表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

125/175

125 お手軽スコーン

 ワイン類は美味しいものが手軽に大量に造れるようになった。

 日本酒の方は、まだ時間が必要になりそう。

 じっくり取り組む。

 

 お酒の卸先のメーカーと面談して、どういう方向性でゆくかも決める。

 試飲してもらえば、メーカーの人は確かな手ごたえを感じた様子。

 薄利多売では無く、高級品路線で行くという事だ。

 

 けれど、いきなりそれで通じるのか心配になる。

 どうやら、ウチの特大松茸は富裕層の間で非常に有名で、それの出荷元の作物を使ったお酒となると、良いイメージを演出できるという。

 それでブランドイメージを固めてから、普及品を広めるつもりらしい。

 

 味の細かい調整は、メーカー側でするから、ウチは最大限美味しいと思う物を作れば良い事になった。

 

 俺の仕事は『ワインが美味しくなぁれ』と気合の祈りを込めて種を召喚するだけである。

 この気持ちの込めようで、味の違いが出てくるので侮れない。

 きっと魔力が込められているのだと思う。

 

 種を蒔いたら、後はクリスタルゴーレム達が働いてくれる。

 彼等はワーカーホリックな感じがあるので、時折(ねぎら)いたいと思う。

 家の地下の流れる温泉のかき混ぜ役は、彼等にとってその日の役得らしい。

 直接俺の為に働くのが幸せと思ってくれている様だが……もうちょっと、ちゃんと(ねぎら)おうと思う。

 

 鉢植えにした自然発酵するブドウの木は、家にも1つ置く事にした。

 皆、好きな時に摘まんで食べている。

 

 発酵し過ぎて破裂しそうな物は、予めコズミンが食べてくれていた。

 たまに、コズミンの体内からポコっと泡が立つが、炭酸ガスの影響の様だ。

 コズミンによれば、身体の内側から撫でられているような感覚になって楽しいらしい。

 気に入った様で良かった。

 

 そんな感じで過ごす秋の日。

 

 ラキが、何かを練り練りとねていた。

 鬼人は丸薬作りが得意で、ラキはその中でも名人だという。

 今日は何を作っているんだろうか?

 

「スコーンを作るんだぞ」


 丸薬ではなかったようだ。

 

「そう言えば、ラキが料理をする姿を見るのは初めてだな」

 

「こっちの食材がどう使えるか分からなかったからな。勉強したから、これから作るんだぞ」

 

 科学実験は調理に通じると聞くし、丸薬作りが得意なら、料理も上手いだろうとうかがえる。

 

 今は、昨日仕込んだ生地を、ねて整えオーブンに入れる所らしい。

 

 小麦粉に、べに花油をちょっとずつ加えて練り、豆乳も少しずつ加える。

 良く混ざったら、自然発酵ブドウの3日目の物を入れて、軽く潰しながら混ぜる。

 そして、1晩寝かせたら、オーブンで焼いてできあがり。

 

「少しふっくらした感じのスコーンだな。ブドウの酵母で生地が発酵したからか。美味しい」


「そうだろ? 有る物を利用の簡単レシピだぞ」


 確かに、全部ウチで簡単に手に入る材料だ。

 何でバターを使わないのかって思ったけど、冷蔵庫を見たら切れていた。

 今度買ってこよう。

 

「何か作る時に足りない材料があったら、遠慮なく言ってくれな」


「色々試したい料理があるんだ。その時はお願いするぞ」


「ああ、何が出てくるか楽しみにしてるよ」


 ラキの焼いたスコーンを持って、裏庭へゆく。

 ガラテアにも声をかけて、ハーブティーを淹れてもらった。

 今日は3人で午後のお茶タイムだ。

 

「舌触りが良いデス。このスコーンはお茶に合いマス」


「あはは、それは良かったぞ。ガラテアがスコーンを作るとしたら、何を混ぜるんだ?」


「そうですネ……ガラテアなら抹茶を混ぜマス」


「それは面白そうだぞ。じゃあ、次は一緒に作ろう」


 それから、一緒にお菓子作りをする2人をよく見る様になった。

 おそろいのエプロンも着けていたりする。

 

 仲が良い事は何よりだ。

 

「ラキの丸薬の知識は参考になりマス」


「ガラテアのハーブティーも独特で凄いぞ。勉強になるぞ」


 そういう方面でも気が合ったようで、何よりだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ