119 流れる温泉プール
ウサギ達が山で穴を掘り、ウォータースライダーを作った。
それを映像で楽しんだが、やっぱり自分で滑りたい。
羨ましかったので自分も作ろうと思ったが、意外と構造が難しい。
きちんと計算しないと、途中で止まってしまうのだ。
ウサギ達の作った物を拡大コピペしても、詰まる場所がある。
なので、水晶のダンジョンサイトでは作っては壊しを繰り返して完成には至っていない。
悔しいので流れる温泉プールを作った。
家の地下室の温泉エリアを拡張して『O』の字の巨大な湯舟を用意。
水流を生む動力は、色々考えたけどシンプルに、クリスタルゴーレム達に温泉内を歩いてもらう。
小学校の頃のプールで、クラスの皆でやった経験はないだろうか?
それだけで水流が発生して楽しい。
クリスタルゴーレム達も楽しい様だ。
「なあ、マスター。温泉は裸で良いんだから、ウサギのウォータースライダーでも裸で大丈夫だと思うぞ。誰も来ないだろ?」
浮き輪に乗って流れるラキが駄々をこねるが、それは許可するわけにはいかない。
人が来る来ないじゃ無くて、節度の問題だ。
「裸はダメだとしても、水着はあっても良いんじゃないかしら?」
レイナスもラキの浮き輪に掴まり、ぷかりと浮かびながら流れて来る。
「濡れている服の脱ぎ着は面倒じゃぞえ」
天狐はお風呂マットをビート版替わりにして、上手い感じに浮いている。
「「夏季に遊べる水場へ皆さんで行けるのでしょうか?」」
アミリアとマミリアの双子が優雅に泳いでいるが、流れに逆らうのはやめなさい。
ほら、クリスタルゴーレム達が困っているから。
確かに、それぞれ交代で休みは取っているけど、皆で一斉に休むのは無理だ。
プールや海に1人で行くっていうのも、躊躇するよな。
だから、今まで水着を買おうって事にはならなかった。
「こんな事もあろうかとガラテアは水着を縫いまシタ。皆の分もありマス」
スクール水着で仁王立ちするガラテアが、水面に立っていた。
え!? スクール水着なの?
ダメでは無いけど、ちょっと違う気がするけど……。
ああ、でも折角ガラテアが作ってくれたんだしな。
皆着てくれるか?
頼む。
▽▼▽
さて、俺の分もあるとは驚いた。
普通のトランクスタイプっぽい濃紺色の水着だ。
双子は凄く似合っている。
見た目が10代の様にも見えるし、身長も160cm無い程度なので、丁度マッチしている感じだ。
健康的で良いと思うぞ。
ガラテアも可愛らしいな。
身長は双子よりも少し高い位だから、3人が一緒にいると同年代に見えて、水泳の時間といった雰囲気だ。
俺の通っていた高校には、プールが無かったから、こういう光景には憧れを抱いていたのだろうか?
ちょっと感動しているし、とっても嬉しい。
「それにしても、どうしてスクール水着なんだ?」
「アニメや漫画で見ましたノデ、これがスタンダードかと判断しまシタ」
なるほど、確かに学園が舞台って作品は多いから、水着になるっていったらスクール水着が自然と目につくよな。
おっと、コズミンも流れる温泉に遊びに来たのか。
うん、皆お揃いだって?
そうだな、コズミンも黒紫色で、スクール水着と似た色だから、おそろいだな。
……。
……。
……。
「ねえ、マスター? ちゃんとこっちを見なさいな」
うん、見ているぞ。
「そうだぞ。せっかくガラテアが作ってくれたから着たんだぞ」
だから、見ているぞ。
「むぅ、ぴったり過ぎて窮屈に感じてしまうのじゃ」
はは、天狐よ、そんなはずは無いぞ。
ガラテアはしっかりと採寸して作ったようだから、そんな事は無いから、胸元を引っ張り開けない様に。
「見せておるのじゃ」
女狐め!
レイナスとラキと天狐は、ちょっとダメだった。
彼女達が悪いんじゃない。
俺の邪な気持ちがダメなんだ。
温泉だと思えば、裸でも意識しないのに、水着だと思うと変に意識してしまう。
大人な3人がスクール水着姿になると、ちょっと大人なお店になってしまう。
見ていると俺がダメになってダメだった。
その後、それぞれに似合った水着をガラテアに作ってもらった。
双子は、フリルたっぷりのビキニタイプ。
腰からお尻にかけてのフリルが特に可愛い。
ガラテアは、少し大人な黒いビキニ。
インナーから紐が伸びているデザインで、部分的に縛る形になっていた。
ラキは、タンキニで凄くスポーティー。
子供の姿になっても着られて、動きも活き活きしている。
レイナスは、背中が大きく開いたワンピースタイプ。
彼女の均整のとれた体が、より魅力的になっていた。
天狐は、パレオ付きのビキニ。
まったりとした動作が似合う彼女を、より優雅にしてる。
みんな、とても良い感じの水着になって、流れる温泉プールもわいわい楽しめた。




