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聖女様

話を大幅変更しようと思い、再投稿しました。

変わるのは主にお父さんの能力です。

お楽しみに。

 



 ここは異世界エデン。

 この世界は平らに作らており、半生をかけたものによる必死の航海により地平線の向こうは虚無が広がっていることがわかっている。


 この世界は比較的穏やかである。

 温暖な気候、神にきちんと祈りをささげれば一年を通して豊作を約束された農家。

 水質汚染対策や気候汚染対策など星を壊すようなことへの対策は神託によって即座に行われる。

 この世界は平和で、だからこそ退屈にすぎる。故に元来闘争を好む生命のガス抜きのために刺激的なイベントがある。

 それこそ人魔対抗大運動会である。


 この世界は生命神によって作られたライファーと呼ばれる種(人、エルフ、妖精、精霊、獣人)と魔神によって創生されたブレイファーと呼ばれる種(魔人、吸血鬼、ドワーフ、龍人、悪魔)が存在する。

 また、各地で出没するモンスターと呼ばれる害獣を討伐するギルドの本部は、星の中央にある一番大きい大陸であるミリートに存在する。その大陸を半分に分ける、毎年一定時期にしか霧の晴れない湖と川を挟んだ森の東側にライファー、西側にブレイファーの首都が広がる。


 その境目の湖に存在するのは世界最大級の神造闘技場。

 神々の御前試合とも呼ばれ、その盛り上がりは毎年大きな盛り上がりを見せる。

 その運動会に参加するための予選を控えたこの世界の春。

 ようやく寒さから解き放たれた自然が青々と葉を取り戻す中、その準備が本格的に行われだし、各地の若き強者がそれぞれの種の所属する首都へと集まる。

 芽吹きの季節は同時に寒い冬を耐え生き残ったモンスターが腹を満たすために活動を再開する時期でもある。 ゆえにこの時期、森の中でモンスターが暴れてしまうことがしばしばある。

 その森の上空を古代遺産(アーティファクト)である浮遊二輪(エアロバイク)に跨りモンスターを探す白服の少女の姿があった。


 ※※※


 薪や炭を作るために森に木を切りに来ていた木こり達は、運悪く遭遇したモンスターから逃れるために大急ぎで森を駆けていた。


「巨大なサイクロプスが出たぞ!」


「グァアアアアアアアア!」


 彼らの前に現れたの全長15メートルはあると思われる単眼巨人:サイクロプス。

 全身には隆起し鋼のような硬さを持つであろう筋肉の鎧。 その手には余りある力によって根ごと引き抜かれた巨木を持っており、その圧倒的質量は振り下ろせば人を軽く押し潰し、盾にすればまるで城壁のように攻略は困難だ。

 少し前に魔法使いの冒険者を主力としたグループ15名が討伐に来たが、わずか5分で壊滅されてしまった。

 木こり達はその様子を見て、これから自分たちに起こること、そしてこの近くにある村に住む家族のことを思い、殺される恐怖とどうしようもできない悔しさから涙を流してしまう。

 しかし、その時救世主が空から現れた。


「魔石をよこしなさい!」


「グァ!?」

 空に突然現れた少女はエアロバイクから飛び降り、その身をサイクロプスに向け落下する。

 それだけではなく、周囲に魔法と風精霊の強力で加速してサイクロプスの胸に穴をあける。

 サイクロプスは突如として開いた胸の穴に困惑する。

 そこはモンスターが生存するのに必要な魔石が埋まっているはずの所だった。


「・・・グァアアアアアアアア!」


 サイクロプスは魔石を抜かれたことにより肉体を維持できなくなり、その体は暗黒の瘴気に戻ってゆく。

 サイクロプスは森を震わす断末魔の叫びを残し、消滅した。


「風魔法:減速、浮遊。来て!エアロバイク!」


 少女はサイクロプスを貫いたスピードを完全に制御し、地面に軽やかに降り立つ。

 そのそばには彼女の乗っていたエアロバイク。


 少女は自分の半身くらいの直径を持つサイクロプスからくり貫いた魔石を漆黒の靄を放つバイクの座席の下に当てる。

 すると、魔石は掻き消える。


「さて・・・帰りますか」


 少女はそう言ってエアロバイクに跨り帰ろうとする。すると、森の奥から1人の木こりが声をかけてくる。


「おお、聖女様!」


「君はこの先の村の・・・」


「はい。またもや助けていただきありがとうございます。よろしければ、わが家でお茶でも・・・」


 その木こりは村でもかなりイケメンであり、真面目でかなりもてる。

 そんな彼だが、彼女はいない。なぜなら彼は目の前の彼女に秘かに恋をしているからだ。


「お礼はいいよ!あっ・・・でも、できたら魔石が欲しいかも。」


 しかし、そんな青年の思いかなわず聖女と呼ばれた少女はバイクを浮遊させる。


「わかりました。協会に送っておきます!助けていただき、ありがとうございました!」


 少女はエアロバイクに乗り、魔石を求めて次なる場所へと向かう。

 その眼の奥には一人の男の姿が映る。


『――――ミレイ』


 幻聴だが、記憶にある彼の声に少女は興奮して身震いを起こす。


「待ってて、あなた。直ぐよんであげるから・・・」


 その表情はとても聖女には見えないひどく病んだものだった。


 彼女の名はミレイ。幼い頃孤児院に捨てられ育てられた少女。

 才色兼備で、今は教会で働いており神より聖女のジョブ(人は万能種の為、適性のあるジョブを取り、己が道を決めるのが成人となった時の決まり※なお成人は12歳)を授かりし者である。

 お転婆で元気。とある好きな人の為に頑張る一途な子と有名で、ギルドに冒険者登録しており(神父様が現在地を調べるため※ギルド発行のカードには現在地を特定する発信機機能あり)、最低ランクにもかかわらず(自身が報告してないから)モンスター討伐数はギルド10本の指に入る(住民が報告してくれるため)。


 彼女は特別である。

 なぜなら、前世の記憶を持っているから。さらに前世と同じ容姿をしているからである。

 その記憶の中にいつもある、幼馴染であり夫でもあった彼の姿。

 彼への思いを様々な方法で紙に書いているうちに絵、ポエム、作家のセンスも上がり、ライファー、ブレイファーとも熱烈な人気を有している。


 彼女は今日仕留めたサイクロプスの魔石を王都の近くにある隠れ家の一室に持って行き、その部屋の床にかかれた魔法陣の中央にある大きな魔石にサイクロプスの魔石を取り込ませる。


「〈鑑定:S〉」


 そう言って魔石の総魔力量を測る。


「ふふ、ふふふ」























 彼女は不敵に笑う。


「待ってて、()()()()。今あなたを呼ぶから・・・」





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