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144 異世界の物をお買い物

 現在、異世界の金貨が大量にあるのだが、その使い道に困っている。

 ウチの所で長い間流通を停滞させてしまうと、異世界の市場が混乱しかねないからだ。

 

 とりあえずは、何か物を買って消費してしまおうと、アノマス子爵に商品を持ってきてもらうように伝えてあった。

 

 アノマス子爵はフリーズドライ食品の異世界側の責任者で、幼少の頃に貧しさから商家に丁稚に出て成功し、3男ながら家督を継いだやり手だという。

 

 そんなわけで、沢山の商品を持ってきてくれた。

 

 まず、美術品。

 何となくどこか見た事のあるような感じの絵画や壺なんかがある。

 上手いなとか、綺麗だなとかは思うけど、どう良いものなのかはわからない。

 俺に目利きは無理な様だ。

 

「あら、けっこう良いものを揃えたじゃない。アノマス子爵、ご苦労ね」


 レイナスが見るには、異世界で価値のある物のようだ。

 アノマス子爵はしきりに恐縮している。

 

「ふむ、悪いとは言わぬが、地球側で売るには、ちと物たらんのじゃ」


 天狐が言うには、美術品は作家や工房の歴史を重んじられる部分があるらしい。

 なので、出所が謎の異世界品は、売り込み先が限られそうだとの事だ。

 

「テンコの言う通りかもしれないわね。この先に異世界との交流が進めば贈答品を用意する場面もあるでしょうから、その為に手元に置くのが良いかもしれないわね」


 異世界側への贈り物は、ウチの作物が最強なのだが、強すぎて他からの嫉妬や横やりが入りかねない。

 なので、気軽な挨拶の為に、美術品は置いてあった方がいいと、レイナスの判断だ。

 

 よし、購入しよう。

 

 次に、毛皮。

 地球にいる動物に似ている物もあれば、全く未知な物もある。

 白い毛が真珠みたく光るとか、すごいな。

 

「シャイニーカウの毛皮だぞ。凄いじゃないか」


 ラキが言うには、非常に強力な牛らしい。

 その輝く毛皮で自分の存在を周囲に知らしめ、縄張りを主張するのだとか。

 毛皮の見事さもそうだが、肉も美味いとの事。

 

「ラキ、毛皮としても良い物なのか?」


「うん、そうだぞ。マントにする王族もいるくらいだぞ」


「そうか。それじゃあ、天狐、この毛皮は地球側でも売れそうか?」


「そうじゃの、幾つかは大丈夫そうじゃが、よく分らん物が多いのじゃ。妾は毛皮なぞは詳しく無いでの。専門外じゃ」


 地球で売れる種類があるなら、これらも購入しよう。

 

 後は魔石が大量にある。

 魔石はゆっくりと集まった魔力が固まりになった物だ。

 だから、空間魔力が豊富な場所で安置されれば、更に大きくなる事が見込めるらしい。

 真珠や水晶みたいだ。

 

 なので、沢山買って、ダンジョンの方に置いておく事にする。

 大きく育って欲しい。

 レイナスが言うには、魔道具を作ったり錬金術につかったりもするので、沢山あるに越した事は無いそうだ。


 そういった感じで、アノマス子爵が持って来てくれた商品は、殆ど買う事にした。

 

 

 ▽▼▽

 

 

 買い物が済んで、ガラテアとエルフ達が上機嫌な感じだ。

 何が嬉しいのだろうか?

 

「沢山作れマス」


「はい、上質な毛皮や革が、こんなに沢山! 何を作ろうか迷いますね」


 それでテンションが上がっていたのか。

 

 そんな彼女達に、スモモとキラリが鼻をスピスピとさせて何かを訴えている。

 

 何をするのかな?

 え!? 俺には内緒なのか。

 完成してからのお愉しみか。

 じゃあ、待とう。

 

 そして、後日。

 

 スモモとキラリの細工物が完成したらしい。

 見た所、ウサギサイズのウエストポーチの様だ。

 

 オシャレで可愛いと思うぞ。

 良いものを作ってもらったな。

 何? それだけじゃない?

 

 スモモとキラリは、後ろ足で立つと、前足をビシッと斜め上に挙げる。

 そして、前足をぐるっと回して、高く飛び上がってバク宙をした。

 

 すると、着地したウサギ達は、革の鎧を身に着けている。

 それはまるで変身したかの様だった。

 

 凄いぞ! どうやったんだ?

 

「マスター殿。それは私が説明しましょう」


 エルフの副代表の1人であるエニルが解説してくれる。

 

 今回のウサギ達のウエストポーチは、特定の物だけを専用に収納する魔道具となっているそうだ。

 そうする事で何のメリットがあるかと言うと、魔力を流すだけで中の物を取り出せる様になるのだとか。

 

 例えば盾を収納するのに専用化させて、手首に巻く様な形で作れば、両手で持つ武器を使っていても、瞬時に盾へと持ち替えができる様になる。

 そして今回は、ウサギ達の鎧専用にした。

 

 更にウサギ達の鎧は、サイズ調整の魔法がかかった物だとか。

 大きいサイズの鎧を取り出して、ジャンプしながらその中に入り、サイズ調整を発動させたら、ピッタリな鎧姿になり、瞬時に変身した感じになる。

 

 因みに、スモモとキラリは普通な皮鎧を着てみたかっただけらしい。

 サイズ調整機能はエルフ達が提案し、変身のアイデアはガラテアが出したとの事。

 

「こうして、スモモさんとキラリさんは、仮面ラビッターとなるのです」

 

「字面が怪しいぞ」


「キックが必殺技ですので!」


「なら、仕方が無い」


 スモモとキラリは、ズバンとポーズを決めていた。

 

 なお、2頭によれば、鎧を着ると動きが鈍くなるので、戦力はアップしないらしい。

 完全にコスプレだとの事だった。

 

 

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