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ふたきつねは異世界で何を想ふ  作者: 茜村人
1章.謎の惑星
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21.スタンピード?

まずは、投稿が遅くなった事、すみませんでした。

理由なのですが、某ゾンビやスケルトンを倒したり、ダイヤを手に入れて装備を整えたり、ネザーに行ってファミレスと戯れたりするゲームをやってました。

ダメですねアレ。

止まんないですね。

今後は週1を目標に投稿するようにします。

よろしくお願いします。


PS.皆もマイクラ買おうね。

『おいおいおい、流石にこれはまずいだろ』


 街に向かうこと数時間。

 俺たちは渓谷を見下ろしながら、大きな岩に身を隠す。

 ひょっこりと顔を出したふたきつねは、そこだけ見ればとても可愛らしく和むようにも思えるが、その狐の目線の先――――渓谷の底を見ればそんな悠長な事は言っていられない。


 ギシギシと歩くたびに砂煙が舞い、地が響く。

 昼とはいえ真夏には程遠い暑さなのに、溢れんばかりの熱気が蜃気楼のように ゆらゆらと奴らの頭上を揺らす。


 渓谷の底、日光が当たっている今だから見えるそこには、数えきれない程の魔物が跋扈(ばっこ)していた。

 ただ静かに進行するそれは、言い寄れぬ不気味さがあった。


 数は分からないが、百や千ではないだろう。

 推定万単位。


 方角は俺たちと同じく街を向いて、大群はゆっくりと前進している。


『これって街を狙ってるって事ですよね……?』

『まだなんとも言えないが、このまま真っ直ぐ進むなら、間違いなく街に行き着くな』


 魔物の様子からして仲間になりたそうにしているわけではなさそうだ。そんな大群が街と衝突すれば、戦闘は免れないだろう。


『……どうしますか』


 後輩の選択肢は二つ。

 戻るか、別の街を探すか。


 戦うなど視野にすら入ってないし、入れるつもりもないと暗に言っている。

 俺も同意見だ。

 自分よりも大きな魔物がこれほどの数を成している。そんな中に攻撃を仕掛けるなんて馬鹿のする事だ。

 それに――白い斑模様(まだらもよう)の魔物も多数存在している。

 それだけで危険性が一気に増している。


 この距離だと流石に"鑑定(シーター)"は使えないが、この大群に居る魔物は主に三種類。


 一つは青緑のような体色に、尖った耳、小柄な体、前の方に居ることから尖兵なのだろう。

 知っているもので類似しているとすればゴブリンと推測される。


 一つはトロール。

 あの巨体を揺らし地面を響かせながら歩いている。


 一つは、赤く隆起した体に、二本の角、口から飛び出ている四本の牙は禍々しく光っている。

 これは、(オーガ)なのか? 数体の肩に留まっているのは鷹か何かだろうか。

 それが群の後方に広がっている。


 その中に少数だが狼が居る。

 ゴブリンが乗っている事から飼われていると見ていいだろう。


 割合で言えば、ゴブリン6、トロール3、オーガ1で存在している。


 その中に変異種が混ざっているのが点在して居る。

 そして、一番厄介なのが、オーガに留まっている鷹だ。最悪な事にこの鷹にも白の斑が混ざっている。

 上空にも気を付けないといけない。


『完全に死地だな』


 この中に飛び込む気など微塵も思わない。

 街の規模は分からないが、被害が出るのは明白だろう。


『どうするか』

『この前のトロールってこれを隠す為の囮って事は無いですよね?』

『……絶対ないとは言わないが、正直なんとも言えないな。魔物の生態も分からんし、せめて知能を持った魔物が居るかどうか分かれば多少はその考えにも意見出来るけどなぁ』

『……それって私達ですよね?』

『……まぁそうだが、俺たちはイレギュラー要素があるからなんともな』

『ですねよぇ、でもこの前のおじさんは龍神様の側近だと勘違いしてましたし、その地位? の魔物は知性がある可能性は高いですよ?』


 確かにランドルは俺たちが話しかけたのを驚いたが、それで龍神の側近だと勘違いもされた。


『という事は、この群勢は群ではなく軍の可能性もあるって事か、正直更に首を突っ込みたくないな』


 龍ってだけだあんなに怖かったのに、それに準じる者が率いる部隊とか手を出したくない。


『ですね。別の街を目指しますか?』

『そうだな、それが堅実だな。ただ』

『ただ……?』

『いや、街に知らせるくらいはしたいなとな』

『じゃあ、急いで街に向かいます?』


 それも手だが、俺たちだと敵対される可能性もある。

 かと言って人に化けても悪い方向に行く未来が見える。


『ではどうしますか?』

『引き返そう』

『……引き返すんです?』

『あぁ、今から全力で走れば街に向かっているランドル達と合流出来る』


 "索敵(サーチ)"と"望遠鏡(スコープ)"でランドルの位置は把握している。

 遠いと言えば遠いが、行けない距離じゃない。

 それに、向こうは後方部隊と合流したらしく人数も増えている。


『保身も優先させないといけないから、そこが妥協点だな。後輩はそれでいいか?』

『もっちろんです!』


 元気よく頷いてくれる。


『よし、急ぐぞ!』

『はい!』


 そう言い、俺たちは来た道を引き返す。


 ランドル達も街に向かっているため、そこまで離れていない。


 まだ日が昇って早いが、このペースなら昼までには着くことが出来そうだ。

 潜伏が切れていない事を確認して慎重に走る――


 ☆  ☆  ☆


『――見えた!』


 走る事数時間で、ランドル達と思わしき団体を視認する。

 数は三十程、大所帯となっていて数台の馬車が荷を運んでいて、キャラバンのようにも見える。

 ランドルは先頭で、団体のリーダーと思われる人物と並んでいる。


 潜伏をしていると、存在そのものを忘れられるので、一旦解除する。



「―――――誰だ!」


 ランドルが声を上げる。

 その声に釣られてリーダーもこちらを向く。

 周りは平坦な道で身を隠すものが存在しない。

 なので、大人しく前に出る。

 ただ、出てくるのは俺だけだ。

 後輩は潜伏を解除せずにいる。ヒーラーが負傷しては一大事だからな。


「……ッ!?」

「どうした!」


 俺を見ると記憶が戻ったのだろう。

 あからさまに引き攣った顔をしている。

 答えないランドルに、痺れを切らしたのか、リーダーが右手を上げる。

 それで後ろに控えていた弓兵が構える。

 その中の一人は構えるのを忘れてこちらを見ている。アニだったか。


「撃――」

「――待て! やめろ! 撃つな! 絶対撃つな!」


 慌てた様子で隣から静止がかかる。

 ギシギシと弓が軋み、矢が引かれた状態で止まる。


「おい、何故止める!」

「す、すまない、弓を降ろしてくれ、敵対もしないでくれ、絶対、絶対だ!」

「おい、ラン――」


 リーダーがランドルの必死な形相を顔を見て言葉を失う。


「頼む」

「……分かった、だが説明はしろよ」


 リーダーが右手を降ろす。

 それを起点に構えが解かれる。


「すまない」


 その間ずっと冷や汗を流していたのは他でもない俺だ。

 早まる鼓動に長く息を吐き整える。


『止まってくれて良かった』

「あぁ、本当に。あなたと敵対なんてしたら、全滅は必至ですからね」


 あ、心の声が漏れた。やべっ。


「それで、今回はどうしたのでしょう」

『え、えぇ、悪い報せを一つ持ってきました』

「……悪い、報せですか?」

『ここから、北にある渓谷で万を超える魔物が街に向かって前進しています』

「なっ⁉︎」

「どうした⁉︎」


 ランドルの動揺にリーダーが釣られる。

 ランドルは呼吸を短くし、何かを考えるようにゆっくりと口を開く。


「……それはあなたの率いる軍、という事でしょうか」


 慎重に腰を落とし、腰の剣に手を近付ける。

 まぁ、あるかもとは思っていた。


『違います。俺とは関係ない奴です』

「……同じ魔物なのにですか?」

『それなら、この前のトロールも同じ魔物ですよね』

「それは、失礼しました。そうですね」

『それに、今回の大群にトロールも確認しました。数は全体の3割弱』

「他に、どのような魔物が居たのか教えていただけないでしょうか」

『先兵に緑の小人のようなのが6割、後列に赤い角の生えたトロールみたいなのが、それが1割、進行具合から明日から明後日には街に着くと思います』

「ゴブリンとオーガ、ですか……、少しこいつと相談してもいいですか?」


 隣のリーダーと指差す。


『えぇ、どうぞ』

「ありがとうございます」


 そのまま、リーダーに事情を説明する。

 みるみると顔を青くしていく。


『これからどうします?』


 すぐ後ろで立っている後輩が話しかける。


『まぁ、これでなんとかしてもらうしかないだろうな』

『でも、この感じだと何とかならない気がしてならないんですけど』


 キャラバン一行は指導者格と思わられる数人を更に追加して、話し合っている。

 魔物の言葉を信じるのかと怒鳴る男も居れば、俺の言葉を信じて――いや、あれはランドルの焦燥さを信じた口だな、ランドルを信じて対策を考える女も居る。


 どうやら、トロールの攻防に俺が現れた事も話しているようだ。

 それが更に混乱させたようだ。

 怒鳴っていた男は、何故黙っていたとまた怒鳴る。


 これはもう少し時間がかかりそうだ。


『と言うか、ここで帰ってもいいよな?』


 要件は伝えたし、ここに居る意味もない。


『確かにそうですね。あ、でも今潜伏したら、話した内容も忘れません?』

『あっ……』


 忘れてた。

 まだ確定した訳ではないが、その可能性は十分高い。


『どうするか』

『遭遇するまでは潜伏を解除しときます?』


 それはつまり魔物に遭遇しても素通り出来ないと言う事、今まで結構な魔物を素通りしたから、今更そうなるのは。


『うわぁ、嫌だな』

『ですね』


 かと言って、既に情報を渡した身。

 この情報が無為になるのは、少なからず抵抗がある。


「すまない。遅くなりました」


 おっと、いつの間にやら終わったようだ。


『構いません。それで、これからの事は決まりましたか?』

「えぇ、その前に、あなたに一つ聞きたいことがあります」


 ランドルの喉が鳴り、場が緊張する。

 それは後ろの人達にも伝わっているのか、全員が俺達を見ている。


「――――あなたなら、その群を殺し尽くせますか?」

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