161 大地の女神の独り言
大地を司り、大樹に宿る美しき女神と言えばこの私。シリコロカムイ。
みなさん、ごきげんよう。
いきなりだけれど、愚痴って良いかしら?
やっぱり勝手に愚痴るわね。
私は今、主に北海道に居るんだけれど、ものすご~っく力を落としちゃっているのよ。
声も出せなくなっちゃったし、存在感が薄くて透けて見えちゃう程なのよ。
うふふ、服が透けるってわけじゃないのよ?
……内臓も透けて見えないから大丈夫よ。
そんな状態だから、神通力が使えないし信仰も減っちゃって、どんどん弱ってゆくのよね。
もう、私は消えちゃう存在なのかしら。
そんな哀愁を感じていた寒い冬の事なのよ。
やべー奴がやってきたの。
もうね、魔力の大きさが桁違いなのよ。
近寄っただけで消し飛びかねない程なの。
しかも、私が居る山で呑気に遊んでいるなんて、本当に災厄だわ。
全力で隠れる事にします。
この時は、自分の存在感が薄い事に感謝したわ。
不幸中の幸いってやつね。
……ちょっと、キムンカムイの熊っころが、やべー奴にちょっかいかけやがったわ。
待って、何で私を呼ぶの?
名前を呼ばないで!
これで出てこなかったら、後で問題になるやつじゃない!
仕方が無いので、渋々と出てやったわ。
とは言っても、力が無いから、派手な登場ができないだけなんだけれどね。
って、あれ?
あそこに居るのは天狐ちゃんじゃない?
よし、勝った!
パターン見えたわ!
天狐ちゃんと私は仲良しだもの。
この場も上手い具合に進むわね。
まったく、雪の上は進みづらいわね。
天狐ちゃん、久しぶり~。
や~ん、もう、全然変わってないわね。
って、やっぱり変わった?
お化粧変えたの? お肌が凄く綺麗。
うん、凄く良い!
お化粧じゃないの?
その辺、もっと詳しく!
っあ~、彼氏の影響かぁ~!
天狐ちゃんも、そうなっちゃったかぁ~!
ううん、全然、全然悪いって思って無いわよ、これっぽちもね。
ただね、『妾に相応しいイケメンがおらんのじゃ』って管狐まいてた天狐ちゃんにも、とうとう春が来たんだなぁって思うと、大雪山が雪解けしちゃうなって思って。
しかも、異類婚姻譚なんて!
ロマンよね~。
それで? 出会いとか、馴れ初めとか、その辺、詳しく!
女子会でしょ?
するしか無いでしょ?
ウンコトゥクカムイなら来ると思うし、呼んでおくね。
え? 私が天狐ちゃんの彼氏の土地に住むから、女子会はその時に?
もう、そうやって、見せつけて惚気るつもりね。
おっけ~、うけて立ちましょう。
さて、そういうわけで、やってきた天樹の森だけれど……。
神域?
魔力の大山脈ね、ここ。
へえ、貴女、天樹ちゃんって言うのね。
宜しくお願いするわ。
……なんて眩しい笑顔。
これが、若さ……。
あぁ、この土地に根を張れるってなんて幸せかしら。
この土地、ちょっと位なら私が司っても良いかしら?
むしろ、司らさせてもらいたいわ。
凄く良い所ね。
……あらあら、貴方たち、ノームくんって言うの。
めんこいわね。
うふふ、私と遊んでくれるの? ありがとう。
はぁ、ノームきゅん達ったら、なんて尊みに溢れているのかしら?
無邪気で天真爛漫で元気いっぱい。
眼福ね。
やっぱり、ここは神域ね。
でも、ズボンなのは、ちょっと勿体ないかなって思うの。
ノームきゅん達、半ズボンにしてみない?
……お着換えが無いのね。
そうよね、私も着替えを用意するが大変だもの。
ノームきゅん達は、まだ小さいから、それも大変よね。
そうなの、主殿がお風呂で洗ってくれるの、それは良かったわね。
いとけないノームきゅん達と神をも超える魔力を纏った主殿が、一緒にお風呂に入る時……。
待って、ちょっと待って。
どう解釈したら良いかしら?
むしろ、解釈しちゃって、良いのかしら?
だ、ダメよ、シリコロ。
それ以上の妄想は、もうちょっとで終わらせないと、ダメよ。
……あら、これまた、めんこいイソポカムイだこと。
え? え? 待って。
これは、本当に待って。
私、悪いカムイじゃないわよ?
その神殺しをしそうな魔力は抑えてくださいお願いします。
あ、はい。
ノームきゅん達、いえ、ノームくん達に変な思念波を送るのは、もうしません。
本当に反省しているので、許してください。
はい、ありがとうございます。
あ、危なかったわ。
ちょっと発育の良いイソポかと思ったら、とんでも無いわね。
あらあら天狐ちゃん。
おかげさまで、私は元気にやっていけているわ。
あら、お酒ね。
頂くわ。
っぷはぁ! これ、真の神酒じゃない!?
今日は何かのお祭りなの?
へ、平日でも飲めるなんて、なんだが罰が当たりそうでちょっと怖いわね。
って、神に罰を当てられるものなら、やってみなさいって事よ!
いやね、酔ってないわよ。
でも、驚いたわ。
ここで天狐ちゃんが1番じゃ無いなんて。
だけど、私が来たらには、もう大丈夫よ。
お邪魔虫さんたちは追い払って、天狐ちゃんが1番になるように、頑張って応援するわ。
……違うの?
今日は、その事についてのお話なのね。
その為に、ここの皆で女子会をすると。
それって、先にお酒を飲んじゃって良かったのかしら?
早めに飲んで現実逃避した方が良いって、すごく怖いんですけど、本当に女子会なの!?
▽▼▽
ああ、うん、天狐ちゃんの言いたい事が分かったわ。
レイナスちゃんは人なの?
あれで神格を持ってないってどういう事なの?
天狐ちゃんのスマホって、神の中でもごく一部しか再現できないわよね?
私?
……イジワル言わないで。
今だって、タブレットを借りて文字を書いているのよ。
ラキちゃんは、死後に武神として祀られちゃうタイプの子よね?
カリスマ性がムンムンただよって来るわ。
良いなぁ。
きっと信仰もたっぷり集まるんだろうなぁ。
ガラテアちゃんは、やべーわね。
新時代の女神って事かしら。
ネットを使って自身を偶像崇拝させるなんて、なんてやり手の神かしら。
コスプレの画像をアップしているだけで、本人にはそのつもりが無いの?
お、恐ろしい子だわ!
こんな子達に戦いを挑もうとした私が愚かでした。
皆で仲良く。
大切よね。
うん、まあ? よく観察してみると、皆良い子よね。
双子ちゃんもエルフちゃん達も、可愛いわ。
ほらほら、双子ちゃん。
私ったら、美味しい樹液を分泌できるの。
だから、ちょっと私を信仰してみない?
うふふ、ちょっとした冗談よ。
ねえ、エルフちゃん達。
大樹と大地信仰、してみない?
貴女達の信仰が集まれば、ご利益たっぷりよ。
え? 具体的に?
土地を豊かにして樹を茂らせるのは、主殿の領分だから……。
そうねぇ、私のお友達に多産と子育てのカムイが居るんだけれど、その子が住みやすい林を作れるわ。
おっと、食いつき良いわね。
エルフちゃん達だけじゃ無くて、他の皆も。
ええ、わかったわ。
私も力を取り戻して頑張るから、皆の信仰をちょっと分けてちょうだいな。
私が力を取り戻して具現化できるようになったら、その方法をノームくん達にも教えてあげて、それでゆくゆくは半ズボンを穿いてもらって……。
うふふ、夢が膨らむわね。
あ! ウサギちゃん達、今のは私の胸の内だけよ!




