂で温まれるように、お湯は自動で張ってある。
「へえ、お風呂があるなんて、ぜいたくね」
おっと、ここで絶妙な異世界ムーブをかましてくれる。
異世界でお風呂は貴重、コレは物語でよく聞く話だ。
となると、こっちもそれに乗ってしまおう。
「使い方はわかるか?」
「ちょっと見慣れない物があるけど、トラキス式なら問題無いわ」
あ、トラキス式とかは、俺の方がわからないです。
一応、念の為、彼女が異世界人という設定で説明をしてみる。
「え? ここをひねると、水が出るの? お湯? 何、魔道具なの?」
「へえ、石鹸があるの。お金持ちなのね」
「? シャンプー? トリートメント? 髪の毛専用の石鹸なの? 何なのそれは?」
「ああ、体を洗ってからお湯に入るのね。それは問題無いわ」
「コレを操作すると、浴槽の温度が上がるの? ちょっと魔道具にしても規模が大き過ぎなんじゃない?」
本気で驚かれた。
もし、これが演技だとしたら、それでやっていける程だと思う。
美人だし。
着替えに俺のスウェットを渡し、俺は鍋の食材の準備をした。
鍋がぐつぐつ煮えて食べごろになると、彼女はお風呂から上がってくる。
「生き返るようだったわ。ありがとう。それに、この服は柔らかくて着心地が良いわね」
彼女は俺より少し背が低い感じだ。
スウェットの上着は袖が長い感じだが、下の長さは丁度良さそうだ。
解せぬ。