表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

127/175

127 ダンジョンへの侵入者

 ヒョウタンにワインを入れるとブランデーになった。

 日数が経つほど熟成が進んで美味しくなる。

 

 それでは、水ならどうなのか?

 結果は、普通の水だった。

 けれど、悪くなっている感じでは無いので、抗菌力は高いのだろう。

 

 かなり優秀なヒョウタンとわかる。

 他の酒ならどうなるか、後で買って来て試してみようと思う。

 

 そんなヒョウタンでできたブランデーをチビチビやりながら、キャンプ場の改善案を練るのが、最近の夜の楽しみになっている。

 

 因みにだが、水晶のダンジョンの外の異世界側と日本は、ほぼ同じ時間が流れている。

 

 そんな、ある夜。

 闇夜に乗じるかの様に、水晶のダンジョンサイトへ侵入する集団があった。

 外套をまとって、フードを被っているので、どんな人種かよくわからない。

 

 コア達によると、透過スキャンができるみたいだけれど、それはもうちょっと様子を見てからにしようか。

 盗賊とかだったら問答無用で良いけれど、そうじゃなかったら色々と問題が起こりそうだ。

 

 謎の集団は、魔人帝国や鬼人王国の保養所前にある待機部屋に入ると、何やら調べるそぶりを見せて立ち去ってゆく。

 

 ……『人数分のお金を入れてください』の案内板を見て、荷物を確認してから待機部屋を出ているから、金欠なのかな。

 

 扉の先に入れないとなると、ダンジョンの奥の方へとずんずん進む。

 数十人は居る感じだな。

 けっこうな集団だ。

 

 水晶のダンジョンは、実入りが無いダンジョンとして噂が広まっているから、今更来るのは探索者じゃ無いはずだ。

 それなのに奥に進もうとするのは、非常に怪しい。

 

 ここは注意をしておこう。

 

 いきなり転移して現れたら驚かれるし警戒される。

 ここは、ダンジョン内アナウンス通信を起動して――

 

「天樹の森キャンプ場・水晶のダンジョンサイトへようこそ。どんなご利用ですか?」

 

 どんな時だって、挨拶は大切だ。

 

 俺の挨拶をうけて、謎の集団は死角をカバーする様に円陣を作り、構えを取った。

 戦闘態勢だな、これは。

 

 今回も話し合いは通じないのだろうか?

 武力を示さないとならないのだろうか?

 

 異世界人相手に下手したてに出ると相手がつけあがるから、高圧的に対応するようにってレイナスやラキは言うけれど、どうにも慣れない。

 しないといけないのかなぁ。

 

 レイナスとラキに、意見を訊いてみた。

 

「問答無用よ」


「軽く倒しちゃった方が良いぞ」


 やっぱりか。

 一応、アミリアとマミリアの双子にも訊いてみる。

 

「「侵入者は皆殺しにするべきです」」


 もっと厳しかった。

 

 よし、あんまり考えても上手くいかないだろうから、下手したてになりすぎず高圧的になりすぎずで、自分らしくしてみよう。

 それで上手くいかなかったらその時だ。

 

 謎の集団に、再び声をかける。

 

「こちらは無暗に敵対するつもりはありませんよ。今日はどんな御用ですか?」


 そう声をかけたら、集団の中の1人が声をあげる。

 代表者なのかな?


「こちらを騙そうとする者ほど、そういう事を言う。卑怯に隠れていないで、姿を見せたらどうだ?」


 あら、なんか俺が悪者みたいに言ってきたぞ。

 

「何か誤解が無いかな? ここは俺のダンジョンなんだけど、その中で何をしようとしているかって聞いているんですよ?」


「我々が何をしようと、卑怯者が知る必要は無い」


 やっぱり、姿を現せって事なんだろうな。

 取り合えず、現場に行った方が良いか。

 レイナスたちに声をかけて転移しようとする。

 

「待ってちょうだい、マスター。1つ考えがあるわ」


 レイナスが言うには、俺がそのまま出て行ったら大概の人は侮ってくるとの事。

 だから、魔力を練り上げてそれをまとった姿を見せた方が良いと言う。

 

「そんなの、どうやってするんだ?」


「イメージが大切なのだけれど、危機的な状況を思い浮かべてみてちょうだい」


 ピンチな感じか。

 それって、漠然とした事じゃなくて、具体的な事の方が良さそうだよな。

 この前、外でトイレに行きたくなったけど、行ける状況になれなくて、凄くピンチだった事があった。

 

 車の運転中に、大きい方をしたくなって、コンビニも見当たらず、信号は必ず赤につかまって――

 

「す、すごいぞ、マスター。魔力がもりもり高まってるぞ」


「ええ、ピリピリと肌を焼くほどの魔力だわ」


 上手くいった様だ。

 

 コア達によると、通常の100倍以上の魔力を放出しているのだとか。

 

 それって、息切れとかスタミナ切れみたくならないか?

 ……大丈夫か。

 

 よし、それなら、侵入者の元へ転移してみよう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ