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ふたきつねは異世界で何を想ふ  作者: 茜村人
1章.謎の惑星
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プロローグ 後半

誤字、脱字教えていただければ嬉しいです!

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい――』

『い、いや、俺からなんで、そんな謝らないでください。こっちこそすみませんでした』


 現在、目の前の狐が見事な土下座をしている。

 どうも、俺を野生の狐だと思っていたらしく、自分の見た目を速攻で理解して姉妹だと思いお腹に鼻をつっこんだそうだ。

 怒られて怖がっていると、舐めてきたので愛情表現だと精一杯舐め回していた。という事らしい。

 どうも、この人は元々狐が大好きのようで、ただ、動物からは好かれず中々――と言うか一度も――触る機会が訪れず、起きたら目の前に狐が居て興奮してリピドーのまま行動した。と言っている。

 現に俺の体は涎でベタベタだ。


 いや、速攻で理解するなよ。リピドーのまま行動するなよ。まず、状況を確認しろよ。とか言いたいが、ぐっと我慢する。


『すみません速攻で理解して、すみませんリピドーで生きてしまって、すみません周り見れなくて……』


 念話(テレパシー)はどうやら、プライバシーの一切を保護してくれないようです。

 そして、一番の原因はこの声、この狐の中の人はどうやら女性のようなのだ。

 それを知らずとは言え、身体中を舐め回してた。と理解してからの土下座だ。


『え、えっと、まず状況を整理しましょう。あなたの名前はリルで良いですか?』

『え? 違います……』


 あっれぇ?

 さっき個体名:リルとか言ってなかった?

 てか一番最初に出た個体名:ルディアージってもしかして俺の事か? 俺はこんな名前じゃない。

 と言うか、純日本人なのだからそんな名前な訳が無い。


『で、では名前をお伺いしても?』

『あ、はい。私の名前は……あれ?』

『はい、分かりました。多分俺と同じ状況です。いくつか質問しても良いですか?』

『え? は、はい』


 そこから、俺が自問自答した順に聞いていく、すると、予想通りと言うか、全く同じ場所が消えていた。

 そして、この人も日本人だと言う事が判明した。

 それだけでも嬉しい。


『では、働いていた場所は?』

『ん、んー……すみません、何処かの研究機関と言うのは分かるんですが、名前とかは思い出せないです』

『そうですか、では研究員ばかりがこうなっている可能性は高そうですね』

『え?』

『言ってなかったですね。俺も研究機関に属していました』

『そうだったんですか、どこのとか覚えていますか?』

『いえ、それがさっぱりでして、多分天文分野だと思うんですけど……』

『……私も天文分野だと、そんな気がするのですが……、もしかして?』

『……ロゴ、覚えてます?』

『月のシルエットですね』

『……多分、同じところに所属してます』

『えっと、私の居たところ所長を含めて5人しか居ませんでしたけど……』

『奇遇ですね』

『これって私達は知り合いって事でしょうか?』

『どうでしょう。自分含めて5人の説明して合ってれば濃厚そうですね、やりますか?』

『……やりましょう。正直、知り合いだと、とても安心出来ます』

『わかりました。では所長は女性で眼鏡を掛けていて――』


 そこから一頻(ひとしき)り説明を終えると、俺達は知り合いだとわかった。

 名前は思い出せないが、良くペアになっていた後輩であることが分かった。


『んだ。えがった』

『先輩キャラ変わってますよ』

『いやぁ、正直超安心した。紛れも無い心の声だわ』

『いや、確かに安心しましたけど先輩、さっきと口調が……まぁ先輩は元から変わってたのでいいですけど』

『んだんだ』

『……』


 さっきまで知らない人と狐にされたと思っていたから結構緊迫した空気だったのに、緊張の糸が切れたのか心の声が駄々漏れしている。

 但し、外への警戒は怠っているつもりは無い。目だけはじっと森を見ている。


『だけど、名前思い出せないのは面倒だな後輩と呼ぶのも、そんな間柄じゃないしな』

『先輩って言ってますけど、時期的にはあんまり変わりませんもんね私達』


 実際は数ヶ月違いで、同期とも言えるが、二人の性格上先輩後輩としてやっていたので、あまり同期に見られなかった。


『そうなんだよなぁ、どうしようか、と言うか、後輩もこの状況に検討はつかないよな?』

『全くつきません。寝て起きたら人間辞めてるとかどうやったら検討つくんですか』

『そうだよなぁ、石仮面じゃねぇもんなぁ』

『石仮面……?』

『いや、すまんこっちの話』

『とりあえず、ここからどうしますか、動きますか? このおっきな……なんですかこれ……?』

『大樹?』

『大樹ってレベルじゃないでしょ、大きすぎません?』


 改めて一際大きな木を見つめる。宇宙まで続いてるんじゃないかと思われるほど大きく、何年かかればこんな大きくなるのだろうか皆目見当もつかない。


『だよなぁ、地球じゃこんなの無かったよなぁ』

『そう……です……ね? あれ? もしかしてこれって別の星ですか?』

『可能性は濃厚だよね、俺達は寝てる間に宇宙人に攫われて狐に作り変えられて、違う星に置いていかれた説を提唱する』

『最悪ですね。何より否定出来ないのが余計タチが悪いです』

『それと、もう一つ』

『はい』

『この擬似スキルって奴だな』

『そう言えば、何やら強制許可とか聞こえてきて、そしたら先輩の声が聞こえたんですよね』

『後輩と意思疎通がしたいと思ったら擬似スキル"念話(テレパシー)"ってのを覚えたみたいなんだ』

『え、なんですか先輩とうとう気まで触れたんですか?』

『いや、事実だ。それと検証したいんだが、お前も覚える事が出来るかやってみてくれ』

『え、何をですか? 気が触れるを覚えたくはないですよ?』

『お前ってそんな感じだっけ……? もうちょっと真面目っぽくなかったか?』

『なんか現状に疲れましたし、先輩だから良いかなって』

『お前の方が気が振り切ってるじゃねぇかよ、とりあえず、俺と意思疎通したいとか願ってくれ』

『……意思疎通出来てるのに……先輩、頭大丈夫でしょうか?』

『大丈夫だ』

『あ、すいません今のは心の声です。気にしないでください』


 いや、流すけど、流すけどさ。もうちょっとこう言い方をだね。


 それから"念話(テレパシー)"からぼそぼそと『先輩と喋りたい先輩と喋りたい既に喋ってるけど先輩と喋りたい』と聞こえてきた。プライバシーの欠片もない。


【個体名:リルより"念話(テレパシー)"の申請、現在起動中につき申請を統合します】


『お、何かきた』


 後輩を見るとなにやらワナワナしていた。


『な、な、な、なんですか今の!? なんか申請がどうとか承認とか頭の中に流れたんですけど!?』

『落ち着け、俺も同じことをさっき経験した』

『これが落ち着いていられますか! "念話(テレパシー)"ですよ"念話(テレパシー)"! 喋らず意思疎通が出来るなんて信じられません!』

『いや、さっきからずっとやっているじゃないか』

『そうでした!』


 この子は大丈夫なのだろうか。不安になってきた。


『とりあえずは、これで俺達はいつでも会話が出来る。それだけでも十分安心できる』

『そうですね、でも先輩……』

『ん?』

『お腹が空きました……』

『マジか』

『マジです。どうしましょう』

『……』

『そんな終わったみたいな目で見ないでください。先輩もどうせお腹空くんですから、今のうちに対策を考えましょうよ』

『まぁ、空腹は存在すると知れた事を良しとしよう。そもそも狐って何食べるんだ? 肉か? 今の所俺ら以外に動物などの生命体を見ていないが、居るのか?』

『肉って事は、狩り……ですよね?』

『そうなるな』

『……本音で言うと凄く怖いです』

『奇遇だな俺もだ』

『そこらへんの草とか食べれますかね……?』

『……目で毒見しろと訴えてくるな、俺はまだ空腹じゃない。それに俺はギャンブルには滅法(めっぽう)弱い方でな、俺が先に食べるとお陀仏になる可能性が極めて高いと予想する』

『そうですよね、先輩いっつも所長とポニー先輩とポーカーやってぼろ負けしてましたもんね……』

『ポニー先輩ってまた奇怪な名前だな』

『だって名前思い出せないんですもん』

『それもそうだな』

『あ、名前で思い出しましたけど、個体名:ルディアージって先輩の事じゃないですか? 日本名ならぬ異星名? みたいな』

『それならお前はリルか』

『なんか、私の結構可愛くありません?』

『俺のはなんか長いな』


 となると、この名前は一体誰がつけたのだろうか。もし誰かが付けたのならば、この状況は人工的な産物と言う線が濃くなる。そう思うと体が少しだけ震えた。


『でも、今の所は先輩と後輩で事足りてますから、個体名とか必要ないですよね』

『……そうだな』

『それより、お腹が空きました』


 ……太いと言うか強いと言うか、図太いなこいつは。


『先輩何か言いました?』

『いんや、何も言ってない』

『それよりも――』


 ――ガサッ――


 確かに聞こえた。

 風の撫ぜる音では決して無い、()()()()()()()()

 それは後輩にも聞こえたらしく、二人とも視線がそちらを向いている。

 リラックスしていた体に再度緊張が走る。

 物音はそれでも鳴り続け、そして姿を現した。

 それは――青い半透明のゼリーであった。

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