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131 エルフの音楽

 エルフ達が46人も一気に家族になった。

 仕事を覚えてもらうにも、一度に全員には無理なので、小さなグループに分けて教えてゆく。

 

 その代表は、自称:女王だったイーズだ。

 

「で、できればそれは言わないでください」


「いや、堂々と女王を自称していただろう」


「思い上がりも甚だしく、恥ずかしい限りです」


 そういう事で、単なる代表で、イーズだ。

 

 その補佐に、副代表が2人。

 

「エニル・エルフェニルです。改めてよろしくお願いします」


「アデラ・エルファデラです。マスター殿に誠心誠意お仕えいたします」


「俺に仕えるというより、イーズのサポートをしてやって欲しい。皆期待しているぞ」


 彼女達に働いてもらう上で、仕事着をどうするか悩んだ。

 普段着やルームウェアは買ったが、折角のエルフなのだし、特徴を出したいとも考えたのだ。

 

 まず、巷にあふれるエルフの画像を検索して、彼女達に見てもらう。

 

「なぜ、足をむき出しにしている者が多いのでしょうか?」


 イーズはテキパキと画像を見て指摘する。

 たしかに、森暮らしだと、足の保護は大切だよな。

 草で切れるし、虫やヒルにやられたりする。

 

「む、胸を強調し過ぎかと……」


 エニルはまずそこに気が付いた様だ。

 キャラクターによって胸の大小はあるが、大きいにしても小さいにしても、そこがアピールポイントだと主張する絵は多い。

 

「マスター殿がお望みなのよ、エニル」


 アデラ、それは誤解だ。

 きっと皆の願いであって、俺個人だけの話じゃ無い。

 それと、キャンプ場内でアピールの強い服装は控えめに。

 

 彼女達と話して、服装がだいたい纏まった。

 上は緑系のシャツやジャケットを着てもらう。

 下の方は、アースカラーの登山タイツに、ロングブーツで、ショートパンツかトレッキングスカートを履いてもらう事になった。

 

 そして、耳は隠さず、堂々と出してもらう。

 46人も居れば、そういうコンセプトのコスプレかなって思ってもらえるんじゃないかな?

 ハロウィンが浸透してきて、そういうメイクも認知されていると思うからね。

 

 森林にエルフが居る。

 何もおかしい事は無い。

 

 代表者3人の彼女達と話をすると、イーズが全体を見る力があるのかなと感じる。

 エニルはイーズの見落とす部分を拾い上げて、アデラが両者のフォローをする感じだ。

 

 長い間の放浪生活で培われたチームワークなのだろう。

 それを、遺憾なく発揮して欲しい。

 

 そして、その場所を、俺が作ってゆかなければ。

 

 秋の間に、現状の仕事を覚えてもらって、冬の間にまた大幅な改変が必要かな。

 妖精の隠れ里サイトを大きくして、彼女達に任せるのもアリだろうか。

 何たって、本物の妖精種なのだから。

 

「そういう訳で、このツリーハウスの並ぶ区画についてどう思う?」


「穏やかな時間が流れる、素敵な場所ですね」


「こういった場所だと、もう少しキノコが生えていても良いのではないでしょうか」


「そうですね、日陰が多いので、説得力が増すかと思います」


 彼女達が言うには『サルノコシカケ』的なキノコが生えていても良いのではとの事だった。

 ヒノキの幹にある、螺旋階段と相まって、良い雰囲気を出しそうだ。

 

 あとは、メルヘンな椅子キノコも良いらしい。

 妖精種とは違う、魔力的な存在の精霊の休憩場所として、エルフの集落では椅子キノコを育てるという。

 こっちも採用しよう。

 

 代表の3人の他に、数人のエルフを加えて一緒に妖精の隠れ里サイトを見て回っているのだけれど、凄く画になる。

 

 幻想風景が、一気に加速した感じだ。

 

 お客さん達も、彼女達に見惚れている。

 

 ……ハープとか、似合うんじゃないかな?

 よし、ダンジョンオブジェクトにあるな。

 

「イーズ、これを持ってみてくれ」


「ハープですね。あまり得意では無いのですが……」


 そう言って遠慮がちにイーズはハープを受け取った。

 そして、弦を爪弾き、音色を確認しながらリズムをとってゆく。


 技術的な事は分からないけれど、この空間で彼女が音を奏でるという行為は、非常に説得力があった。

 ポロン、ポロンと鳴る音が、彼女の手で整えられて、空気を震わし音楽へとかわっていった。

 

 その後、他のエルフ達も楽器を欲しがり、笛や太鼓の音も重なって、幻想的な音楽が長く鳴り響いた。



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