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一週間後、集う候補者

 



 ―――あれから一週間後


「ふぁー、もう一週間か……」


 起きたレンジは周りに眠るアヤカ、ミレイ、ミオの三人を起こさないようにベットから出ていき朝食を作る。

 これは、前回睡眠薬を盛られたことによる反省だ。


 ……正直、前世でも同じ理由で早起きをしていた。


 家の中を図面から読み込み、隠し部屋や隙間を調べる。

 それを掃除や洗濯、調理といった家をくまなく捜索しても不自然にならない程度に。

 そして……この一週間で家事スキルが(S)へと昇格しました。

 確かに、効率的にやろうとスキルの使用練習も含めて家事スキルの〈同時並行〉を使用して調理と掃除と洗濯、周囲の雑草抜きなどMPに物を言わせて一辺にやりましたが……まさか壁をコタと判定されるとは思ってなかった。


 Sランク判定はある意味人知を超越した証明。……意味がわからない。


 ※普通の同時並行スキルはCまでが同時並行でやる作業に補正がかかるだけで、BでMPを消費して半径1メートル以内の物を1つ動かせる。

 AでMPの消費量に合わせて範囲と動かせる物の数が変わり、同時並行作業に本人作成時と比較して8割の仕上がりする補正が入る。しかしレンジはMPによってその範囲をとてつもなく大きくして、複数の作業の同時にこなした。

 たとえ本人の8割の仕上がりであろうと、プロと同等かそれ以上の質なので文句はない。……ということをレンジは知らない。


 そんな規格外の〈同時並行〉のスキルで倉庫から食材を運び出し、お風呂のお湯を温めなおしている。

 まあ、MP上昇とMP消費削減、効率化、演算処理、並列思考のスキルが手に入ったのは嬉しかった。


 ※※※


「おはー、父さん」

「ふぁー、おはようダーリン」

「おはよう、レンジ」


 アヤカ、ミレイ、ミオがなかよく寝室から出てくる。

 この一週間を通してかなり仲良くなったように感じる。

 3人は見た目のせいでお泊り会をした仲のいい学生のように見える。

 自分の中身(精神的に)はおじさんなので、それを見て欲情するよりも先に娘に友達がいたことに感激する父の心境を感じていた。


 しかし初日の夜はたいへんだった。

 自分が寝落ちしてそれをミレイがそのまま膝枕したせいで、アヤカとミオが怒った。

 しかも、寝てる自分にキスをしようしていたらしい。

 夫婦みたいなものだからそのくらいはいい……といいたいが、娘と友達の前でそういうことをされるのは恥ずかしいので控えてほしいとミレイにははっきりと言っておいた。


 その時にミレイに「私と同じ立場の家族だったら、気にしない?」と聞かれた。

 その時は思わず聞き返してしまったが、ミレイは何でもないといってどこかへ行ってしまった。


 一応言っておくとこの世界の男女比は、女性が多い(具体的にいうと男4(3.8):女性6(6.2)。


 そのため重婚、つまりハーレムは認可されている。

 ただし神に誓うので不幸にさせると重い天罰が下る。


 ミレイの周りにもハーレムの一員の人はいるらしくて、その話を聞いているうちに大家族みたいなのにも憧れている節があるということを、王城から特殊選手選考会の招待状を持ってきたメイドが教えてくれた。


 そのメイドは帰るときに謎の笑みを自分に向けてきた。

 それは、ミレイのあの目をほうふつとさせるからめ捕られるような、粘着質な……ヤンデレの視線。

 振り返ると、彼女はそんな雰囲気を感じさせない爽やかな笑みを浮かべるのであった。

 だが、あの時感じた視線はミレイを殺したあいつと……。


「……まさかな」


 レンジは、いい香りのする料理の数々をさらに載せてテーブルへと運ぶのであった。




 ※※※


 ―――城内 特別訓練室


 城に入り、レンジはミレイとアヤカと別れて(ミオはブレイファー代表なので見学不可)別の選手用ボックスと案内の騎士が呼んでいた箱に入った。

 その瞬間妙な浮遊感と魔力の方向性、質から転移魔法が発動したとわかる。

 耳をよくすませると、風の音が聞こえる。


「外に転移した・・・いや、フィールドに転送されたのか?」


 ミレイから聞いたところによると特別訓練室は古の時代にいた賢者が人工ダンジョンを作成した結果らしい。

 モンスターは生み出せないが、十分な広さが用意でき、破壊しても怒られることは無いらしい。

 耳を澄ませて周囲を感じ取り、暇をつぶす。

 しばらく待っていると、どこからか声が聞こえた。


「さて、特殊選手候補者の諸君よく来てくれた。事前に通達したと思うが今回、我々ライファーには大聖女だけではなく、生命神より召喚された勇者が味方してくれる。ゆえにわがジョブ:王による選手指名枠はあと一つとなった。よって今回シンプルにかつ効率的に代表を決めることにした」


 その瞬間レンジを覆っていた箱の天井が吹き飛び、壁が外に向かって倒れた。

 ―――遺跡か?

 その言葉が真っ先に浮かんだ。

 あたりには荒廃した文化物のような建物が多く見受けられた。

 周囲に誰かいないか察知を使うと、すぐにわかった。

 この遺跡、東京ドームと同じ大きさの広間を中心に50本の通路が広がってる。

 そしてこの中に50 人。

 おそらくだが、この道を通り抜けて広間に出るまでで基本的な振るいを掛けるつもりなのだろう。


 俺は遺跡の一部を拳でえぐり、トラップを無効かして背を預けて考える。









「・・・遺跡、ね。こういうところってなかなかに面白いギミックがあったりするよな」


 子どものような楽しそうな笑みを浮かべては一人、遺跡の中を彼は駆けてゆく。










 ※※※



 ―――???某所




「・・・さて、先輩。また壊れてください。そして私だけを見て」




 闇の中、中継に映ったレンジを見ていたものはそう言って不気味に笑った。



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