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126 ヒョウタンから酒を飲む

 仕事が1段落ついて家に入ると、ラキがタブレットを持って声をかけてきた。

 

「なあ、マスター。コレなんだけどさ――」


「ん~、ラキ? どうした? 良いから服は着ろ」


「着ているぞ。それでな――」


 裸エプロンは服を着ていると言わない。


「エプロンは服の上に着る物だ」


「何でだ? えっと、この昔話と同じ格好だぞ?」


 金太郎か!

 

 ちゃんと服を着させて、そのうえでエプロンを着用させた。

 こういう方が良いと思う。

 

「それで金太郎がどうした?」


「そっちじゃないぞ。これこれ、ヒョウタンって奴なんだけど――」


 タブレットを操作し、ヒョウタンのイラストを見せてくる。

 ラキが言うには、昔話や時代劇なんかで、ヒョウタンを水筒に使っている物をよく見かける。

 なので、自分も使ってみたいとの事。

 

「最近、酒を沢山造ってるだろ? それをこのヒョウタンに入れて飲んだら美味しいと思うんだぞ」


 うむ、良さそうではある。

 ヒョウタンに入れるのがワインであったとしても、面白そうだ。

 

 だが、ヒョウタンを水筒にするには、少しハードルがある。

 それは臭いだ。

 

 蔓から切り取ったヒョウタンを水に浸け、中身を腐らせる。

 そして腐った中身を掻き出したら、もう一度水に浸けて表面の皮まで腐らせる。

 そしてしっかり乾かして磨いて使える様になる。

 

 この2度腐らせるのが大変だ。

 精神的に来る物がある。

 更に、あの強烈な臭気を放っていた物の中に水を入れて飲むとか、頭がクラクラきそうになる。

 小学生の頃に試して、無理と悟った。

 

 しっかりと乾燥させれば臭いはほとんど無くなるが、普通にやったら、かなりキツイ。

 けれど、今は別の方法がある。

 そう、ダンジョンマスターならね。

 

 さそく、お手軽に水筒になるヒョウタンを育てるとしよう。

 

 収穫したら直ぐ使えて、カビが生えないように抗菌力が強くて、大きさは様々で、お酒を入れて飲むのに適したもの。

 

 そうイメージして種を召喚。

 

 植えて次の日には収穫できた。

 

 蔦についたまま手に持つと軽い。

 振ると中でカサカサ、カラカラと音がするので種だろう。

 実は入っていない様だ。

 

 蔦から切り離して逆さに振れば、種が出てきた。

 軽く洗ってから、ワインを入れる。

 

 これで、1日様子を見て、問題が無かったら使ってみよう。

 

 そして次の日。

 

 いきなりヒョウタンに直接口を付けて飲むのは勇気が要ったので、コップに中のワインを注ぐ。

 

 色合いが変わったかな?

 飲んでみると、味が少しまろやかになった気がする。

 ラキはどう思う?

 

「うん、美味しいぞ」


 お酒は何でも美味しく飲める子だった。

 

 他にもワインを入れたヒョウタンはあるので、天狐に訊いてみた。

 

瓢箪ひょうたんに酒とはまた、古風じゃの。どれどれ……ふむ、熟成が進んでおるようじゃ」


 天狐が言うには、ワインの熟成が進んだらしい。

 そう言われると、そんな気がする。

 

「ほらほら、マスター、テンコ。ぐびぐびってすると美味しいぞ」


 ヒョウタンのくびれに紐を括ってそれを掴みながら中身をあおるラキ。

 

「ふむ、そうじゃな。これは荒々しく飲むに限るのじゃ」


 天狐も真似してグイグイとヒョウタンを傾けた。

 

 鬼人のラキと天狐がヒョウタンを使うのは、とても雰囲気があった。

 良い感じだ。

 

 ここは、もうちょっと服装も変えてもらって……。

 確か、天狐の手の者の人が持ってきてくれた浴衣があったよな。

 それに着替えてもらう。

 

 結論から言うと、とても良かった。

 酔いが回って肌の血色が良くなる。

 そうなれば、季節柄まだほんのりと汗をかく。

 

 そして、天狐と大人モードのラキは御胸に迫力がある。

 

 腰回りや太ももがむっちりしているので、日本画の美人画の様に色気があった。

 

「あはは、マスターは服を着ている方が好きだなんて、ほんと変だな」


「男心は繊細じゃからの。汲んでやるのじゃ」

 

 その日の酒はとても美味しかった。



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