118 ウサギの水遊び
朝の散歩の時間。
今日は子ウサギ達が１輪車に乗りたいそうなので、押しながら敷地内の見回りをする事にした。
最強ラビット号、発進！
子ウサギ達も、びしっとポーズをとる。
コトコト揺れる１輪車はとても快適で、子ウサギ達はプイプイと上機嫌の声をあげている。
「おはようございます」
「おはようございます」
「あ！ ウサちゃんだ！ オハヨー！！！」
早起き家族とご挨拶。
子供は朝から元気がフルスロットルだな。
良い事だ。
でも、まだ早い時間だから、もうちょっとだけボリュームダウンでお願いね。
「おはよう。アリさんの声でおしゃべりしようか」
「（小声で）おはようございます！」
小さな声でびしっと手を上げる幼女が可愛い。
ご家族と軽く会話をしてから、見回りの散歩に戻った。
朝食を終えたら、スモモから水場を作って欲しいと頼まれた。
ウサギ達が自由に穴を掘って楽しめるようにしている山で、水が必要になった場所があるらしい。
早速、現場に向かう。
そこは、ウサギ達が思うままに掘った穴が、ぽこぽこと開いた場所だった。
その穴の１つの出入り口付近に、泉を湧かして欲しいそうだ。
でも、そうすると穴に水が入るけど、良いのか？
それが目的なのか。
よし、設置しよう。
ダンジョン改変で泉を設置すれば、チョロチョロと水が穴に流れ込んでゆく。
まるで、水攻めの様な印象もうけるが、何か他の動物に穴を乗っ取られているわけでも無いらしい。
まあ、ウチのウサギ達の元気さに敵う動物はこの辺には居ないけどね。
暫くすると、山のふもとの方へ案内された。
そこの穴の１つから、チョロチョロと水が出ている。
上の水はここへ流れ着いたのか。
これの排水処理をする様にしたら良いんだな。
さて、結局これは何なのか？ と思っていると、水が出てくる穴から、小ウサギ達がシュポンシュポンと飛び出して来た。
成る程、ウォータースライダーか！
飛び出してきた子ウサギ達は、直ぐさま山を駆け上がって、また滑って降りてくる。
スモモとキラリも一緒になって楽しんでいた。
あれ？ 出てこないぞ。
詰まったのかな？
そう思ったら、スライムと一緒に飛び出して来た。
彼らもプルプルと楽しそうだ。
仲良く遊べて、何より。
でも、このままだと遊んでいる内に削れちゃって、穴が崩れる恐れが有るよな。
皆、一旦中止だ！
そして、コア達集合！
ウサギのウォータースライダーを精密にスキャンして、温泉セメントと置き換える。
これで、崩れる心配は無いだろう。
水遊びをしたら、意外と体が冷えるから、上と下に温泉を設置。
基本は温水を流して、気温に合わせて泉の水を足してぬるくする様にする。
よし、皆、滑り遊びを再開して良いぞ。
ウサギやスライム達は元気に遊び始めた。
……良いなぁ。
俺もやりたいけど、流石に穴が狭くて入れない。
そのうち、水晶のダンジョンサイトの方で造ろうかな。
後日。
「うはは～！ 楽しいぞ！」
ラキが子供モードでウサギのウォータースライダーを滑っていた。
ずるいぞ！
って、人が来ない場所だけど、服を着ろ！
せめて、水着を……って、無いのか。
だったら、下着は着るように。
しかし、悔しい。
俺もウサギ達の作ったウォータースライダーを体感したい。
構造は、理解できているんだ。
けれど、地図を見るのとその場を歩くのでは違う様に、これも違うのだ。
……ここは、ヴァーチャルか？
まず、アクションカメラを買った。
高画質で暗いところも大丈夫な高性能なやつだ。
ウサギ達に持ってもらって、沢山滑ってもらった。
そして、その映像をＶＲヘッドマウントディスプレイで見る。
……おお、凄いな。
うん、コア達、リアルタイムで色の補正をしてくれるのか。
君たちもどんどん凄くなるなぁ。
そうだな、コアに乗って飛んでもらって、映像に合わせて動いてもらえれば、臨場感抜群だ！
ヴァーチャルだけれど、俺もウォータースライダーを楽しめた。
