レンジのステータス1
時間が少し戻ります。
朝起きて妻から愛の告白をされた自分は今、朝食を作っている。
保存の魔方陣という鮮度を保つ魔方陣の描かれた冷蔵庫のような形の箱を開けると見たこともない食材が多く入っていた。
何の肉かわからないと料理を作りにくい。そう思いながら食材に触ると食材の説明文が出てくる。
ミレイに聞くとそれは家事(A)というスキルの効果らしい。
この世界特有の力らしいのであとで教えてもらうことにし、食材の特徴をつかみ、調味料を確認する。
「これは醤油か?」
「私、オリジナルのね」
ミレイはそう言って、小さなスプーンにしょうゆを取り出した。
「・・・おお、これは薄口しょうゆ、こっちは濃い方」
地球にいる時に口にしたものとあまり変わらない味だった。
「じゃあ、これで料理を作ろうかな」
※※※
「「ご馳走様でした」」
「美味しかったかい?」
「うん!ダーリンの料理食べたの久しぶりで、涙出ちゃった」
作ったのは簡単なだし巻き卵に生姜焼き、パンとサラダの簡単なものだったが彼女は終始涙を流していた。
・・・まあうれしいのではあるが。
「ねえ、お水いる?」
「うん?ああ、もらおう」
そう言って自分はミレイに水差に入った水を入れてもらう。
「ありがとう、ミレイ。(ゴクっ、ゴクッ)」
水を飲むと、何か違和感を感じる。
「ミレイ、何か・・・」
入れたのかと聞こうとして眠気が自分を襲う。
これはいけないと思った自分は舌を噛み、意識を覚醒させようとした。
「安心して、洗物はしておくから」
後ろから抱きつき耳元でそう言うミレイの声に一瞬呆けてしまいそのまま意識を持っていかれた。
・・・妻に睡眠薬を盛られたのはこれで何度目だろう?
あまりに学習しない自分にあきれながら私は意識を闇に落とした。
※※※
睡眠薬は盛られ過ぎて耐性が少しばかりある。
地球で像を10時間眠らせる睡眠薬を盛られて1時間で起きたことのある自分を眠らせた今回の睡眠薬は初めてともあり解毒に少しばかり時間がかかった。
体内時計で約1時間半。ようやく目が覚めた僕はどうやらベットの上にいるようだが両手両足に違和感を感じた。
カシャン。
そんな金属音の音源に目を向けると手には手錠が着けられていて肩幅ほどしか開けなくなっており、足枷は罪人に着ける重石の付いたものだった。
「・・・ミレイの愛が重い(物理的に)」
僕はそうつぶやきながら枕元に本と紙があることに気づく。
「なになに?城で勇者召喚をするので参上するようにと言われたので行ってきます。夕方頃には帰ってきます。本を読んでこの世界の事少しでも知ってください、か。えっと、・・・『ミレイのエデンの仕組み解説本!(ダーリン専用♡)』・・・これか」
その本にはミニミレイが描かれており、所々で吹き出しに細かい説明が入っていた。
「・・・これ即席ではないよな。ミレイは自分がこの世界に来ることを知っていたのか?」
まるで事前に用意されていたかのようなこの本に少し疑問をもちながら自分は本を読み進めていく。
この世界はエデンと言い、世界を作った神とは別の二人の神の生み出した種族にわけられること。
そして、国民のガス抜きのために運動会が行われていること。
「平和な世界だな。少し羨ましい」
第3次世界大戦なんかをやっていた地球から来た自分としては少し羨ましいくらいに平和な世界に少し嬉しくも思った。
それから各種の特徴。両種族には代表がおり、ライファ―は生命神が王のジョブを与えた人が。ブレイファーは毎年行われる武闘大会の優勝者が王となるらしい。
世界地図のページを見ていると頭の中に「スキルが変化しました」というアナウンスのもと「ストレージがメニューへと変化します」と言われた。
朝も言われたスキルというのが気になり調べる。
スキルについて
スキルとは生まれた時から持っている先天性スキル(OS・R・SR〉とジョブに着いた時にもらえるジョブスキル、ダンジョン攻略や何かをなした時にもらえる後天性スキルの3つがあって初期段階で最低1つ。平均2つ。過去最大が100である。
スキルについてはステータスオープンで調べることができる。
スキルにはランクがあり最低のFから始まり最大が使い続けることで熟練度によってAまで成長させることができる。。
さらにその上のSがいるがこれはAがある条件を超えて獲得する方法もあるが、強力なスキルは基本的に先天性である。
ミニミレイちゃんメモ♪
スキルには隠しスキルというのがあって、鑑定(S)の人でも名前しか見れないし、基本的には他人から見られない。また一部の隠しスキルは名前も説明もなく本人にも謎のものがある。
またOSを持つ人はかなり稀で能力によっては国宝扱いにもなる。
※ちなみにダーリンの5個はかなり多い方だよ!それにOS2つはすごいよ!
他にもいろいろ書いてあったが大まかに説明するそうであったので、まずは自分のステータスを見てみる。
「・・・ミレイは知っているのか?まあとりあえず、ステータスオープン」
ステータス:レンジ (17) (高位)人間(隠蔽発動中) ジョブ:SP
HP:1500 MP:500 適正魔法属性 闇・光・風・無色
※現在OFF状態
スキル:察知(A※NEW!)・鉄壁(OS)・メニュー(OS※new)・家事(A)・鍛冶(B)
「おお、色々出てきた。とりあえずスキルについて調べるか。確かスキルを2回タップすれば詳細が知れるんだよな」
察知(A)・・・気配察知・毒物感知・危険察知の3つの能力がある。
基本的にスキル使用時にソナーを放ち、それぞれのスキルに対応した反応を教える。一度存在を確認したものや図鑑で見たものに応じて反応を得たものの詳細を知ることが可能になる。またマップ機能を手に入れたことによりマップ上にスキル展開可能。検索範囲を広げられる。隠ぺいや気配消去(極)クラスでない限り検索には引っかかる。また、アラーム機能有(設定は複数あります)
「これはすごいな・・・」
そう言って、メニューのマップを右上に表示。僕は敵意もつものを赤。仲間を青に識別。その他を白にする。危機を感知するとアラームが鳴るようにし、アヤカを検索し彼女にも危険が迫った時にアラームが鳴るようにした。
その際に分かったことだがこの屋敷周辺には全くと言っていいほど人がいなかった。
「これ・・・むこうの世界だったら監禁罪だぞ。自分だからいいが」
・・・しかしこれをもしミレイが持っていたりしたらかなり怖いな。
自分はそう思うと背筋を震わせた。