表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/33

再会と殺意

 

 前回のあらすじ


「お、かあ・・・さん?」


「はい?」




 そこにはお父さんの写真アルバムで見たことがあるお母さんと同じ姿の少女が立っていた。


 ※※※


 私がお母さんと呼ぶと王は盛大に笑った。


「はは、おかあさんか。お前さん、その年の割に普通にしていれば大人びて見えるものな。というより中身は大人か」


「テトさま。そう言うなら私、運動会でませんから」


「おっと、それはこまる。謝罪するから」


「ふふ、私は念願が叶って気分がいいので許します」


「ほお、そうすると異界より前世の旦那を呼ぶことに成功したのか」


「はい、昨日の夕方ごろに。久しぶりに会ったダーリンは若返ってまして、辛抱ならず昨日の夜は久しぶりに愛されてました」


「そうか・・・その者の話はあとで聞くとして、貴殿にはこの異界より召喚したこの者の教育をしてもらいたい」


 そう言って王は私を指差した。


「ふーん、私と同い年かしら?」


「・・・あなたと同じ年?」


 アヤカは不思議そうな顔をした。目の前の少女はどう見ても16か17歳くらいの少女。

 一方、私は27さい。

 いくら若い見た目をしている日本人だからと言って10歳差も若く見られるわけがない。

 私が不思議そうな声でそう言うと、彼女は何か気づいたようなこえで質問してくる。


「あら、もしかして若返っていたりする?えっと、あった。これ使って」


 そう言って彼女が渡してきたのは手鏡だった。

 そこに写る私の顔は・・・


「高校生の時だ」


 そう、この顔は高校生の時の私だ。この顔は正直少し嬉しくもある。

 なぜなら傷心したお父さんが私に甘えてくれた時期の物でもあるからだ。

 正直に言えばお母さんの影を重ねていたところが不満だったけど、それでも甘えてくれたことに変わりはなく、幸福だった。

 ・・・しかしこうしてみると、―――


「そうやって並ぶと似てるな、二人は」


「え?・・・ああ、確かに似てますね。あれ?でも、私は前世の姿のままってことは・・・まさか。あなた、名前は?」


「・・・えっと、その」


「コウサカ アヤカだそうだぞ」


 私が言い淀んでいると王はそういてしまう。


「高坂、あ、あやか。・・・ねえ。誕生日は?」


「え?7月10日」


 なぜ、こんな筆問を?―――まさか・・・


「・・・!お父さんの誕生日は?」


「11月11日」


 即答だった。これは私の携帯のパスワードにするほど大切な番号。


「そうだな・・・あ、お父さんの秘蔵所の場所は?」


「・・・あー、本じゃなくて洋服棚の一番下の段の二重底をはずしたところにあるUSB」


 あの時のことを思い出して少しいらっとする。

 あの時怒りに身を任せていたら、お父さんを襲っていたと断言できる。

 ほかの女を使って、貴重な種を捨てていたのだから。


「・・・」


 彼女は急に黙りアヤカは戸惑う。

 すると私の目の前の彼女の眼尻に涙がたまってゆく。


 ・・・これってもしかするのかな?私の誕生日、お父さんお誕生日、お父さんの秘蔵書の隠し場所を聞いてくる。それもどれも彼女の望む答えのようだし。

 ・・・でも、そうするとこのお母さん(仮)はとんでもない事を言ったことになる。


「会いたかった、あーちゃん!」


 そう言って彼女は抱きついてくる。私をあーちゃんと呼ぶのはたった一人。


「本当に・・・お母さんなんだね?」


「そうだよ!」


 お母さんは本当にうれしそうだ。私もあえないと思っていたから会えてとても嬉しい。けど・・・




















 ・・・それなら許せないことがあるな。



 私は感情をできるだけ抑えた声で聴いた。





「おかあさん。もしかしてお父さんこの世界にいる?」




 ※※※



 side:ミレイ


「おかあさん。もしかしてお父さんこの世界にいる?」


 私はそれを聞いた瞬間、一瞬悪寒が走った。

 まるで首筋に鋭利なナイフでも突きつけられているようだった。

 この殺気、おさえているのにもかかわらず生半可なものでは気絶してしまうレベルである。

 その証明にそばに控えるメイドの一部は気絶しているし、側近も苦い顔をしている。

 騎士団長に関しては王の守護に入っている。


 そして、危機管理スキルが彼女を安全を知らせる青いアイコンから死の危険のある赤のアイコンへと変わったことを教えた。


「あーちゃん?」


 危機感を感じた私はあーちゃんを離し、少し距離を取った。


「お母さん、素直に答えてね?」


 誰もを魅了しそうな笑顔のあーちゃん。かわいい。

 でもそれはすぐに崩れ、あーちゃんは溜めを作り言った。


「・・・おとうさんはどこ?」


 その瞬間、空気が凍った。

 その空気を私は知っている。

 ダーリンの妹を泥棒猫と勘違いして私の放ったあの時の殺気と同じだ。


 つまり・・・


「あーちゃん、その感情はだめだわ。それは娘がお父さんに向けるもんじゃないもの・・・それを向け続けるのなら~」


 私は彼女と同じ殺気を出して宣言しておく。

 あらら、殺気が強過ぎて近衛騎士の皆さん鎧のまま気絶してるし、賢者様もみんなに精神安定魔法かけてる。迷惑かけてごめんなさい。・・・けどね、たとえ娘だろうと教えてあげないといけないの。





 ダーリンの女は私だけでいいもの。だから、それを奪おうというなら・・・






















「・・・殺しちゃうかも♪」






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ